第18週「七人の子は生すとも女に心許すな?」(水)
放送日
- 2024年7月31日
概要
寅子と航一は涼子の店がたびたび嫌がらせを受けていたことを知る。警察にも相手にされず、嫌がらせにも慣れつつあるという涼子と玉の代わりに怒る寅子。改めて放火事件の証拠品を調べた寅子は弟・広洙に宛てて兄・顕洙が送った手紙の内容に疑問を持ち、小野に協力を仰ぐ。(NHKオンデマンドの解説より)
家宅捜査の結果、広洙に宛てた顕洙の手紙に「私が中を完全に燃やしてしまったせいで迷惑をかけただろう」という文章があった。検察側は、これをもってしても放火は明らかだと言う。が、そんなあからさまな手紙を書くだろうか。とはいえ、小野に「燃やす」の韓国語を教えてもらい、原文を確認すると確かにその語がある。
思い悩んだ寅子は汐見夫妻に手紙を書く。寅子の求めに応じて新潟まで来た二人は、さっそく問題の手紙を見る。香子に当該部分を訳してもらうと、「私が気を揉ませてしまったせいで心配をかけただろう」だと言う。「テウダ」は「燃やす」という意味だが、「中」という意味の「ソグル」を付けて「ソグル テウダ」というと「気を揉ませる」という意味の慣用句なのだそうだ。
そうだとしたら、検察がその手紙を読み上げた時になぜ違うと言わなかったんだろうかと寅子がつぶやくと、香子は、諦めてしまったのではないかという。言っても聞いてもらえない、ますます状況が悪化する、そういうことが何度も何度もあったのだろうと。
今日の寅子と優未
「カッときても人を押したりしちゃダメよ」
「そんなことしないでしょ」
今日の寅子と優未 その2
「そいでね、その嫌われている子が転んだ子をおんぶして、私が荷物を持って、山を下りた」
「え、やさしいのね」
「えー違うよ? だって困っている子を助けるのは普通のことでしょ?」
感想
最初に検察が手紙を読み上げた時、あまりにも都合の良い内容なので、でっち上げなのかと疑ったが、単なる語訳ではあったようだ。ちなみにネットの識者がGoogle翻訳にかけてみると、まさに「私が中を完全に燃やしてしまったせいで……」と訳したという。
韓国語のネイティブなら間違えるはずはないが、してみると日本人に訳させたんだろうなあ。朝鮮人に依頼したら彼らに都合のいいように訳をでっちあげると思われたから、というのは穿ち過ぎか。地方ゆえ、優秀な翻訳者が見つからなかったということか。
この手紙を認めたら有罪の可能性が高まる。それなのになぜ否定しなかったのか。香子のいうように、都合悪いことが起きるとなんでも朝鮮人のせいにされる経験を積み重ねて来た結果の諦念なのだろうが、われわれは、嫌がらせをされても声を上げずに諦め、受け入れてしまっている涼子をつい最近目の当たりにしたばかりだ。さらに遡れば、やっていない重大犯罪を認めてしまった直言の事件もあった。だから、この挙動には説得力がある。なんという畳みかけ。
称賛に値する行為をしながら、「それは普通のこと」とサラリと言う優未は、確かに優三の血が入っている。それに、最近は優未はすっかり「寅子の前ではいい子でいる」ことを辞めてしまい。軽口を叩いたり言い返したりしている。よかったなあ。よかったよ、寅ちゃん。