窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「麒麟がくる」第一回「光秀、西へ」

出演

明智
斎藤家
その他

あらすじ

野盗が明智荘を襲ってきた。光秀率いる部隊は必死で防衛し、追い返すが、畑に火をつけられ、米俵を何俵も奪われてしまう。彼らはまた襲ってくるだろう。その時は防ぎ切れるだろうか? また野盗は鉄砲という見たこともない武器を持っていた。防衛軍を率いる立場として自分はあまりにも無知だと感じた光秀は、主君である斎藤道三に願い出て、鉄砲の購入と病弱な小見の方の介護のため医師を連れてくることを条件に、京への旅を許可してもらう。

堺では松永久秀の協力もあり鉄砲を一丁手に入れることができたが、同じく鉄砲の購入に来ていた幕府方の三淵藤英は、弓矢のように連発が効かず、使い勝手も悪い、鉄砲は戦の道具としては使えない、床の間に飾るのならいいが、という。

その後京へ行くと、度重なる戦で町は荒れ果てており、住民は食うや食わずのありさまだった。そこで知り合った駒は戦災孤児で、いつか戦はなくなる、あともう少しの辛抱だと光秀に語る……

戦国の戦

冒頭の野盗との戦闘シーンはかなり迫力があった。特に野盗の一人が(それを追いかけるハセヒロも)地面から家の屋根に駆け上り、隣の家の屋根に飛び移り、その勢いで屋根を踏み抜いて床に転がり落ちる、というシーンはすごかった。ケガなく撮影できたのだろうか?

しかし、いつも思うのだが肝心のところがおかしい。光秀らが陰に隠れて野盗が走り抜けていく横合いから弓矢を射かけたのは良かった。が、野盗らが刀を抜いて向かってきた時に、なぜ弓を捨てて自分らも刀で応戦したのか? 遠間から矢を射かけ続ければ、傷を負うことなく相手を負傷させられたはず。真剣を手にして複数の相手と斬り合えば、どんなに腕が立ったとしても無傷ではいられない。

戦で相手を攻撃する時は、平安時代から、とにかく弓。矢がなくなったら槍。刀なんてよほど近寄らなければ斬れないから実戦では役に立たないのだ。けれども日本人はちゃんばらが好きだというか、ちゃんばらが好きだとドラマスタッフに信じられているせいか、どんな戦国ドラマを見ても必ず刀を抜いてチャンチャンバラバラを始めてしまう。刀を抜いて相手を斬ったのは幕末の新選組くらいのものではないか? おかしいなといつも思う。

その他雑感

  • 珍しく子役を使わず、いきなり本役で始まる。最近だと「真田丸」以来か? そのハセヒロさん、やたらに甲高い声で叫び、テンションが高いが、若さを表現していたのか(恐らく今回の光秀は10代なのであろう。ハセヒロさんは42歳……)。
  • 駒のしゃべり方が現代(21世紀の)娘っぽい。とはいえぎりぎり許容範囲内か?
  • 登場人物が割に派手な色合いの衣裳を着ているのは、今回(大河史上初めて)4K撮影をしているからとのもっぱらの噂。衣裳が綺麗なのは良いが、田畑の黄色や緑も鮮やか過ぎて人工色っぽい。
  • 松永久秀はてっきり光秀の金を盗んだのかと思った。が、ちゃんと鉄砲を用意していた。それならわざわざ酔い潰さなくてもよさそうなものだが……
  • 15分拡大の1時間かと思ったら、30分拡大の75分だった。長過ぎる。
  • 終了直前に(第二回の予告編的に)帰蝶が登場。川口春奈はなかなか可愛くてよいが、このシーンは周囲の人にとっては二度目の撮影かと思うと、思わず涙である。

追記(1月21日)

  • 人身売買や比叡山が勝手に通行税を取ったりとかいうことがありふれた日常として描かれていた(主人公がそれにいちいち怒ったりかばったりしない)のは良かった。
  • 斎藤家が織田との戦の準備中に帰蝶がやってきて参戦するというと、利政が「嫁に行った娘をあてにするほど落ちぶれてはおらん」のように言うのだが、まだ信長に嫁いではいないはずで、ちょっと「???」だった。あとでネットを見てみると、信長とは再婚という最新の学説に基づいているそうな。

