- 第15週「いざ! 東京」
放送日
- 2025年7月11日(金)
概要
東京に到着したのぶたちは、さっそく聞き込みを始めるが『ガード下の女王』はなかなか見つからない。みんなで屋台のおでんで腹を満たしたが、嵩は不意に腹を押さえてその場にうずくまってしまう。すると、東海林と岩清水も腹を押さえて……! 慌てるのぶにとある女性が声をかけてくる。(NHKオンデマンドの解説より)
東京に到着したのぶたちは、さっそく聞き込みを始めるが『ガード下の女王』はなかなか見つからない。みんなで屋台のおでんで腹を満たしたが、嵩は不意に腹を押さえてその場にうずくまってしまう。すると、東海林と岩清水も腹を押さえて……! 慌てるのぶにとある女性が声をかけてくる。(NHKオンデマンドの解説より)
東京出張の前日。みんなで取材する代議士の資料を確認していたのぶは、岩清水が話す『ガード下の女王』と呼ばれる婦人代議士に興味を示す。その夜、健太郎と酒を飲みながらのぶについて語っていた嵩は、近くにいた琴子に女心がわかっていないと一喝され、ある秘密が明かされる。そんな嵩に、健太郎は東京で長年の思いを伝えるべきと背中を押す。(NHKオンデマンドの解説より)
東京には誰が行くのだろうと気になっていたが、のぶも行くことになった。4人全員で行ってしまうと編集部はカラになってしまうが、いいのかい!?
東京滞在は三日。予算の都合でそれ以上は無理。岩清水によれば、その間に取材する予定の代議士は4~5名。ええっ、それだったら一人で十分なのでは? しかも現地で頑張って「ガード下の女王」を見つけましょう、という。ええっ、あらかじめ手紙を書くなり電報を打つなりして取材のアポを取るのではないのかい? 大丈夫かこの編集部は……。
のぶが仕事で東京へ行くことになったのを知ったメイコは、私も行きたいっ!! と言うのかと思いきや、「お姉ちゃんの長年の夢だったもんね」と言う。そういえば小さい頃、銀座というところへ行きたいと言っていた(らしい。そういう回想シーンが挟まったのでわかった)。
メイコはのぶに、好きな人がいると打ち明ける……。
(2025-07-14 記)
『月刊くじら』創刊号は二日で二千部を売り切り、好調な滑り出しを見せる。嵩は『月刊くじら』編集部に異動に。さっそく次号の特集について編集会議をするのぶたち。すると、岩清水から東京での取材案が挙がる。そんな中、広告費を回収しに質屋へ向かったのぶと嵩。(NHKオンデマンドの解説より)
1946年7月、創刊された『月刊くじら』は二日で2000部を売り切った。朝田家では三部も購入し、家族と和尚に饅頭屋までやってきて皆で回し読みをする。釜じいは厭な咳をする……
4ページ増になり、そこは特別企画のページとしたいという東海林に岩清水は、高知出身の国会議員の動向を追うのはどうかと提案。企画に便乗して東京へ行きたいのだ。岩清水も、のぶも、東海林も。たかしが、学生時代は毎日銀座に行っていたと聞き、東海林らはうらやましがる。
未回収の広告費を取り立てるべく、のぶとたかしが質屋へ向かう。番頭は「たった2000部で偉そうに」「くだらない雑誌」などと暴言を吐き、不払いの姿勢を崩さない。腹が立ったのぶが鞄で小突くと、番頭は平手打ちをくらわそうとする。が、のぶをかばって平手打ちを受けたのはたかしだった。騒ぎを聞きつけて店に出て来た主人は、事情を知ると、「忘れておった」と支払ってくれた。
たかしの赤く腫れた頬を手当てし、のぶは感謝の意を伝える。
「いざ! 東京」というのはそういう意味だったか。
7月に創刊されたのが7月号だった。この頃は発売月でよかったのか。それにしても印刷に回してから実際に発売されるまで、そして売り切るまで何日もあるわけで、その間は次号の制作にかかりきりになるはずだが、手をつけている様子がない。次号の締め切りはもう目前なのでは? ページを増やしたり、新たな特集を組んだりするのはいくらなんでももう少し先だろう。
わかりやすいほどわかりやすいフラグが、釜じいに立った。次は釜じいか。豪くんは結局戻って来なかったか。
岩清水や東海林が東京に行ってみたいというのはわかるが、のぶはどう思っているのだろう。かつてたかしに「戦争が終わったら銀差を見てほしい」と言われ、断わっている。それどころか、何を考えているのかとたかしをなじった。その考え方は正しくなかったとはわかっているのだろうが、少なくともたかしを前に、無邪気に「私も行きたいです!」とは言えないと思うのだが……
