窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「鎌倉殿の13人」(3)

題名

  • 「鎌倉殿の13人」第3話「挙兵は慎重に」

放送日

  • 2022年1月23日

登場人物

三浦氏

  • 佐藤B作(三浦義澄、義村の父)

朝廷

その他

概要

1179年の平清盛による後白河法皇の幽閉に対し、以仁王平氏打倒を決意。源頼政と諮り、各地に雌伏する源氏の残党に挙兵を呼び掛けた。頼朝のところへも源行家以仁王の令旨を持参し挙兵を促すが、時政は頼政を信用できぬと言い、政子は、こんなに仰々しく打倒を呼び掛けて回ってはすぐに平氏に知られると言い、頼朝は協力を断わる。

以仁王は挙兵したがすぐに平定され、頼政に代わって伊豆国目代として山木兼隆が遣わされた。

伊東祐親は北条時政に、いよいよ源氏もこれまで、頼朝をいつまでも匿っていると北条家も潰される、縁を切った方がいいと忠告。政子は山木兼隆に差し出せという。

時政は、いったん庇護すると決めた以上前言を覆すことはしない! と意気込むが、山木兼隆のところへ義時を連れ、取れたての野菜を籠一杯に入れて挨拶に行く。喜んでもらえると思ったが、野菜を足蹴にされ、今回も頼朝とともに挙兵するつもりだったのではないかと言いがかりをつけ、屈辱的な態度を取る。

三善康信は定期的に京都の様子を頼朝に連絡してくるが、今回の以仁王の反乱に怒った清盛は、反乱に加わらなくても、以仁王の令旨を受け取ったものはすべて征伐する方針だと頼朝に伝えた。これは三善康信の誤解だったが、頼朝は迎撃態勢を取らざるを得なくなる。

挙兵を薦める宗時・政子らに、頼朝は、必ず勝てる保証がなければ挙兵はできない、と答える。すると小四郎(義時)が「勝てます」と言う……

今日の小四郎

「挙兵される時、どのくらいの兵力となるか、割り出してみたのです。国衙にあった木簡から、それぞれの収める米の量を調べ、民の数を推し計りました。民の数がわかれば兵の数もわかります。北条、新田、加藤、加納、宇佐美、長野(?)、ざっと見積もって300。目代・山木の兵とは互角、この初戦、必ず勝ちます。そうなれば相模の三浦、和田、土肥、佐々木、佐殿に最も近い山内の須藤、さらには武蔵の畠山、熊谷なども味方につくはず。伊豆の10倍にはなりましょう。つまりその数、3000。当面の敵は大庭・伊東、どれだけの兵をかき集めても200が限り」

雑感

今回は面白かった。ようやく面白くなってきた感じ。引き込まれた。

宗時らが打倒平氏を唱えても、ただ気に入らないというだけで具体性も見通しも感じられなかった。小四郎はどちらかというと、今のままで大きな文句はなく、リスクを取って兵を挙げる意味はないとこれまで考えていた。が、言っていることは地に足がついていて説得力がある。米の数ばかり数えている(と三浦義村らに揶揄される)→木簡を見てなにやら計算→兵の数を割り出す、という偉業には呆気にとられた。武芸を磨くことも大事だが、兵站は重要なのだ。

来年はこの一帯に飢饉が来ることを予測し、米を大切に節約して使うよう気を遣っている北条家と、北条家が貢物として差し出した野菜を足蹴にした山木との対比も興味深かった。これに関しては軒しのぶさんのtweetが的を射ていると思うので、下に引用する。

今日のtweet


その他

  • 小四郎が付近の豪族の名を読み上げたのが早口で、何度も録画を見たのだが聞き取れなかった。ここは絵なども画面に表示させつつ、もう少しゆっくりはっきり言ってほしかった。勢力図だいじ。
  • 市川猿之助香川照之の従兄弟なのか。どうりでそっくりだ。顔だけでなく、怪演ぶりも。
  • 新垣結衣演じる八重は、序盤だけと思ったが、まだ登場するんですね。もうひとつふたつ、演じる役割があるのかな。



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時代劇で許されることと許されないこと

「鎌倉殿の13人」の第1話で政子が頼朝に「政子です」と名乗ったことを批判する向きがあるという。「政子」の名は後世につけられたもので、本人が名乗るのはおかしい、というわけだ。

それはそうかも知れないが、登場人物を区別し、視聴者にわかりやすくするために、誰もが知っている名で呼ばれるのは、作劇上許されることだと思う。

そんなことより、北条宗時が「平家を滅ぼそうぜ」と言ったり、北条時政が「平将門だって最後は首チョンパじゃねえか」と言ったりすることの方がはるかにおかしい。耐え難いほど。しかしこうした言い方は、三谷幸喜独特の、わかりやすく視聴者にアピールするためのものだと、称賛されている。