追記(1月25日)

  • 1547年と冒頭で宣言されていた。明智光秀の出生年は不明で諸説ありだが、1528年説を採用すると19歳。ハセヒロさんのはっちゃぶりも10代を意識した演技だったと思われる。
氏名 満年齢 役者の年齢
明智十兵衛 19 42
斎藤利政 53 54
斎藤高政 20 44
帰蝶 12 24
松永久秀 39 61


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(2020/1/20 記)

「麒麟がくるまで待てない戦国大河ドラマ名場面スペシャル」(NHK)

大河ドラマは歴史が長いし、名作ぞろいだから、「名場面スペシャル」はすごく面白いものになる。テーマとか、特定の人物を演じた役者の共演は見どころ十分で興味深かった。

しかし、改めてみると戦国時代だけでもこんなに何度もやってたんだな、と思う。それはそれでいいのかも知れない。桶狭間を、川中島を、本能寺を、関ヶ原を、手を変え品を変え、何度も何度も演じていくというのは、ありなのかも知れない。毎年必ず「生まれて初めて大河ドラマを見る人」というのが必ずいるわけだし。

しかし、一般の人には知られていないけど日本史上で重要な役割を果たした人というのは、もっと大勢いるのではないか。そういう人に光を当てていくのも、大河ドラマの重要な役割ではないのか、とも思うのだ。

来年は渋沢栄一、再来年は北条義時だそうだから、そのあたりはわかっているのかも知れないが。


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(2020/1/18 記)

「アナと雪の女王2」

1月4日、「屍人荘の殺人」に続けて見る。まずは字幕版で。

題名アナと雪の女王2(Frozen II)
監督クリス・バックジェニファー・リー
脚本ジェニファー・リー
出演イディナ・メンゼル(エルサ)、クリスティン・ベル(アナ)、ジョシュ・ギャッド(オラフ)、ジョナサン・グロフ(クリストフ)、他
公式サイトアナと雪の女王2|映画|ディズニー公式
制作USA(2019年11月22日日本公開)
時間103分
劇場イオンシネマ 港北NT(スクリーン4)

総論

一言で言えば、そうだろうなと思ったらそうだった、というところか。

雑感

前作に匹敵するほど面白くはないだろう、と思ったらその通りだったということ。前作は、何しろ物語の序盤でエルサが示した、指先一つで橋を架け、城を築いてしまうという行為はけた違いの魔力であり、度肝を抜かれたと言ってよい。しかもそこで歌われた「ありのままで」は歌詞といいメロディといい非常にキャッチーであった。

このシーンは丸々予告編で使われたため、多くの人に強い印象を与えたであろうが、本編では「ありのままではダメなんだ」と気付いたエルサがアレンデールに帰ってくるという、これをさらに覆す仕掛けがあった。これが大ヒットの根幹だっただろう。他にも、アナがハンスといい仲になったと思ったら裏切られたとか、クリストフが登場し彼の愛に救われる結末かと思ったらそれも違ったとか、とにかく次々と予想が裏切られていくストーリー展開が小気味よかった。

今回は、予告編を見る限りでは「ありのままで」に匹敵する印象に残る曲がない。エルサもいろいろ魔力を見せるが、一瞬で城を築く行為を超える驚きがない。おまけに新しい事件、新しい展開ではなく、時系列としては前作の3年後の出来事だとしても、扱われるのはエルサが魔力を宿した理由や両親の出生の秘密。いわば過去をたどる旅である。前作の大ヒットを前提とした話ということだろうが前作を知らない人には興味の持てない内容だ。