広告を取ってくることもそうだが、請求に対する未払いも記者がいちいち出向かなければいけないものなのか? 経理から請求書を送り、返答がなければ督促状を送り、それも無視されたら法務を通じてしかるべき対応を行なうのでは? そもそも請求書が送られてきているのに「忘れていた」はあり得ないと思うが……
もし現場の人間が催促に行くべきなのだとしたら、のぶについていくのはたかしではなく琴子だろう。いろいろと気になってしまう。
夜遅くに高知新報に連れてこられた嵩は、言われるがまま記事に合う挿絵を描くことに。締め切りが迫るなか夢中で絵を描く嵩を、のぶは陰から見守る。無事に描き上げた嵩は、高知新報に採用される。そしてのぶは、『月刊くじら』創刊号の発刊に向け大忙しの日々を送る。順調に記事がそろっていく中、入稿日にまさかの事態が。うろたえるのぶたちに対し、東海林(津田健次郎)の目がきらりと光り……。(NHKオンデマンドの解説より)
外部の作家(?)に依頼していた原稿を取りに行った岩清水が「逃げられました」と帰社したのは入稿の一時間前。いっそのこと娯楽に徹しようと、東海林は社会部に配属されていたたかしを連れて来て、漫画を描くよう指示する。
ひとたび無茶な依頼を引き受けてしまうと、以後はナチュラルに無茶振りされるというお手本のような展開だった。
第一の無茶振りの件。のぶがたかしを連れてこようとするのを、別の記者が「オレが行く」と出かけた。事態は一刻を争う。恐らく新聞社は高知市内にある。たかしは御免与町の寛先生の家だ。まずは電話してたかしをつかまえ、今すぐタキシ―をつかまえて新聞社まで来てくれと依頼すべきだったのではないか。恐らく社用車で出かけたのだろうとは思うが、行くなら現地をよく知るのぶを連れて行くべき(のぶは同行すべき)だった。不案内な人間が行ったらそれだけで2時間以上経ってしまうのではないか。
第二の無茶振りの件。
入稿というのはどういう状態を意味するのかよくわからないが、もし原稿を受け取ってきたとしても、手書きなのだから、そこから活版を組み、校正をして、となると、1時間や2時間で済むとはとても思えない。少なくとも前日に原稿がもらえない時点で諦めるべきだった。いや、原稿の締め切りがあと1時間という意味で、そこから活版を組む時間を見ていたというなら、たかしが漫画を描く時間はまだ余裕があることになる。絵は、出来上がった循環にそれが版下になるんだから。
ところで震災孤児の座談会企画があったが、子どもたちを新聞社へ呼びつけ、椅子だけで机もなく、お菓子処か水も出さず、しかめっ面をした大人たちに囲まれて、まともな座談会にはならないだろう。あのシーンはもう少し工夫してほしかった。ただし、GHQの援助のものと、着々と復興が進んでいるということにしておきたいアメリカ側の事情と、それに忖度する人たち、および、復興なんて簡単には進まないし空襲で死んだ親が生き返るわけでもない、そのことを記事に死体とする人たちとの軋轢、という点では価値があった。
(2025-07-09 記)
高知新報の入社試験を受けた嵩は、久しぶりに会ったのぶにいつか世界一面白いものを作りたいと話す。その夜、急に思い立って会社の資料室に駆け込んだのぶは、古新聞の中からあるものを見つけ出す。すぐに採用者の人選をしていた東海林たちのところへ向かうが、話を聞いてもらえない。とその時、社会部の緑川が、明日の朝刊に穴が開きそうと慌ててやってきて……。(NHKオンデマンドの解説より)
面接試験では頓珍漢な受け答えばかりし、面接官から「受けた会社を間違えたのではないか」と言われる始末。手伝いの琴子は「十中八九落ちた」とのぶに話す。のぶは、かつてたかしが投稿して掲載された四コマ漫画を探し出し、東海林に見せようとしたところ、締め切りまで2時間という時刻になって、急遽掲載できない記事が出て、穴が開きそうになる。のぶは四コマ漫画を見せ、この漫画を描いた人、挿絵も描けます、と叫ぶ。
のぶは、試験が終わって帰るたかしをつかまえ、屋台で芋? を食べながらしばし談笑。たかしは、進駐軍から引き取ったゴミを闇で売っていることを話し、そこで見つけた雑誌にいたく感銘を受けたことを伝える。こんな面白い雑誌があったのかと。戦争で負けて娯楽で負けて悔しい。だから自分は、世界一面白い娯楽雑誌を作りたいんだと。のぶは「私が試験官ならたかしは合格や」と話すが……
たかしよ、なぜその話を面接でしないのだ!!