時代劇は、その時代に現代劇を作ったらどうなるか、を再現するものではない。あくまでも現代の人が、当時を想像して構築するものである。言葉遣いだって、本当にその時代の言葉を再現したら(それが可能かどうかは別にして)私たちには恐らく理解できまい。お歯黒も、多くの人は生理的に受け入れがたいだろうからやらない。朝ドラ「カムカム・エヴリバディ」では、今昭和30年代だが、登場人物の誰も煙草を吸わない。明らかに不自然だが、これは現代の倫理・医学基準で、敢えてそうしているのだろう。それは、そうするべきだと思う。

何は現代風にした方がよくて、何はその時代に寄っていないとおかしいのか、僕には明確に定義することは困難だ。しかし「ぜ」はおかしい。「首チョンパ」もおかしい。そういうドラマがあってもいいが、大河枠でやることではない。これだけは書き残しておく。



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「カムカムエヴリバディ」(57):ジョーの帰阪

第12週「1963-1964」(金)

放送日

  • 2022年1月21日

概要

トミーからデビューが延びたことを知らされたるいは、その夜、ジョーに手紙を書く。何通も書く。が、ジョーからの返事はない。

ジョーは、日常生活には何の問題もないが、トランペットを吹こうとすると、うまく吹けないのだ。笹川社長は怒っている。本当に病気なのか? と。奈々は、アメリカ帰りのいい医者がいるから……と、春まで時間の猶予を与えてくれるよう父親を説得し、ジョーをあちこちの医者へ連れていくが、どこへ行っても原因不明。ついにタイムリミット。笹プロはジョーを諦める決断をし、ジョーは大阪に帰る。

翌朝、Night & Day の店の前でボーっとしていると、そこへ豆腐を買いに来た? るいとバッタリ会ってしまう。ジョーが大阪にいることに驚くるい。そこへ奈々が駆け寄ってくる。心配だからきちゃった、と。それに小暮さんには私からも話をしないと……

るいは、東京でジョーが社長の娘としょっちゅう二人で出歩いていて、社長がそれに怒ってデビューが遅れているという噂を聞きましたが、私は信じていません……と話し出すと、ジョーは、噂じゃない、奈々を好きになった、お前とは終わりだとるいに告げる。

雑感

まあ、あまり語りたくない回。ジョー、いくらなんでもそれは言っちゃアカンやろ、としか。

ジョーの問題

ジョーにはトランペットしかなかった。実際、トランペット以外のことは、抜けているというか、ダメ男であることはこれまで何度も示されている。それは本人も自覚していて、トランペットがあればこそ、自分は何者かになれて、結婚もできるが、これがダメなら、るいと自分をつなぐものも何もないと思い込んでしまったのだろう。twitterでは、違う、るいとお前を結び付けているのは、ホットドッグとケチャップのシミのついたシャツだ、という声が次々にわいていた。

ジョーの病気は職業性ジストニアではないかという声も多かった。精神的な病に関しては現在よりはるかに理解が遅れていた時代だから致し方ない面もあるが、社長の「本当に病気なのかねえ」「大損なんだよ、こっちは!!」と言った言動が、拍車をかけていたのではと思われる。

ただ、社長は「重圧に耐えられなくなっている」、奈々は「急に環境が変わって疲れている」などとも言っていて、そこまでわかっているなら、たとえば少し休暇をやるからいったん大阪へ帰って彼女に会って来い、とか、そういう手を打とうとしないのだろう。トミー(あるいは、他のジョーがかつて交流のあったジャズメン)を呼ぶとか、できることはあると思うのだが。

奈々の立ち位置

奈々はジョーを(異性として)狙っているわけではなく、ジョーのトランペットに惚れ込み、東京で光らせたいという気持ちと、社長は使い物にならなくなったら冷静に(というか、非情に)切り捨てるのに対し、なんとか本人に寄り添って、復活の道を粘り強く探そうとする、要は「いい人」であることが判明。twitterでは掌を返したように彼女を持ち上げるtweetが寄せられた。

ただ、僕はまだ警戒心を緩めていない。ジョーを連れて行ったプロダクションの人間として、ジョーを一人で追い返すのではなく、ちゃんと小暮さんに事情説明するためについてきたのはいい。しかしなぜこんな朝早く? るいが豆腐を買いに来たということは、かなりの早朝だ。もちろん Night & Day の営業時間ではないし、小暮さんはまだ寝ているだろう。たまたま眠れなかったジョーが外に出ていたからよかったけど、そうでなかったらどうするつもりだったのか。人を訪ねる時間じゃない。(そもそも新幹線ってそんな早朝に大阪に着くような便はないだろう。夜行で来た?)