また、見ていると前作で周囲に大きな迷惑をかけ、また三年の月日が経っているのに、エルサは全く成長していない。すべてを自分が抱え込めば済むと短絡的に考えてしまうが、エルサはもともと視野が狭い。むしろ統治者に相応しい大局観や判断力を備えているのはアナの方で、だからエルサは常にアナをそばに置き、彼女の意見に耳を傾けるべきなのだ。しかしまたしても彼女の忠告を無視して被害を広げそうになった。もっともアナも今はそれがわかっているからエルサから離れず、被害を最小限に食い止めることができたわけだけど。

そういうわけで、アナの方がよほど王位に相応しいのにと前作から思っていたが、なんと物語の終盤、エルサは城を出、王位はアナが継ぐことになった。これは正しい判断だ。そういう点では後味の良い話であった。

今回はクリストフ君は出番なし。国の危機的状況であるにも関わらずプロポーズのセリフばかり考えているお花畑脳はちょっと情けないが、プロポーズは受け入れられたので一応ハッピーエンドである。しかしアレンデールの国民がいかに寛大であっても、女王の夫としてクリストフが相応しいとは僕には思えない。いや、「精霊の国」アレンデールにおいて、トロールに育てられたクリストフには山男とはまた別の役割があるか……

その他

二回見たくなるほどの話ではなかったが、松たか子と神田沙也加の歌声は聴きたいなあ。

アナと雪の女王2 (オリジナル・サウンドトラック)

アナと雪の女王2 (オリジナル・サウンドトラック)

  • 発売日: 2019/11/22
  • メディア: MP3 ダウンロード


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(2020年1月26日 記)

「屍人荘の殺人」

浜辺美波の魅力がすべて。

題名屍人荘の殺人
監督木村ひさし
原作今村昌弘
主題歌Perfume「再生」
出演中村倫也明智恭介、自称探偵)、神木隆之介(葉村譲、探偵の助手)、浜辺美波(剣崎比留子、探偵少女)、柄本時生(七宮兼光、御曹司)、古川雄輝(立浪波流也、チャラ男)、葉山奨之(進藤歩、パシリ)、福本莉子(星川麗花、進藤の彼女)、矢本悠馬(重本充、ホラー映画マニア)、大関れいか(下松孝子、ゴマすり女)、佐久間由衣名張純江、ヒステリック女)、山田杏奈(静原美冬、スマホを落とした女)、ふせえり(高木凛)、塚地武雅(出目飛雄)、池田鉄洋(菅野唯人、執事)、他
公式サイト映画『屍人荘の殺人』公式サイト
制作日本(2019年12月13日公開)
時間119分
劇場イオンシネマ 港北NT(スクリーン10)

概要

明智恭介は名探偵を気取っているが、事件に首を突っ込んで回るだけであまり役に立っていない。葉村はそんな明智に振り回される日々を過ごしている。一方剣崎は、自らは語らないが警察が手を挙げたような難事件を何度か解決したことがあるという。

ある日剣崎が明智と葉村をロックフェス研究会の合宿に参加を持ちかける。昨年の参加者に行方不明者がいたことを告げると明智はその気になる。

合宿では我が物顔で振る舞うOBの七宮や立浪に皆がうんざりしている。

ロックフェスになぜかゾンビが出現。次々に人間を襲い、襲われた人間はゾンビ化するというわけで、あっという間にゾンビが大量発生。合宿組は宿舎の紫湛荘(しじんそう)へ命からがら逃げ込む。合宿組とは無関係の静原、高木、出目もここに逃げてくる。翌朝、メンバーの一人が死体となって発見される……

雑感(ネタバレあり)

斬新と言えば斬新なのだろう。「密室」を作り出すためにゾンビを大量発生させるというのは。これで外へ出ることも外から誰かがしのんでくることも不可能。「雪山の別荘」に変わる新しい「クローズドサークル」というわけだ。

しかし、ゾンビが大量発生したということは、大量の人間が死んだということだ。その中には仲間である明智もいるのだ。今さら別荘の中で死体が発見されたからといって、それがナンダというのだ? 今解かなければいけないのは、その殺人事件の犯人を突き止めることではなく、なぜゾンビが出現したのか? どうしたらゾンビから逃げられるのか? 噛まれてもゾンビにならずに済む方法はないのか? といったことではないのか。