それと、これまで正しいと思っていたものが正しくないことがわかった、詮議は逆転する、逆転しない正義はあるんでしょうか、というようなことをたかしが面接で語っており、これは同じことで悩んだのぶが教師を辞める原因にもなったが、彼らがこれまで「正しい」と思っていたことで、戦後、「正しくない」とされたのは、具体的に何を指しているのか? それに関する説明がドラマの中で全くないから、彼らが何で悩んでいるのかがわからない。
将来は兵隊になってお国のために戦うことが正義だと思っていたが、そうじゃなかった、とか? のぶはともかく、たかしはもともと兵隊になりたいとは思っていなかった。ただ逆らえなかっただけだ。だから、やっぱり、というだけで何も逆転していないんじゃないか。それに、「戦争はいけないことですよ」とはドラマの中では誰も語っていないし。
以前、教科書が墨塗りされるシーンがあったが、どういう表現がダメだとされたのかについての説明が一切なかった。あそこでそれをやるべきだったにゃー。
(2025-07-09 記)
「終活」について考え始めた鳴海は「自分より親の老後が先にやってくる」事に気がつく。もし親に介護が必要になったら自分が世話を? 仕事をしながら介護できるのか? 亡くなった場合の葬儀代は? それら全てを自分が背負わなければならなくなったとしたら……自分の終活どころではない! そこで鳴海は、まず両親に「終活」を始めてもらおうと、ある作戦を思いつく。そして同僚の那須田を連れ実家を訪れる……。(公式サイトより)
見ている時間が取れなくて一週間遅れになってしまった。が、前半で第一話のダイジェストをうまく振り返ってくれたため、そうそう、そういう話だったねと思い返すことができた。きちんと見て、記憶している人にとってはくどかったかも知れないが、自分にはありがたかった。
今回は第一話よりもさらにコメディに振っていた。だいたい、鳴海が物思いにふけり出すとアブナイ。自分も老親を抱えているから冗談ではないことばかりなのだが、楽しく見られて助かっている。
鳴海が那須田を実家に連れて行ったところ、父も母も「騙されているんじゃない?」と訊いて来たのは、逆の意味で笑った。原作の鳴海は冴えない会社員だから、若く前途ある若者が言い寄ってきたら何が意図があるのではないかと慎重になった方がいいかも知れないが、見た目が綾瀬はるかだからなあ。40歳になったって付き合ってくれるものなら付き合ってほしいと誰だって思うんだから。
那須田がアイドルっぽい恰好をするところも笑えた。中の人は正真正銘のアイドルだからな~。
で、予告編によると来週はもうラップバトルだそうだ。早くね?