ドラマツルギーとして

このジョーのセリフは、るいが安子に「I hate you.」と言ったことと対になっているのだと思う。本心は嫌ってもいないし別れたくもないけれど、口に出てきた言葉は真逆だった。また、ジョーがるいとの結婚の許可を取りに来た時、和子が言いかけた「いつまでもおられても困る」も同じ。

和子のセリフは平助に遮られ、和子は途中で言い方を変え、互いの本心が伝わり、事なきを得た。安子はるいの言葉を真に受けて家を出て行ってしまい、本当の意味での崩壊が始まった。るいは、安子と同じくジョーの言葉を真に受けて、離れてしまうのか、「何言っているの、私は別れたくないわよー」と騒いで事態をひっくり返すか。

まあ、この日のうちに小暮は事情を正確に知ることになるだろうし、そうすればその内容はすぐるいに伝わるだろうから、早晩誤解は解けると思うが。奈々もジョーとの交際は否定するだろうし。
(2022/01/23 記)


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「カムカムエヴリバディ」(56):ジョーの上京

第12週「1963-1964」(木)

放送日

概要

ジョーの回想――

定一に名を訊かれ「じょういちろう」と答えたが、名字も、漢字も、覚えていなかった。定一はサニーサイドを歌い出し、ジョーはビール瓶のペットで参加。二人の初セッションだった。

その後、定一はジョーの戸籍を作ってやり、Dippermonthへの出入りも許し、ジョーはいろいろな雑用をこなしながら、バンドの人にトランペットを教わり、巡業に付いて行ったりした。ちょうど大阪まで来た時に、定一の訃報を聞く。定一は Night & Day の先代の支配人に、自分に何かあった時はジョーを頼むと言ってくれていて、以来、ここに……と。

突如、ジョーはさっちもちゃんと呼ぶのをやめ、るい、と呼び掛ける。エモい。るいにも、大月さんと呼ぶのはやめるように言う。だってるいも大月さんになるんだから。

さて、東京でジョーは笹プロ社長の家に居候することになった。広い部屋の真ん中にグランドピアノが置かれている。ソファーやお茶を飲むテーブルもある。ジョーがさっそくトランペットを吹き始めると、奈々が即興でピアノの伴奏をする。このピアノ演奏がなかなかいい!

一ヵ月経過。るいは Night & Day で一人、コーヒー? を飲む。ジョーに手紙は出していない。社長の個人宅に住んでいるから、気遣って。それを聞いたベリーは「あほちゃうか!」とるいを怒鳴る。一ヵ月も会っていない、手紙も出していない。東京がどんなところかわかっているのか? 小奇麗な女がぎょうさんいる、ジョーを狙う女はいくらでもわいてくる、と注意を促すが、るいはジョーを信じているので気にしていない。

が、ジョーに異変が起きつつあった。トランペットの音が出ない……

クリスマスが近づいたある日、クリーニング店にトミーがやってきて、るいに、何か聞いているか? と尋ねる。そして、クリスマスのジョーのデビューコンサートが延期になったと告げる。

雑感

定一

定一とジョーの関係は、ほぼほぼ想像通りだったが、戸籍を作ってあげたとは。というか、そういうことをしてあげないといけなかったんだなああの頃は。戸籍によれば、ジョーの誕生日は昭和15年12月25日。生年は適当で月日は記念すべきクリスマスに、ということだろう。

あの日、定一のうしろにも人がいた。何人もの戦災孤児がねぐらにしていたのだろう。彼らは定一やジョーを見て何を思っただろうか。

ところで、定一が死んだということは、38回の健一帰還のシーンの解釈は変わるのだろうか。定一の死因は恐らく酒の飲み過ぎだろう。この頃には既に身体はガタガタだったと考えられる。もしかしたら、金太の時と同様、この健一は定一の頭の中にだけ存在したのだろうか? せっかく帰って来たのに、セリフもなく、その後のエピソードが何もなかったのは確かに気になっていた。健一は生きていると思うのだが……

奈々

コンテストでジョーの演奏に惚れ込んだ模様だが、早くもなれなれしく「ジョー」と呼び、「お嬢さん」と呼び掛けるジョーに「奈々と呼んでください」と言うなど、急接近しているのが気になる。おまけにピアノの腕は抜群で、ジョーの作曲した曲にも初見でジャストフィットなピアノを合わせた。共鳴している……?