もちろんバリケードを築いた建物の中にも殺人者がいるとなれば安心してはいられないから、それはそれで切実な問題なのかも知れないが、窓やドアの外では大勢のゾンビが今にもドアを破って入って来ようとしている中で呑気に謎解きをしているというのも現実味がない。

では詰まらない映画だったのかというと、そんなことはなく、最後まで見入ってしまったのだが、その理由はと言えば浜辺美波に尽きる。浜辺の演じた剣崎比留子の造形が――顔つき、表情、仕草、しゃべり方、そうしたことのひとつひとつが――実に魅力的で、目が離せなかったのだ。

ストーリーがどうであれ、映画というのは一人の魅力的なキャラとそれを演じきれる役者がいれば成立するということを改めて認識させられた作品だ。

それにしても誰がどういう理由でゾンビを登場させたのか、最後まで不明なままだったのは気持ちが悪い。「そこが問題ではない」というのなら、注射でゾンビ菌を打つシーンなど不要で、自然発生したことにすればよかった。

配役

浜辺美波は「アルキメデスの大戦」で尾崎鏡子を演じた人。あとで調べるまでわからなかったし、今でも同一人物だとは信じがたい。あの時は若い割にずいぶん老けた顔をしているな、しかも美人は美人だけど古臭いというか昭和顔だな……などと思ったものだが、それも演技(とメイク)だったわけか。

剣崎比留子を主役でシリーズ化されないかなぁ……

「この世界のさらにいくつもの片隅に」

面白く見た。長尺だったがあまり長さを感じさせなかった。

題名この世界のさらにいくつもの片隅に
監督片渕須直
原作こうの史代
出演のん(北條すず)、他
公式サイトこの世界の(さらにいくつもの)片隅に【映画】
制作日本(2019年12月20日公開)
時間168分
劇場テアトル新宿(劇場1)

雑感

  • この世界の片隅に」を見てからずいぶん時間も経っているため、差異についてははっきりとはわからなかった。リンさんのエピソードもちゃんと描いていたが、それ以外にも追加されたシーンは多々あるという。
  • 原作を読んでわからず、「この世界の片隅に」を見てわからず、実写のテレビドラマを見てわからず、今回改めて見てやっぱりわからなかったのは、周作がすずを哲に差し出すシーンだ。あの当時、死にに行く兵隊さんには、自分の女房であっても差し出す習慣があったのか? それともすずが哲を好きなんだと思い込んだ周作の暴走か? すずも周作に身体を触られて嫌がらないから、部屋へ入った段階でその意味を察し、ある程度覚悟を決めていたということか。なんでそこまでしたのか。どなたか、解説してくれないだろうか。

過去記事


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(2020/1/19 記)

「男はつらいよ お帰り寅さん」

事前情報から想像していたのとは違い、期待よりも良かった。

題名男はつらいよ お帰り寅さん
監督山田洋次
出演■登場歴あり/渥美清(車寅次郎)、倍賞千恵子(諏訪さくら)、前田吟(諏訪博)、吉岡秀隆(諏訪満男)、美保純(朱美)、佐藤蛾次郎(源公)、浅丘ルリ子(リリー)、後藤久美子(及川泉)、夏木マリ(原礼子、泉の母)、他
■初登場/桜田ひより(諏訪ユリ、満男の娘)、池脇千鶴(高野節子、編集者)、カンニング竹山(飯田、編集長)、出川哲朗(出版社社員)、北山雅康(カフェくるまや店長)、濱田マリ(満男がサイン会をした書店の客)、橋爪功(及川一男、泉の父)、笹野高史(御前様)、小林稔侍(窪田)、立川志らく噺家)、他
公式サイト新作映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』公式サイト|松竹映画『男はつらいよ』公式サイト| 松竹株式会社
制作日本(2019年12月27日公開)
時間116分
劇場イオンシネマ 港北NT(スクリーン5)