(2025-07-04)
厩舎で居眠りしてしまったものの、神野に頼まれた島の取り計らいで受験できた嵩は、乙種幹部候補生に合格する。神野に礼を伝える嵩に、神野は自分も変わり者に頼まれたと言う。嵩は寝台で本を読む八木のところへ向かい……。高知では、のぶのもとに次郎から手紙が届く。(NHKオンデマンドの解説より)
「試験を受けられない」と言われた理由がよくわからないまま、試験が終わったが、不寝番なのに居眠りをしてしまうような者に受験資格はないと見做されたらしい。しかし島は「神野に頼まれたから」と特別に受験を許可し、優秀な成績で乙幹に合格する。神野に礼を言いに行くと、「俺も変わり者に頼まれた」と答える。変わり者とは八木のことだろう。
その晩、神野、馬場はたかしを称え、飲みに誘う。
神野は、たかしを庇ったのは自分の手柄だということにしておけばいいのに、八木に頼まれたと正直に言うあたり、根っから悪い人というわけではないのだろう。
飲みに誘ったことについては、twitterでは「これから自分の上官になるであろう人に、さっそく媚びている。こういう要領の良さがないと軍隊では生き残っていけない」という辛辣な意見も多々。そうかも知れない。が、一方、後輩を殴ってストレスの捌け口にするのはやめる、という言葉も。やはり殴るのは教育のためではなく、ストレスの捌け口であっのであり、その自覚もあったのだ。そう自覚し、口に出せたのは、それはそれでよかったと思う。
(2025-06-24 記)
ひとり靴磨きをする嵩の前に、健太郎が現われる。思いがけない再会に嵩は心が救われる。島中隊長の前で軍人勅諭をすらすらと暗唱した嵩は、島の推薦で陸軍幹部候補生試験を受けることに。試験を間近に控えた嵩に、八木は受かるしか道はないと発破をかける。嵩は徹夜で勉強しようと厩舎の不寝番を申し出るが……。(NHKオンデマンドの解説より)
前日の51話を見て、今週はこれでいくのかと暗澹たる面持ちだったが、暴力は初日のみ、ということらしい。今日は一度も殴られなかった。なるほど、これはうまい。軍隊とはこういうところだと視聴者に刷り込んでおけば、毎日それを見せる必要はないのだ。
八木は(鈴木アナの言うように)いい人なのかも知れない。帽子を盗んだかどでたかしがリンチを受けかけていた時に、怒鳴って外に連れ出し、靴磨きを命じたのは、あの場にいたら殴られ続けるだけだと判断して離してくれたのかも知れないし。軍人勅諭も、八木が覚えておけと命じたから、島の前でいいカッコができたわけだし。
しかし、試験は体調万全で臨まなければできる問題もできないだろう。前夜に徹夜するのは正気の沙汰ではない。案の定、途中で眠ってしまった。「不寝番」なのに眠ってしまったと叱責を受けるのは当然だが、試験は受けられないという。寝坊して、既に時間を過ぎてしまったのか? それとも罰か?
和田義盛、ではなく横田栄司は「鎌倉殿と13人」のあと精神を病んで仕事を休んでいたとの報があったが、元気な姿が見られて安心した。
(2025-06-11 記)
嵩は高知連隊から福岡の小倉連隊に転属。新兵教育係の馬場ら先輩兵士の厳しい指導の下で過酷な軍生活が始まり、ここでやっていけるのかと暗い気持ちになる嵩。その中で、嵩の世話係である八木上等兵だけは厳しいながらも決して殴らず、古兵たちとも一線を引いていた。八木は嵩に軍事勅諭を暗記するよう命じる。そんなある日、嵩は先輩の戦闘帽を盗んだ容疑をかけられる。(NHKオンデマンドの解説より)
いやあ、すさまじい暴力の嵐だった。この15分でたかしらはいったい何度殴られたのか? 5回や10回では利かない。それも高知弁をしゃべったと言って叩かれ、よそったカレーのじゃがいもが足りないと言って殴られ、さらに盗んでいない帽子を盗んだと濡れ衣を着せられて袋叩きに遭い……と、殴られること自体もそうだが、その理由が理不尽極まりない。
これはこの先輩らが特別に意地が悪かったわけではなく、軍隊においては新兵は「娑婆ッ気を抜くため」意図的にこうした洗礼を受けるようなのである。とはいえそれも言い訳で、体のいいストレスの捌け口であったのだろうと想像する。これで「やっていられない!」と絶望して自殺する人も少なからずいたという。まあ、こんなことをやっていたら勝てるわけないよな、と思う。
