窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「虎に翼」(012)

第03週「女は三界に家なし?」(火)

放送日

  • 2024年4月16日

登場人物

  • 中村育二(桜川侑次郎、涼子の父)
  • 平山祐介(増野、カフェ「燈台」店長)
  • 奥田洋平(岸田、桜川家の執事)
  • おぎのさな(山下、明律へ入学を希望する生徒)

概要

悪気なく花江を女中と間違えてしまった留学生の香淑。花江は笑って流すも、寅子には「嫁に来た人の気持ちはわからない」と言う〔引用者注:ここまでは11話〕。そんな折、よねは涼子が書いた法廷劇の脚本を「甘い」と批判。寅子はよねに「人の本気に上も下もない」と反論し、言い合いになる。一方、はるもひそかに花江との関わり方を悩んでいた。(NHKオンデマンドの解説より)

「嫁に来た人の気持ちはわからない」という花江のつぶやきを聞いてしまったはるは、日記に「花江さんが何を考えているのかわからない。彼女を尊重し、優しくしている。女中のような扱いとは?」と書くが、その直後に花江の味付けにごく自然にダメ出しをしていた。

桜川家は三代続いて男子が生まれず、涼子の父・侑次郎も婿で寿子には頭が上がらない。そして寿子にとっては受け継いだ桜川家を存続させることが何より大事。そのためには涼子が早く結婚して子を生すことが最重要なのだ。涼子に向かい「桜川家に生まれた女の務めを果たしなさい」と詰め寄る。おまけに始終ワインを飲んでいる。

よねはカフェ「燈台」でバーテンとして働いている。が、酔客に侮蔑されると言い返し、増野が止めに入る。恐らくこれは年中行事なのかも知れない。「勉強なんかしなくても女は楽に稼げるのに」と言われるのが今のところ最も腹が立つ。こうした世界から抜け出るために誰よりも真剣に勉強をしているのだ。が、級友に食ってかかってばかりいて、寅子に「たとえあなたの本気が勝っているからって、誰かをけなしていいわけじゃない」と言われてしまう。

さて、明律際。寅子らは法廷劇を披露するが、客席からはいつもの男子学生・小橋から心無い野次が飛ぶ。あまりの暴言に怒ったよねが舞台を降りて客席まで文句を言いに行くと、小橋はよねを突き飛ばす……

感想

あの小橋という男子学生は酷い。女子が気に入らないなら見に来なければいいのに、なんでわざわざ文句を言うために劇を見に来たのかがわからないし、気に入ろうが気に入るまいが、公演を妨害するような行為は、主宰者だけでなく他の観客に対しても失礼極まりないことであり、許されることではないと、子どもだってわかる。

明律大学が学長以下、命運を賭けて女性の弁護士の実現に取り組んでおり、この法廷劇も女子部の存続・発展のための一環であるのに、それを邪魔立てするとは、大学に対する重大な反逆である。この一件を以て退学になってもおかしくない。そもそも日常的に女子部の存在意義を教職員が男子生徒らに説いていれば、こんな事態は引き起こされなかったと思うが、事ここに至っても、穂高教授は咳ばらいをするのみで注意に行ったりはしない。

思うに、小橋はいち男子学生ではなく、彼の言うことは世間の集約であり、これと同じことを彼女らはことあるごとにあちらこちらから言われ続けてきたのだろう。彼はその象徴なのだ。恐らく。

小橋がよねを突き飛ばしたのは、先週の話を振り返ると、よねが小橋を挑発してわざと突き飛ばさせたのか、とも思う。観衆の中で女性に暴力をふるったとあれば、たとえたいしたけがはしていないとしても、何らかの処罰は免れないだろうという判断か。が、怒りに火のついた寅子は、明日、彼に何と言うのか……?


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