あらすじ

満男は泉ではなく別の女性と結婚し、娘をもうけていた。が、その妻は亡くなり、七回忌の法要のシーンから物語は始まる。満男はサラリーマンをやめ、小説家に転身している。泉はUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)で勤務し外国暮らしを続けているが、仕事で日本に来た時に満男がサイン会をやっているのに気づき、……

雑感(ネタバレあり)

日本映画史上に残る偉大なるシリーズ作だから、ということと、山田洋次は現在88歳、あと何作撮れるか、もしかしたら遺作になるかも、と思うと、「見ないわけにはいかない」のだが、一方で不安もあった。CG合成の寅さんが出て来てあれこれ新しいセリフをしゃべったらイヤだなと……

しかしそれは杞憂であった。事前に盛んに「CG合成の寅さん」と騒いでいたのは、満男が「おじさん」のことを思い出した時に部屋にぼーっと映る姿のことだろう。それ以外の渥美清の出演シーンは、過去の作品からの切り抜き。過去作を知っている人にとっては、そうそう、こういうことがあったねえ、と(満男らとともに)懐かしく思い出せるわけで、それが本作の魅力のひとつ。

「おなじみ」の人たちの「その後」を知るのも興味のひとつ。さくらはメールを使いこなしている。朱美も源公も変わっていない。御前様は二代目になっている。リリーは元気だった。などなど……。ちなみに寅さんは、もう長いこと連絡がないが、一応生きていると思われているようだ。

メインストーリーは満男の話。ただしこちらはあまり面白い話ではない。妻を亡くして六年、思い出すのは泉ちゃん、というのも後ろ向きな話だが、既婚者の泉が満男と再会して満男の実家に行くところまではいいとして(家庭に恵まれなかった泉は、満男の家族がうらやましく、さくらや博を自分の親のように思ったこともあろう)、泊っていったり、自分の親に会うのに満男を同伴したりするのはやり過ぎ。キスをするに至っては、頭のネジが飛んでいるんじゃないか!? と。長年の寅さん映画のファン的には、満男と泉のラブシーンは絶対に見たいところなののかも知れないが。

今年20本目。これが最後だ。

その他

  • 泉は国連の人が日本で講演を行なうのに通訳として同行・来日したが、そのスピーチは最初フランス語か? と思ったがよくよく聞いたら英語だった。なんかフランス語っぽい発音だな、と思ったら、講演者はフランス人らしく、泉とはフランス語で会話をしていた。で、よくよく考えると、後藤久美子ジャン・アレジと結婚して現在はスイスに住んでいる。恐らくフランス語はペラペラなのであろう。ジャストフィットの役柄であった。
  • 後藤久美子が女優業に復帰するのは23年ぶり。これまではもう女優はやらないと言い、オファーを断わり続けていたそうだが、山田監督から「男はつらいよ」の新作に出演してほしい、と依頼された時、自分に断わる権利はないと思ったそうだ。


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(2020/1/18 記)

「決算! 忠臣蔵」

討ち入りのシーンも切腹のシーンも描かれない、そもそも吉良上野介が登場しない「忠臣蔵」。

題名決算! 忠臣蔵
監督・脚本中村義洋
原作山本博文「『忠臣蔵』の決算書」
出演赤穂藩堤真一大石内蔵助)、岡村隆史(矢頭長助、勘定方)、濱田岳大高源五)、妻夫木聡菅谷半之丞、軍師)、西村まさ彦(吉田忠左衛門足軽頭)、西川きよし(大野九郎兵衛、次席家老)、木村祐一原惣右衛門足軽頭)、寺脇康文(間瀬久太夫大目付)、鈴木福(大石主悦)、小松利昌(貝賀弥左衛門、蔵奉行)、沖田裕樹(三村次郎左衛門、台所役人)、大地康雄(奥野将監、番頭)、上島竜兵(早川惣介、大目付)、荒川良々堀部安兵衛)、橋本良亮(武林唯七)、横山裕不破数右衛門、牢人)、他
■浅野家/阿部サダヲ浅野内匠頭)、石原さとみ瑤泉院)、笹野高史(落合与左衛門)、他
大垣藩滝藤賢一(戸田采女正、藩主)、板尾創路(戸田権左衛門、家老)
■その他/千葉雄大(磯田武太夫介錯人)、竹内結子(大石りく)、桂文珍(祐海和尚、遠林寺住職)、堀部圭亮(長次、蕎麦屋)、村上ショージ(前田屋茂兵衛、塩問屋)、他
公式サイト映画『決算!忠臣蔵』公式サイト
制作日本(2019年11月22日公開)
時間125分
劇場イオンシネマ 港北NT(スクリーン11)