八木も怖いけど、今のところ殴らない。あさイチで鈴木アナ(妻夫木のファンらしい)は「絶対いい人のはずです!」と言っていたから一縷の望みを託そう。
九州へ転属になったということは、健ちゃんとの再会があるのでは、と思っていたら、さっそく登場。が、たかしより階級が上(軍入りは先輩だから当然ではあるが)で、たかしの態度を咎めだてる口調だった。元は友人でも軍隊では階級がすべて。馴れ馴れしい口を利いたら殴るぞ、ということだろうか。
(2025-06-11 記)
坊主頭の嵩を見て全てを悟ったのぶは、「おめでとうございます」と頭を下げる。迎えた出征の日。町の人たちに激励される嵩に、千代子も必死に言葉を絞り出す。すると、そこにとある人物が現われ……。(NHKオンデマンドの解説より)
たかし出征。そこへ登美子がやってくる。「逃げ回ってもいい、卑怯だと思われてもいいから、生きて……生きて帰って来なさい!」。うしろで千代子が、口には出せないけれど、うん、うんというように頷いている。
そこへ憲兵がやってきて取り押さえようとするが、それを止めたのはのぶだった。
その様子を見ていたたかしが、急に「男らしい」顔になって「母が取り乱して失礼いたしました。立派にご奉公してまいります!」と叫ぶ。
今週は面白かったが、最後の登美子は特によかった。この時代、いち臣民としてお国のために尽くすべき、という気持ちと、死にたくない、我が子を死なせたくない、の割合は、実際のところどの程度だったのか。いずれにしても「行ってきます」と言っただけでいちゃもんをつけられるのだから、何を思っても建前しか口には出せなかっただろう。そこを、何をしてもいいから生きて帰って来るようにと大きな声で言えるのは、登美子しかいない。
それを聞いたのぶの心の中にも、登美子の言うことがあるいは正しいのかも知れない、という気持ちが沸き起こってきた。のぶだって、登美子がどういう人物かたかしや千尋から聞き、また何年も身近で生活していて、わかっていたはずである。信用に値する人物ではないと。それでも、今回の登美子の言葉はのぶの心に何かを植えつけた。
これまで周囲の目や評判を気にすることなく好きに生きて来た登美子だからこその説得力である。これまで視聴者からの反感にも動じることなく登美子を生きていた松嶋菜々子の最大の見せ場だった。
また、母のこの様子を見て却って踏ん切りがつき、勇ましく挨拶する(それによって、その場を収める)のも興味深い。
なお出征してしばらくたかしは登場しなくなるのかと思ったら、たかしの軍隊の様子も描かれるようだ。高知のチームに配属され、その後、博多のチームへ編入。一緒になった今野はおさななじみらしいが誰のことかわからない。あとで調べたら、学校に弁当も持ってこず(持ってこれず)たかしが弁当をあげていた子だった。パン食い競走の時も豪ちゃんと一緒に走っているという。再会した時にそういう回想シーンをちょっと流してくれればいいのに。
(2025-06-11 記)
司が山に出かけて二週間が経った。さとこは寂しそうな鈴を気遣うが、鈴のソーイングマーケットは休業のまま、手製の商品は積み上げられている。団地にはまだ働きたいお年寄りもいる。司の不在を埋めるように、さとこは自分に出来ることを探し始める。団地の中に共有スペースを作って、様々なかたちでみんなが利用できる場所があればと考えつくのだが……。一方の司は……。(NHKオンデマンドの解説より)
不用品があっても誰でもネットで販売できるわけではなく、引き取ってくれるところへ持っていくのも手間がかかる。一方、ある年齢を過ぎると働きたくても働くところがない、という話も聞いたさとこは、団地の集会場を安く借りてフリーマーケットを開催したらどうかと考える。
不用品の交換ができる。人々の交流が活発になる。喫茶店を経営したい人もいるから、コーヒーや軽食を出してもらうようにする。雇用が生まれる。団地の住人以外の人も集まるようになれば地域の活性化にもつながる。といいことづくめだが、先立つものがない。そうしたら唐が、うまい名目を考えれば補助金も下りるのではないか、とアドバイス。また、もともとコミュニティデザインに興味のあるマシコヒロキが協力を申し出てくれたことから、一気に話が進む。