るい

「去る者日々に疎し」という。長距離恋愛の鉄則は、頻繁に連絡を取ること。信じているとか、信じていないとかの問題ではない。個人宅だから遠慮したというが、婚約までしているのだから、堂々と連絡を取ればいいのだ。

ベリーは「この店の客全部が私レベルのルックスだということ」と喩えたが、ベリーだったら何人いても心配ないのだが、しかしベリーのいうことには同意する。手紙を書き、会いにいかなきゃダメだよ! ジョーはトランペット以外は何もできない人間なんだから、ジョーからの連絡を待っているだけじゃダメだよ!
(2022/01/23 記)


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「カムカムエヴリバディ」(55):プロポーズ

第12週「1963-1964」(水)

放送日

  • 2022年1月19日

概要

コンテストの結果は、満場一致で大月錠一郎の優勝と決まった。トミーも悔しがることなく、むしろ満足気である。笹川光臣は、シングルレコードではもったいない、LPを作ろうとジョーに持ちかけ、笹川奈々は東京のジャズ界に新風が吹くとほほ笑む。

優勝を見届けたるいはそっと店を出るが、ジョーは目ざとく見つけ、るいのあとを追いかける。そして追いつくと、るいを抱きしめ「結婚しよう」と告げる。

竹村クリーニング店。ラジオでは磯村吟が、コンテストでジョーが優勝したことを語る。竹村夫妻も得意げだが、るいだけが心ここにあらず。ジョーは好きだが、店を辞めることはできないるいは、結婚を申し込まれたことをまだこの夫妻に話していないのだ。

そこへジョーがやってくる。お祝いの言葉を述べ、サインだと浮かれる夫妻に、ジョーが突然「サッチモちゃんをください」と切り出す。驚いたるいは、失礼だとジョーを咎める。自分はこの二人に拾ってもらい、これまでさんざん世話になってきた。簡単に店を辞めるわけにはいかないのだと。

それを聞いた二人は、店は一代限りでいいし、るいちゃんのようないい子が手伝ってくれたことを思い出話としてできたらそれでいいのだと言い、平助はその場に正座すると、ジョーに「娘をよろしくお願いします」と頭を下げる。

ジョーは一足先に上京することになった。三ヵ月かけてLPを制作し、クリスマスにレコードリリース&コンサートを行なう。るいは荷造りの手伝いでジョーの部屋へ。そこでDippermouth Bluesの古いマッチを見つける。それを見たるいは記憶が蘇った。私がOn the Sunny Side of the Streetのレコードを聴いたのは、この店だ、マスターの名は定一だと……

ジョーは「やっぱり」と言うと、自分を拾ってくれたのは定一だと話し出す。ジョーの記憶……

夜、かろうじて屋根があるだけという瓦礫の隅で、古布にくるまって寒さに震えていると、そこへ定一がやってきて、紙包みを差し出した。中にホットドックが入っている。腹が減っているだろうと。そして少年に名を尋ねる。少年は「じょういちろう」と答える。大きな月が画面一杯に広がる。

今日のベリーとトミー

「くやしい?」
「フッ、ぜんっぜん。最高やった」
「あんたも悪くなかったで」

今日のるいとジョーと竹村夫妻(クリーニング店の店先で)

「おじさん、おばさん、サッチモちゃんを僕にください」
「ちょっと……」
「くださいて、大月君、それ」
サッチモちゃんに結婚を申し込みました」
「けっ……」
「おじさんとおばさんのお許しがもらえたら、二人で東京で暮らすつもりです。お願いします。サッチモちゃんを――」
「なんなんですか、いきなり、おじさんもおばさんもびっくりしてはるでしょう。私は大阪に出てきて、おじさんとおばさんにはほんまにお世話になってるんです。娘のように可愛がってもらってるんです」
「わかってるよ、わかってるから――」
「わかってない! わかってたらそんなこと、不躾に言えるわけない。おじさんとおばさんは就職に失敗した私のことを拾ってくれた。クリーニングのことを一から教えてくれた。それやのに、辞めるやなんて、そんなこと簡単にできるわけないでしょう」
「何を言うてんの。そない、いつまでもおられても困るわ」
「ふん、せやで……」
「でも」
「るいちゃん、うちに後継ぎがおらんから心配してくれてるのか」
「アホらし、こないな店な、一代限りでええんや」
「こないな店、言うな」
「そらな、もちろんうちらが二人で作った大事な店や。そやけど、そないなもんはただの形や。るいちゃんみたいなええ子が、いっとき手伝うてくれたなー、いつか隠居した時に縁側で二人でそないな話ができたら、うちらはそんで幸せや」
「(正座して)大月君、娘をよろしゅう頼みます」
「……はい」

今日のるいとジョーと竹村夫妻(夕食)

「るいちゃんがおらんようになったら寂しゅうなるなー」
「あんた、さっきと言うてることがスカタンやないの」
「そうかてな」
「あの、今すぐ行くわけじゃないですから」
「そうかてな」
「また遊びに来ます」
「そやそや、子供連れてな」
「孫ができるんか、それはええのう」
「泣くんか笑うんか、あんた、はっきりしいな」