雑感

  • 期待に違わず抜群に面白かった。
  • 登場人物は多いが混乱せずに見られるのは、キャラができているからだ。やはり忠臣蔵は偉大だ。自分も細部に詳しいわけではないが、知っているだけで笑える箇所があちこちにあった。もっと知っていればもっと笑えただろう。しかし知らなくても十分面白い。
  • ことを成すには先立つものが必要だというお話で、コメディ仕立てではあるが、とても重要なメッセージでもある。大石内蔵助はこと細かに帳簿をつけていたからこういう話も作れるわけだね。帳簿大事。

「忠臣蔵」の決算書 ((新潮新書))

「忠臣蔵」の決算書 ((新潮新書))

  • 作者:山本博文
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/11/01
  • メディア: 新書
決算! 忠臣蔵(新潮文庫)

決算! 忠臣蔵(新潮文庫)


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(2020/1/17 記)

「アイネクライネナハトムジーク」

多部未華子が出るので見たかったが、なかなか見る機会がなかった。まだやっているところがあって良かった。タイトルは、最初は何の呪文かと思ったが、モーツァルトに「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」というセレナーデがあるようだ。

題名アイネクライネナハトムジーク
監督今泉力哉
原作伊坂幸太郎
音楽斉藤和義
出演三浦春馬(佐藤、会社員)、原田泰造(藤間、佐藤の上司)、矢本悠馬(織田一真、佐藤の学生時代の友人)、森絵梨佳(織田由美、一真の妻)、恒松祐里(織田美緒、一真の娘)、八木優希(亜美子、美緒のクラスメート)、萩原利久(久留米和人、美緒のクラスメート)、柳憂怜(久留米邦彦、和人の父)、濱田マリ(久留米マリ子、和人の母)、貫地谷しほり(美奈子、美容師)、MEGUMI(板橋香澄、美奈子の勤める美容院の常連)、成田瑛基(ウィンストン小野、香澄の弟)、中川翼(少年、ウィンストン小野に憧れる)、祷キララ(女子高生、少年の姉)、藤原季節(青年、成長した少年)、こだまたいち(斉藤、ストリートミュージシャン)、多部未華子(本間紗季、就職活動中)、他
公式サイト映画『アイネクライネナハトムジーク』公式サイト
制作日本(2019年9月20日公開)
時間119分
劇場渋谷アップリンク(スクリーン2)

概要

佐藤は広告代理店勤務のサラリーマン。ある日駅まで街頭アンケートに立っていたが、なかなか話を聞いてくれる人がいない。そんな中、リクルートスーツ姿の紗季がアンケートに協力してくれることになった。紗季の手に「シャンプー」とメモしてあるのに気付いた佐藤は、思わず「シャンプー」と口にし、それに気づいた紗季がほほ笑む。……

雑感

  • 短い話が次々に起きて終わっていく展開で、大きな起伏に欠ける。取っ散らかっていて何が軸なのかわからない話だった。原作は伊坂幸太郎の小説だというが、もしや短編集なのではあるまいな?
  • 美奈子と香澄がお茶をするシーンがあり、本当にそういうことがあるんだと驚き、妙に納得した(「きのう何食べた?」でケンジが常連客に誘われて飲みに行くシーンがあり、美容院は常連客が店の人を誘うことがあるのかと驚いたことがある。床屋では絶対にないと思う)。

配役

  • 森絵梨佳の演じる由美が、少々出来過ぎだが実によくできた女性で、初めて見る森絵梨佳にも交換を抱いた。本業はモデルのようだが、今後に期待。

アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)

アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)


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(2020/1/11 記)

「阿修羅のごとく」(DVD視聴)

若き日の八千草薫を見たいと思って借りてきた。1979年1月にNHKで放映されたテレビドラマのリメイク版。

題名阿修羅のごとく
監督森田芳光
原作向田邦子
脚本筒井ともみ
題字山藤章二
出演大竹しのぶ(三田村綱子、長女・華道の先生)、黒木瞳(里見巻子、次女・専業主婦)、深津絵里(竹沢滝子、三女・図書館司書)、深田恭子(陣内咲子、四女・ウエイトレス)、仲代達矢(竹沢恒太郎、四姉妹の父)、八千草薫(竹沢ふじ、四姉妹の母)、坂東三津五郎(枡川貞治、綱子の不倫相手・料理店経営)、小林薫(里見鷹男、巻子の夫・サラリーマン)、中村獅童(勝又静雄、滝子の交際相手・興信所の調査員)、RIKIYA〔現・川口力哉〕(陣内英光、咲子の夫・ボクサー)、桃井かおり(枡川豊子、貞治の妻)、木村佳乃(赤木啓子、里見鷹男の秘書)、紺野美沙子(土屋友子、恒太郎の愛人)、益岡徹(緒方、綱子の見合いの相手)、長澤まさみ(里見洋子、里見家長女)、加藤治子(ナレーション)、他
制作日本(2003年11月8日公開)
時間135分

概要

四人姉妹は、しばしば集まっておしゃべりをし、表向きは仲良く過ごしているが、それぞれ他人には言えない秘密を抱えていたり、後ろめたいことがあり、また、互いに心の底ではよく思っていない部分もある。ある日滝子が、父に愛人と子がいると言い出す。興信所で調べ、証拠もあるという。姉妹は母を傷つけないように今後の対策について話し合うが……

雑感

  • 面白くなくはなかったが、長いテレビドラマという感じ。TVスペシャルならわかるが、あえて劇場版として制作した意図はよくわからなかった。スクリーンで見たらまた違った感想があっただろうか。
  • 景品を見つけただけで例の投書の主が母だと断定するのはいくらなんでも安易過ぎる。別の投書でもらったのかも知れないからだ。まあ、娘たちがそう信じた、ということが重要で、本当の投書の主が誰かはどうでもいいのかも知れないが。
  • 父の愛人(と子)とされた家族も、娘の思い込みで、知人の家族を庇護していただけとかいうオチがあるのかと思ったが、どうやら本当に愛人だったようだ。ひねりがない。
  • 姉妹が全員違ったタイプの美人のため、血がつながっているように見えないのはご愛敬だが、年齢が離れ過ぎている点はリアルさに欠けた。四女は母親が51歳の時の子だということになる。不可能ではないだろうけど……
氏名 映画公開時の年齢
大竹しのぶ 46
黒木薫 43
深津絵里 30
深田恭子 21
仲代達也 70
八千草薫 72
紺野美沙子 43
木村佳乃 27
長澤まさみ 16

配役

  • 今と違って驚いたのは、一番は長澤まさみ。まだ子供。最初はどこで長澤まさみが出て来たのかわからなかったほど。
  • 木村佳乃は現在からは想像もつかないほど色っぽい。巻子が夫の浮気の相手では? と疑う相手なので(ただの思い込みが、本当に浮気をしていたのかは作中では示されないが)ことさらフェロモンを全開にしていたのだろうけど。
  • 深田恭子は、顔つきなどは今とあまり変わらないのだが、太ってた。
  • この三人の他は、16年も前の作品であるにも関わらず、現在とあまり変わらず、違和感はなかった。まあ自分も役者みんなの「最近」を知っているわけではない。八千草薫は、自分の知っている「最近」は「舟を編む」(2013年)、深津絵里は「寄生獣」(2014年)で、それとの比較になる、という面もあるのだろうが。

阿修羅のごとく [DVD]

阿修羅のごとく [DVD]

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • 発売日: 2004/06/25
  • メディア: DVD