普段はカフェ、一角ではハンドメイド作家が商品を販売。八つ頭と反橋には野菜を提供してもらう。うずらの協力のものと、薬膳料理も提供。さとこの母もやってくる。……と妄想するが、道は遠い。
さとことすずはベランダで梅干しを作っている。そこへ司が帰って来る……
前回のラストで、すずはもう司が戻って来ないものと覚悟していた。そのすずが司の顔を見て動揺する様子は素晴らしいものがあった。その一瞬の演技でこちらも涙が出て来るかと思った。が、その直後にすずとさとこが「おかえりなさい」と大声で叫ぶのはいただけなかった。あそこは加賀まりこの表情だけで十分過ぎる説得力があった。声はいらなかったと思うのだ。
さとこの大学時代の友人から連絡がある。聞いてほしい話があるから会いたいと。断わると、電話で話ができないか、さとこに話を聞いてもらうと元気が出るのだという。相手が元気が出る分、さとこは精気を吸い取られてしまう。だからといって面と向かって断わりにくいが、さんざん躊躇した挙句、さとこは断わる。
その後、さとこは司に電話し、こういうことがあったけど断わりましたと報告。司からはそれでいいのだと励まされるが、これって、さとこも司に同じことをしていないか? 自分が司だったら……「彼女」だったら話くらいは聞くが、付き合っているわけでもない相手からこんなことで電話されてもな。司がフラッと山へ行くのは、そういうのが鬱陶しいからではないのかな。
とまれ、司が戻って来て終わり。大団円。シーズン2はあるか。
題名 | 父と僕の終わらない歌 |
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原作 | サイモン・マクダーモット |
脚本 | 三嶋龍朗、小泉徳宏 |
監督 | 小泉徳宏 |
出演 | 寺尾聡(間宮哲太、間宮楽器店経営)、松坂慶子(間宮律子、哲太の妻)、松坂桃李(間宮雄太、哲太の子・イラストレーター)、三宅裕司(藤岡治、哲太の幼なじみ・スカジャン屋経営)、石倉三郎(門松大介、哲太の幼なじみ・喫茶店経営)、佐藤栞里(志賀聡美、雄太の幼なじみ・バー経営)、副島淳(ダニエル、聡実の夫)、大島美幸(田所、高齢者福祉施設主任)、佐藤浩市(医師)、齋藤飛鳥(海野由梨、レコード会社社員)、ディーン・フジオカ(亮一、雄太のパートナー)、他 |
公式サイト | 映画『父と僕の終わらない歌』|大ヒット上映中 |
制作 | 日本(2025年5月23日公開) |
時間 | 93分 |
劇場 | イオンシネマ港北NT(スクリーン6) |
2016年秋、アルツハイマーを患うイギリス人のテッド・マクダーモットが80歳にしてCDデビューを果たした。息子のサイモン・マクダーモットは父の半生を描いた「父と僕の終わらない歌」を刊行。本作はこれを日本の親子に置き換えて制作されたもの。
間宮哲太は、かつてレコードデビューを夢見たがかなわず、横須賀で楽器店を営む。時折地元のステージで歌い、喝采を浴びて来た。物忘れがひどく、病院へ行ったところ、アルツハイマー型認知症と診断される。父を心配した雄太は、しばらく実家へ戻って一緒に暮らすが、父の病状は日ごとに酷くなり、ついに律子や雄太の顔がわからなくなるようになった。
雄太はゲイだった。現在はパートナーの亮一と一緒に暮らしている。10年前、30歳の時に両親にカムアウトし、両親も理解を示してくれていた。が、本心では父が自分をどう思っていたのか知りたいという気持ちを雄太は抑えられなくなり……
23日はなんとか映画館に行く時間が取れそうになり、どうせならその日封切の新作をと思って本作を選択。知っている役者が多く登場するようなので見やすそうなことと、劇中歌を寺尾聡が歌うのでそれも見どころだと思った。
作品としてはとてもいい出来だったし、10年前なら楽しめただろうが、現在、認知症を患っている親を抱えている身としては、全く笑えない話だった。見ているのが辛い。こんな話だとわかっていたら見なかっただろうな。