雑感

本当にいろんなものが詰め込まれた回だった。

るいの悩み

雉真で育ってきたるいは、後継ぎというのがどのようなものか、骨身に染みて知っている。父が死んだために勇おじさんは好きな野球を辞めさせられて後継ぎになった。勇に男の子が生まれた時は周囲が大喜びした(たぶん)が、その子は雉真を継ぐべく、勉強を強要させられている。

雉真だけではない。母・安子も、たちばなのためだと言って、自分を一人置いておはぎを売りに行ってしまったではないか。入学式の前も、一緒に準備をしてほしかったのに、たちばなの用事といって大阪に行き、帰ってこなかったではないか。

そのためにるいはさんざん傷ついてきたし、自分だけではなく、いろんな人が、いろんな形で不満を抱えている。逆にいえば、家とか店とかいうものは、そうした個人の思惑などよりはるかに大事なものなのだ……と思って生きてきた。

それが、「一代限りでいい」などとあっさり言い放つ竹村夫妻の言葉に、るいは、天地がひっくり返るほど驚いたに違いない。そんな発想があるのかと。

るいの変化

大阪へ来たばかりの頃のるいの妄想癖はすさまじくて、よほど会話のない家庭で育ったのだなと思ったが、だんだん収まりつつあり、竹村家に同居してるいも変わったと思っていた。が、今回は久々の妄想劇。ジョーに結婚を申し込まれたことを話せず、悶々としていたのだ。

が、突然やってきていきなり結婚の申し込みを始めるジョーに言い返しているのを見て……ああ、るいはジョーには言えるんだ、と思って嬉しくなった。るいがかつてここまで自分の思いの丈を誰かにぶつけたことがあっただろうか。大阪でも、岡山でも、家庭内だけでなく恐らく学校でも、誰に対してもこんなに文句を言うことなどなかっただろうと思う。それだけでも、ジョーと出会ってよかったと思った。

トミーの気持ち

トミーは、ジョーに本気を出させたこと、逆に、ジョーに引っ張られて自分も120%の力を発揮させられたこと、最高の相手と最高の演奏ができたことに心の底から満足したのだと思う。負け惜しみでもなんでもなく。むしろ自分が認めたジョーが、他人にも認められたことを誇らしく思っているようでもあった。

そんなトミーに「あんたも悪くなかった」と声をかけるベリーもよかった。

今日の竹村劇場

和子が「いつまでもおられても困るわ」と憎まれ口を利いた後、平助が「せやで」と続けるまで、ちょっと間があった。これは、平助が、憎まれ口を利くのはやり過ぎや、もうちょっとマイルドな方向へ転換するぞ、と考える間だったのではないか。和子はそれを一瞬で感じ取り、憎まれるのではなく、気持ちよく送り出す方向で話すことにした、と。恐らくちょっとした間とか仕草とかで、この二人は瞬時にそうした打ち合わせをするのだ。

ジョーと定一

ジョーがホットドッグばかり食べているのは、単なる好きを通り越している。Dippermouth Bluesでマスターに食べさせてもらったのがホットドッグで、それがあまりにおいしかったから……とかいうのではないか、と予想していたのだが、ほぼ当たった。ジョーの名も、定一がつけたのでは(だから錠一郎という字になったのでは)と思ったが、本人がじょういちろうだと答えていた。読みはわかるが漢字がわからないから、それを定一が決めてやったということか。最後に画面に大きな月が映った。大月という名字もここから取った?

これまで邪魔者扱いしていた少年に親切にしてやる気になったこと、「進駐軍から失敬してきた」というホットドッグを差し出したことなどからすると、これはあのクリスマス・パーティのあった日の夜なのではないかと思われる。ちなみに月齢を調べると、1948年12月25日は24.3(三日月のほぼ逆)。その月の満月は16日だった。あの月は目に見えたものではなく、もっと観念的なものだった?

その他

  • ジョーとトミーは互角に思えた。コンテストだから順位をつけるのは仕方ないが、満場一致でジョーというのは(審査員が何人いあたか知らないが)ちょっと嘘くさく感じた。結局力を持っているのは笹川なので、彼らの意向で賞が決まっているということはないかな?
  • 磯村吟がラジオでコンテストの様子を生々しく語っていたということは、彼も会場にいたのか? ベリーが目ざとく見つけ、こっそりヤキを入れてたりして。

(2022/01/22 記)


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「カムカムエヴリバディ」(54):コンテスト

第12週「1963-1964」(火)

