窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

カネを取って見せる作品か!?「マリリン・モンロー 瞳の中の秘密」

一日2本、オードリー・ヘプバーンマリリン・モンローはいい組み合わせだと思った。上映時間の妙で、ちょうどそうした組み合わせが可能だったことに感謝した。が、2本目は全くの期待外れだった……。こうした作品を劇場で見せる意図はどこにあるのだろうか。僕にはわからない。

題名マリリン・モンロー 瞳の中の秘密(原題:Love, Marilyn)
監督リズ・ガルバス
出演10人のマリリン・モンローグレン・クローズマリサ・トメイヴィオラ・デイヴィスエヴァン・レイチェル・ウッドユマ・サーマンジェニファー・イーリーエリザベス・バンクスエレン・バースティンリリ・テイラーリンジー・ローハン、、他
公式サイト映画『マリリン・モンロー 瞳の中の秘密』公式サイト
制作USA、フランス(2013年10月5日日本公開)
劇場新宿ピカデリー

内容紹介

マリリン・モンローは1962年8月5日、36歳で亡くなった。没後50年経って自筆の日記や手紙が発見されたことから、改めてマリリン・モンローとはどういう人だったのかを浮き彫りにしようとしたもの。

雑感

昨年観た「マリリン 7日間の恋」のようなものを想像していたのだが、全く異なり、普通のドキュメンタリーであった。よくテレビの特番で、著名な人物の没後×年企画とかで制作・放映されるものと同様のもの。わざわざ2時間という長い(退屈な)作品に仕立て、劇場でお金を取って公開する理由が僕にはわからなかった。

「豪華俳優が演じるマリリン・モンロー」というが、マリリンの日記や手紙を入れ替わり立ち代わり朗読するというだけのシロモノ。マリリン役の人が出てきて日記を読むという演出は悪くないが、なぜ10人で分担したのかわからず、彼女らが全くマリリンに扮する気配も見せないこともますます意味不明の度合いを高めた。彼女らの年齢は、26歳のエヴァン・レイチェル・ウッドから80歳のエレン・バースティンまで。髪型も顔つきも様々であり、ヴィオラ・デイヴィスに到っては肌が褐色である。一人、唇を真紅に塗り、その左脇にほくろを描いていた人もいたが、マリリンに扮していたというより、記号としてわざとやってみたという感じで、その扮装は忘年会の隠し芸レベル。こんなのは「演じる」とは言わない。

10名の著名な女優を引っ張ってくるなら、彼女たちにとってのマリリン・モンローとは? というインタビューをすればよかった。その方が意味があったと思う。

僕自身はマリリン・モンローのことをそれほどよく知らなかったし、いくつかの有名なスチール写真を目にしたことがある程度で、動くマリリンを見たことはこれまでなかったから、実物のマリリン・モンローをふんだんに見られたのは、確かに価値はあった。しかし結局これらの画像は過去の映画の一場面であり、テレビのインタビューの画像の再構成である。使用料を権利者にいくら払ったのかは知らないが、新作で映画を一本撮ることに比べれば、何十分の一、何百分の一の費用で済んだのではないか。チープな作品である。

自筆原稿がいろいろ発見されたというが、これまで語られてきた彼女の経歴が大きく覆されたわけではなく、いくつかの隙間を埋めたに過ぎない。アメリカのセックスシンボルとして一躍、人気女優となり、その後は徐々に演技派に転身。「王子と踊り子」の撮影中に夫(アーサー・ミラー)の日記を盗み読んで傷つき、以後悩み始め、睡眠薬の摂取量が急激に増え……というのは「マリリン 7日間の恋」でも描かれたことである。

マリリン・モンローを好きな人にはいいのかも知れないが、この内容で108分は長過ぎるし、1800円は高過ぎる。60分にまとめ、500円くらいで公開していたなら、また評価は変わったと思うが。

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