窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「虎に翼」(014)

第03週「女は三界に家なし?」(木)

放送日

  • 2024年4月18日

概要

よねは貧しい生い立ちを明かし、涼子や寅子など、同級生らが恵まれていることに憤りを感じることを告白する。かける言葉が見つからない寅子は「毒まんじゅう事件」の実際の判例を再検証しようと提案する。はると花江の力も借り、実際にまんじゅうを作ってみることにする寅子たち。すると、意外な事実が判明する。(NHKオンデマンドの解説より)

法廷劇として取り上げた毒饅頭殺人事件の実際の判例を調べた涼子は、内容が学長によって巧妙に書き換えられていたことを知った。犯人は女給ではなく医師、事件の前に婚約不履行で民事裁判を起こし、慰謝料を得ていたと。恐らく、裁判も知らない無知な女給の方が観客の同情を引きやすいという構図なのだろう。「これで気持ち悪かった理由がわかった」とよねは吐き捨てる……

今日の涼子

「私、今まであなたとなるべくご一緒したくないと思っておりましたの。その、お気立てに、難がおありでしょ?」

感想

よねの壮絶な過去を聞いた寅子らは、何といって声をかけたらいいのか迷いつつ、何も言えずにいたが、よねが「学校を一日も休まず」と言うに及び、「月のものの時はどうしているの?」と突然訊ねる。「あんなもの、血が漏れなきゃいいだろう」というよねに、頭痛くならない? 気持ち悪くならない? と重ねて訊ね、「別に」と言われて「いいわね~」と漏らすのがオカシかった。

こういう時は変に何かを言おうとせず、「お大事に、また明日学校でね」とだけ言ってさっさと帰るのが吉だと自分は思った。が、生理の話に話題転換するのもひとつのアイスブレイクだ。それに、あらゆる点で寅子はよねよりめぐまれているかに見えるが、生理の時に頭痛も腹痛も悪心も起きないよねは、四日は寝込む寅子より、その点では恵まれているのだ。

しかしなんといっても、涼子の報告した実際の判例は衝撃的だった。

シナリオを担当したからだといえばそれまでだが、学長から提供された資料を鵜呑みにせず、この面子の中でただ一人、実際の判例を当たってみたのだ。結婚が厭で大学に逃げている「だけ」の人にそれはできない。勉強熱心を謳うよねだって、調べなかったわけだから。

そして実際の判例と学長の出してきた資料との相違。私は先日来、小橋のしていることは大学がやろうとしていることの妨害・敵対行為であり、それだけで厳罰に値するのではないか、そもそも日頃から大学の「精神」を説いていたら、こんなことはしなかったのでは、と書いた。が、要は発露の方法が違っただけで、学長も小橋もその精神性にあまり違いはなかったということだ。逆に言えば、だからこそこんな学生が生まれたのだろう。

さて、この件はどう決着がつくか。

寅子が母や花江らといっしょに饅頭を作っていて、花江がはるに味見を依頼し、「もっと砂糖を」というお馴染みのシーンも描かれた。もはや、猪爪家の一種の様式美だ。花江はわざとやっているのではないか。ただしこのやりとりに寅子は初めて気づいた様子。花江のもやもやの原因(のひとつ)に思い当たったか。



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