放送日

  • 2022年1月18日

登場人物

概要

コンテストが始まり、各人の演奏が始まる。楽屋ではみな落ち着きなく過ごしているが、ジョーは衣装も着ていない。

るいは必死にシャツを洗い、アイロンをかける。ようやくできあがったシャツを持って、慌ててNight & Dayへ駆けつける。この日のために、一張羅のワンピースを平助が洗っておいてくれたが、着替えている余裕などない。

竹村夫妻は、若大将シリーズの映画を見に行ったのだが、チケットが完売で入場できなかった。仕方がなくモモケンの映画を見ることにする。

演奏者がみな、それぞれの曲を披露する。トミーが終わり、ジョーの番だ。間一髪、着替えは間に合った。演目はもちろんサニーサイド。るいは会場の隅からそれをうかがう。

結果、審査員の票がトミーとジョーに二分された。そこでもう一曲、二人で競演することになった。

竹村夫妻はモモケン映画を観劇。ストーリーは陳腐だが、実はこの作品、クライマックスのアクションシーンは、とても素晴らしいのだ。手に汗を握る展開。

そこに、ジョーとトミーの演奏する曲がかぶる。二人は見事な共演を果たした。結果は明日。

雑感

ジョーとトミーの演じる曲を、竹村夫妻の見る映画の劇伴として使った発想に敬服。今回はそれがすべてと言ってもいいだろう。まあ、見事に合っていた。

チャンバラシーンは、お互いに相手を殺そうとしているわけだが、それを見ごたえのあるアクションとするためには、互いに協力し、息の合った演技をしなければいけない。これはジョーとトミーの演奏も、二人は競争をしているが、一緒に協力してひとつの曲を作り上げなければいけない点で、同じだと言えるのではないか。そういう相似形もあった。結果、二人は演奏しながら互いに刺激を与えあい、どんどん高みに昇って行ったように見える。終了後、二人が握手するシーンはよかった。

映画は、世紀の駄作と言われたが、ジョーはモモケンのセリフに自信を取り戻し、竹村夫妻は剣闘シーンを楽しんだようだ。世間の評判が悪くても、自分にとっては面白い、刺さる作品である、ということも、またいくらでもある。個人の評価は世間の評価とは別なのだ。ということもさりげなく描かれていてよかった。

せっかく若大将を見に来たのに、チケット完売で入れなかったことに文句を言う和子だが、平助から、史上最低の駄作と言われたら、逆にどんなものか見てみたいやないか、と言われ、それもそやな、と笑うところもよかった。この二人、これまで様々な苦労があっただろうが、どんなにつらいことがあっても、「それもそやな」と気持ちを切り替えて前に進んできたんだろうな。このシーンも何気によかった。
(2022/01/19 記)


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「カムカムエヴリバディ」(53):前夜

第12週「1963-1964」(月)

放送日

  • 2022年1月17日

登場人物

概要

ジョーがクリーニング屋に来た時に、ラジオでは磯村吟がジャズコンテストのことを話していた。関西一のジャズ・トランペッターを選ぶ大きな催しであること。そして注目すべき人間として4人の名を挙げる。トミーとジョーも名前が挙がった。大月君のことを言っているよ、といってみんなで清聴していると、磯村は優勝候補はトミーであり、ジョーは足元にも及ばない、と結論づける。

磯村さんはジャズにものすごく詳しい人で、小暮さんも一目置いているんだ、自信がなくなってきた、とジョーが弱気になる。るいは励ますが、元気にならない。そこへ西山が来店し、二人を見て、そういう時は映画でも見るのが一番、と、モモケンこと桃山剣之介の映画の割引券を二人に渡す。

映画を見に行った二人は……るいはあまり気に入らなかった様子で、あっという間に飽きてしまい、ジョーのことを気にしてばかりいるが、ジョーは琴線に触れるものがあったらしく、熱心に見ている。帰り道で、必ず優勝するよ、とるいに約束する。

コンテスト当日。平助・和子夫妻は、二人で映画を見に行くのだとおしゃれしてうきうき。店を早じまいして、早々に二人で出かける。るいも支度をしようとすると、ジョーが店にやってくる。何事かと思ったら、新調したばかりのシャツにケチャップのあとが……。大月錠一郎とはこういう男なのだ。るいは大急ぎでシミお年を始める。

雑感

モモケンの長く続いているシリーズもの、今作はマンネリ打破のため、予算を何倍も増やし、新人を大胆に起用して挑んだ一作で、現在大人気上映中……とのことだが、映画館の中はガラガラ。磯村によれば世紀の駄作なんだとか。しかし、シリーズの決まり文句「暗闇でしか見えぬ景色がある、暗闇でしか聞こえぬ音がある……」がジョーの心を捉えた様子だ。幼い頃、寒くて、ひもじくて、暗闇の中に閉じ込められたような時代。ジャズを聴き、定一の歌を聴き、自分の日向の道が見えた気がしたあの時の気持ちを思い出したのかも知れない。

