窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「虎に翼」(078)

第16週「女やもめに花が咲く?」(水)

放送日

  • 2024年7月17日

登場人物

概要

山の境界線をめぐる現地調停で書記官の高瀬と申立人の森口との間にトラブルが発生。寅子も巻き込まれてしまう。しかし高瀬は森口との言い合いの内容を決して明かさない。家に帰った寅子は優未がテストの点数をごまかそうとしている場面に出くわす。テストになると緊張してしまうと話す優未。寅子は亡き夫・優三のことを思い出していた。(NHKオンデマンドの解説より)

今日の高瀬雄三郎

「だからもういいですから、よそ者のくせにこっち側のふりをしなくて。……波風を立てず、立つ鳥跡を濁さずでお願いしたい」

今日の星航一

「ゆうべ、泣きましたか?」

感想

優未のテストの点数が悪いのは、緊張してお腹をくだしてしまうせいだった。優三に似たのだ。「パパに似ちゃったんだね」と苦笑する寅子に、優未は初めて無邪気な声で「他には? 他にはどんなどころがダメだったの?」と聞いて来た。花江さんに聞いても「いい人だった」としか言わないから……と。寅子は、優三のことを優未に語ってあげるのこそ、自分にしかできないことかと思いつつも、あれこれ思い出しているうちに胸がいっぱいになって言葉が出て来なくなり、優未には「お夕食の支度をしないといけないから」とごまかしてしまった。優未は再び「はい」と済ました声で返事をした。

あー、優未との距離を縮めるチャンスだったのに。お父さんはこうやって乗り切ったんだよ、と変顔をしてみせたら、優未の心はほぐれただろうに。そこまでできなくても、思い出すとつらくて、言葉にできないから、と正直に言えばよかった。

高瀬が森口に突っかかって行ったのは、森口から兄の死をたてに侮蔑されたからだ。高瀬にとっては兄の死が、寅子にとっては夫の死が、まだ消化(昇華)できていない。だから不用意に他人に触れられるのは辛いのだ。

本作では、ひとつの事象を説明するのに、同じような事例を異なる立場で複数提示する、という手法が意図的に用いられていることに気付いた。これもそのひとつ。

優未が投稿した後、寅子が畳の上にあおむけになって「仕事行きたくなーい!」とじたばたするシーンは見もの。忘れ物をして戻って来た優未は母親のその姿をバッチリ見てしまう(が、全く表情を変えず、再び出かけていく)。なかなか朝ドラでは見られないシーンではないかと思う。



映画ランキング