(2020/1/11 記)

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正当な(?)後継作品「ターミネーター:ニュー・フェイト」

公開初日に見られて良かった。以下ネタバレあり。

題名ターミネーター:ニュー・フェイト(Terminator: Dark Fate
監督ティム・ミラー
出演ナタリア・レイエス(ダニー・ラモス)、ディエゴ・ボネータ(ディエゴ・ラモス、ダニーの弟)、マッケンジー・デイヴィス(グレース、強化人間)、ガブリエル・ルナ(Rev-9)、リンダ・ハミルトン(サラ・コナー)、エドワード・ファーロング(ジョン・コナー)、アーノルド・シュワルツェネッガー(カール/T-800)、他
公式サイト映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』公式サイト 大ヒット上映中!
制作USA(2019年11月8日日本公開)
時間128分
劇場イオンシネマ 新百合ヶ丘(スクリーン1)

総論

「T2の正当な続編にして、新たなる伝説」というキャッチを数か月前から100万回くらい聞かされた。T2の、というのは、T3以降をなかったことにする、ということで、これは事実だからいいのだが、「正当」はどうだろう。ジェームス・キャメロンが制作を手がけ、リンダ・ハミルトンが出演しているからといって必ずしも「正当」だとはいえないし、正当だからといって面白いとは限らないよな、と思っていたのは残念ながら当たりだ。自分の中では「ターミネーター4」の方がずっと面白かった。

概要

近未来では、スカイネットは登場しないが(T2でぶっ壊したから)、それに代わる「リージョン」というAIシステムが登場し、人間に反旗を翻すので、結局同じような未来になる。

スカイネットはT-1000型ターミネーター(T2で撃退される)の他にT-800型も過去に送ってきており、これにジョンが殺されてしまう。怒り狂ったサラは、その後も何処からから送られてくるターミネーターを見つけては壊すのが「仕事」。リージョンも何故かジョンのいないはずの未来からターミネーターを何度も送りつけていていたのだ。

ジョンを殺したT-800型ターミネーターは、目的を果たした後、新たな指令がスカイネットから来ないため、「現代」でカールと名乗り、人間の家族を得て、「カーテン屋さん」で生計を立てていた。長く人間として生きることで「良心」が芽生え、ジョンを殺したことを後悔するようになる。そこで……

雑感

概要を書いているだけで情けないというか恥ずかしいというか、いったい誰がこんな筋立てにOKを出したのかと小一時間問い詰めたくなる。根本的に「ターミネーターは一体しかい」のが大前提で、だからこそT1でもT2でも、その一体をなんとか破壊することで解決したわけだ。こんな風に次々と送られてくるのでは、現代の科学力では基本的に太刀打ちできないわけだから、今回たまたま勝ったところで、次回勝てる保証はない。長い目で見れば負け戦は目に見えている。

スカイネットがなくなってもリージョンが登場するのは二番煎じ。Rev-9は二体に分離できる点がT-1000より進化しているが、液体金属である点は変わらず、驚きがない。T-800が「良心」を覚えるのはT2の発展形ではあるが、いくらなんでも「カール」と名乗るのはないよと思う。

狙われるダニーは、サラに代わる救世主の母親なのかと思ったら、彼女自身が救世主であったという点は21世紀だなあと思うが、未来のダニーはグレースが自爆するしか自分を守る道はないことを知りながら彼女を過去に派遣するわけで、ずいぶん残酷だと思ってしまう。この点はカールを派遣したジョンも同様に思えるが、ジョンの場合はカールが過去に行ってサラと夫婦にならないと自分が生まれないわけだから、意味合いが違う。

そんなわけで、アクションシーンはそれなりに面白く見たけれど、作品としてはとても評価はできない、というのが率直な感想である。

配役

  • サラを演じたリンダ・ハミルトンは、63歳という年齢にも関わらず見事な肉体で、今回の出演に向けてどれほどトレーニングを積んできたのかを考えると感動を禁じ得ない。それだけが見どころかな。

(2020年1月9日 記)


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