竹村夫妻が映画に行くことにしたのは、もともとこの二人はこういうことを時々していたのだろうが、この日がコンテストの日だと知って、またるいが思いつめたように早退を言い出すことのないように、わざとこの日に予定を作り、店を早じまいすることと決め、だからるいちゃんも気兼ねなく出かけてき、という雰囲気を作ってやったのではないか。この二人に育てられて、いや、育てられてはいないけれども、この二人が雇い主で、本当によかった。

コンテスト出演者が何人いるのか知らないが、優勝候補の4人の中に含まれていたら相当なものだと思う。元気をなくす必要はまるでないと思うが。磯村が審査員を務めるわけじゃあるまいし。
(2022/01/18 記)


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「ミステリと言う勿れ」(2)

題名

  • 「ミステリと言う勿れ」第2話〔フジテレビ〕

放送日

  • 2022年1月17日

登場人物

あらすじ

美術館に行くため久能整が乗った路線バスがジャックされた。乗客に名前を尋ねる犯人に、整は逆にバスジャックの目的と名前を聞く。すると犯人は犬堂オトヤと名乗るが、目的はそのうちわかると教えなかった。

その頃、大隣警察署には連続殺人事件の捜査本部が立っていた。朝には新たに4体目の遺体が発見されている。被害者に共通点はなく、容疑者の目星すらつかない状態だ。青砥成昭や池本優人らが忙しく動く中、風呂光聖子は捜査に加わらせてもらえない。そんな時、風呂光は後輩警官からバスジャックの通報があったと報された。だが、付近の路線バスや観光バスは問題なく運行している。風呂光は青砥たちに話すが、ただのイタズラだと一蹴されてしまった。

整の乗ったバスは公園に停まり、オトヤは乗客たちを1人づつトイレに行かせる。真っ先にトイレに向かわされた整は外部に連絡する方法を考える。出がけ前に池本から連絡先を知らされていた整はメモ用紙に現状を書いて、犯人に見つからなさそうな場所に置いた。

再びバスが走り出すと、整がオトヤを理詰めにして怒らせてしまう。逆上したオトヤはナイフで切りかかるが、乗客の熊田翔が整をかばった。さらに、乗客の坂本正雄がオトヤを殴り倒す。乗客たちは安堵するが、坂本は落ちたナイフを乗客たちに向け……。その後、バスは犯人の指示で、ある屋敷にたどり着く。(公式サイトより)

雑感

総括

屋敷にたどり着くまではテンポよく(原作を大幅にカットして)進んだが、そのあとが割とていねいに進むなあ、これでちゃんと終わるのかなあと思ったら、警察が突入した時点で終わり。来週に続くだと。

初回は、今回の事件の冒頭10分くらいをやって途中で終わり、今回も途中で終わりは不完全燃焼だ。

風呂光はなぜ一人で捜査をしているのか?

風呂光が頑張って聞き込みを行ない、連続殺人事件の被害者のミッシングリングを探し当てるのは立派だが、なぜ彼女一人が捜査をしているのだろう。捜査本部は何のためにあるのか。

バスジャックの通報も、通報した人に話を聞き、誰から連絡を受けたのか、その人の日常の行動範囲は、といったように調べなくていいのか。

久能くんによるカウンセリングに焦点が置かれるのはいいとして、警察の捜査が杜撰過ぎる。これなら隙を見て久能くんが池本に連絡し、それを受けて警察官が来る、ということにした方がよかった(警察側から見たら、操作が進む前に通報で事件の謎が解けるということ:原作通り)。

キャスティング

とにかく合わない、イメージが違うなどと片っ端から言われている。あのー、僕は常々思うのですが……原作と比較して、合っている、合っていないでドラマを評価するのはやめた方がいいと思うんです。原作の劣化コピーを作るのが実写の目的ではないですから。問題なのは、ドラマとして面白いかどうかではないでしょうか。

自分としては犬堂愛珠を誰がやるのか気になっていたのだが、見るからにきれいな人だったから、満足である。

配役



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「鎌倉殿の13人」(2)

題名

  • 「鎌倉殿の13人」第2話「佐殿の腹」

放送日

  • 2022年1月16日

登場人物

北条家

  • 宮沢りえ(りく、時政の新妻)
  • 田中なずな(くま、りくの侍女)

源氏

  • 野添義弘(藤九郎または安達盛長、頼朝の従者)

伊東家

  • 芹澤興人(江間次郎、八重の夫)

その他

概要

伊東祐親と北条時政は一触即発状態だったが、ちょうどそこへ大庭景親がやってきて、間を取り持つことに。頼朝は北条家へ移す、頼朝には以後、八重に一切連絡を取らない、という条件でどうだと持ち掛け、双方は承知する。

