窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「かくかくしかじか」-映画はいい出来だった

これは初日に見に行く。

題名かくかくしかじか
原作東村アキコ
脚本東村アキコ、伊達さん
監督関和亮
出演永野芽郁林明子)、大泉洋(日高健三)、MEGUMI(明子の母)、大森南朋(明子の父)、三上愛(北見)、畑芽育(佐藤)、鈴木仁(今ちゃん)、神尾楓珠(西村くん)、森愁斗(川崎くん、顔の石膏を取られた人?)、有田哲平(中田先生)、斉藤由貴(旅館の女将)、長井短石田拓実)、津田健次郎(岡、編集者?)、酒井敏也(児玉さん?)、他
公式サイト映画『かくかくしかじか』公式サイト|大ヒット上映中
制作日本(2025年5月16日公開)
時間126分
劇場イオンシネマ港北NT(スクリーン5)

雑感

永野芽郁田中圭と不倫をしていたと文春砲で撃たれて以来、騒ぎは収まる気配がなく、本作の興行にも影響が出るだろうと危惧された。自分は「あの可愛かった永野芽郁が、そういうことで騒がれる年齢になったのか」と多少の感慨を抱きこそすれ、それで女優としての評価が変わるわけではない。

公開初日の夕方という、最もよい時間帯。原作人気もあって、大きな劇場だったが、席は閑古鳥が鳴いていた。スキャンダルが影響しているのかどうかはわからない。自分が見る映画はいつもこんなもの。映画はいい出来だった。もし事件の影響で見ようと思っていたけどやめた、とした人がいるならもったいないと思う。

なんといっても主演の永野芽郁がよかった。永野は今回のような、「バディものの格下の方」というポジショニングが嵌まるのではないか。「ハコヅメ」がとてもよくて「からかい上手の高木さん」がイマイチだったのは、自分が主導権を取ろうとするとうまくいかないということなのかも知れない。本作はモノローグが重要な意味を持つ。永野の透明感ある声がよく合っていた。

脚本がよかった。原作は単行本5冊、これを一本の映画にするには尺が足りなさ過ぎる。どのエピソードを削るか、というより、どのエピソードを拾い上げてひとつの話にするかの判断が必要になる。こういう場合得てしてダイジェストのような作品になってしまう。ストーリーはわかるけど、何の起伏も感動もない、あらすじを聞かされているだけという。が、本作にはそのような物足りなさはほとんどない。作者が脚本から関わっているからか? 見事だと思った。

美術がよかった。特に圧巻は、大学の夏休みの課題で80号三枚描くことになったが描けず、日高先生の叱咤を受けてようやく描き上げたエピソード。教授から講評してもらうほんの数秒のシーンのために、誰かが80号の油絵を三枚仕上げたのだ。美大の教授から褒めれるレベルの作品を、だ。東村アキコ自身の作品が残っていて、それを持って来たわけではないだろう。制作側の熱意を感じた。

宮崎の風景がよかった。暑い夏も、海も、果物畑も。これはまさに漫画では表わせない、映画ならではの魅力だ。

不満もないではない。

日高先生が強面で登場する。そこから日高先生に心を許すようになるまでの描写が短く、ちょっと感情移入しづらかった。一方、最後の5分くらい、日高先生と心で会話する原作にないシーンがあるが、これは蛇足だったと思う。その前までで十分伝わったから、このシーンを削って、親しくなるまでもうひとつふたつエピソードを重ねたらもっとよかったのではないか。

明子の父と母が浮いていた。確かに原作まんまではある。だが、ギャグ漫画を「まんま」に演じるとおかしなことになる。実写ドラマとして普通に、かつ、漫画のキャラも再現する。難しい役どころではあろう。「のだめカンタービレ」はこれがうまくいった。本作の両親はイマイチ。

そして日高先生。生徒を怒鳴りつけ、竹刀を振るう。紛れもない暴力である。当時であっても許されることではなかったと思うが、漫画ではさほど悲惨な雰囲気になっていない。しかし生身の人間に怒鳴られたらキツイだろうな、とは思っていた。で、実際ちょっとキツかった。大泉洋東村アキコの指名だそうだが、正直なところ、そこにも疑問がなくはない。
(2025-05-20)