八重は江間次郎のところへ嫁ぐことに。その前に一度だけ頼朝に会いたいと願い、祐清に相談、祐清は宗時と協力して実現を約束する。祐親に見つからないよう、比企尼のところで会う算段を取りつける。そして義時に頼朝を連れてくるよう指示する。が、頼朝は「今さら会っても仕方ない」と言って義時の依頼を撥ねつける。また、みんなは自分に期待し過ぎだ、自分は挙兵などしない、宗時にもそう伝えよと言う。

一方、頼朝は政子と親密さを増していく。八重にはつらい思いをさせてしまった、二度とそのようなことはしたくない、という頼朝の話を聞いた政子は、単独で八重に会いに行く。頼朝への未練を断ち切るために。八重は「頼朝殿は寝汗をかきますから、枕元に手拭いを常備し、拭いてあげてください、などと閨の話まで持ち出し、マウントを取ろうとするが、己の立場を悟り、退出する。

義時は、頼朝は八重への気持ちがなくなりあっさり政子に乗り換えようとしているだけのように映る。挙兵をしないなら頼朝を養うのは北条家にとってはリスクなだけだ。そのため、頼朝に会いに行き、出て行ってほしいと伝える。頼朝は、お前だけに本心を打ち明けると言い、自分の望みは、腐りきった平氏を倒し、この世を正すことなのだと宣言する……

雑感

人たらしの頼朝が、政子をモノにし、自分を嫌っている義時に、お前だけに本心を打ち明ける、と言って心服させるところが見事。

第一回同様、相変わらず義時は、何か言おうとしても周囲の人にちゃんと話を聞いてもらえない。そんな中、頼朝だけはじっと自分の話を聞いてくれた。頼朝にとって耳が痛いことを言っているにも関わらず、だ。このあたりがうまい。

子ども(千鶴丸)に会わせてもらえない八重が哀れ。八重は知らないが、視聴者は既に千鶴丸はこの世にいないことを知っているだけに、なおさら哀れ。

頼朝が来ないことを比企家に伝えにいった義時に、能員と道は、もう食事の支度もしたのに無駄になるとか、そもそもこの計画を立てる時に頼朝の意志を確認したのかとか言って責め続けるが、比企尼が「気にしなくていい、この者たちは頼朝殿が来なくてほっとしているのだ(平氏ににらまれたくないから)」とピシリと言うところがユーモラスかつカッコよかった。しかし草笛光子は相変わらず元気だが、もう88歳。すごいな……



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過度に若い役には違和感

深津絵里は48歳(1月11日で49歳になった)、オダギリジョー45歳、市川実日子43歳、早乙女太一30歳。

若者の青春ドラマが紡がれているはずだが、10代はおろか20代の人が一人も出演していない。かろうじてトミーの中の人が30だが、あとは全員40代。お芝居だから、るいは18です、ベリーは短大生ですと言われればそうかと思って見るけど、本当は、ちょっと引いているというのが正直なところ。過度な若作りは気味が悪い。表情やちょっとした仕草など、いかにも若い人のように演じていて、そこはすごいと思うけど、すごいところを見せつけられても。

るいは片桐やジョー(ついでに西山さんや山崎さん)などクリーニング店の常連客、Night & Dayの小暮さんやトミー、もちろん竹村夫妻など、出会う人がみな彼女に注目し、可愛いと思うわけだが、実際のるいを見ていて、なんでそんなにみんなが気にするのかわからず、ワンテンポ置いて、ああ18歳のかわいこちゃんという設定だからな、と思って納得する、というタイムラグがどうしても生じる。

なぜこうしたキャスティングになったかという点について、ひなた編にも登場するため違和感のない人を、という説明がなされていたが、この説明もピントがずれている。主人公であるるい編で違和感があったらそっちの方が問題ではないのか? 30代の女優にやらせ、歳を取った時に老けメイクをさせた方が違和感は少ない。もしるい役を桐谷美玲なり高畑充希なりが果たしていたら、クリーニング屋の看板娘で誰もが一目で好きになる、という設定に何の違和感もなかっただろう。

大河ドラマでは過度に若い役を演じさせられるのは珍しくない。上野樹里井上真央らが10歳にも満たない役をやらされたが、一人前の女性に子供役をやらせると、ただ幼く、頭が悪いだけのように見えてしまう。あれは本当にかわいそうだった。が、NHKはこういう無茶に慣れてしまって「やればできる」ぐらいにしか思っていないのかも知れない。いずれにしても、10代、20代、30代の女優が一人も出演していないのは異常である。

来週は佐々木希が登場するという。33歳で、カムカムに出演する女性陣の中ではダントツに若い。期待しよう。



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