アカデミー作品賞受賞。絶妙なタイミングで封切になったので、さっそく観に行く。なるほど確かにこれはオスカーだ。
題名 | それでも夜は明ける(12 Years a Slave) |
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監督 | スティーブ・マックィーン |
原作 | ソロモン・ノーサップ「12 Years a Slave」 |
出演 | キウェテル・イジョフォー(ソロモン・ノーサップ)、ベネディクト・カンバーバッチ(ウィリアム・フォード、聖職者)、マイケル・ファスベンダー(エドウィン・エップス、プランテーションの支配人)、サラ・ポールソン(メアリー・エップス、エドウィンの妻)、ポール・ダノ(ジョン・ティビーツ、奴隷のまとめ役)、ルピタ・ニョンゴ(パッツィー、エップスの奴隷にして愛人)、ブラッド・ピット(サミュエル・バス、カナダ人大工)、他 |
公式サイト | 映画『それでも夜は明ける』公式サイト 大ヒット上映中! |
制作 | USA、イギリス(2014年3月7日日本公開) |
時間 | 134分 |
劇場 | TOHOシネマズ ららぽーと横浜 |
内容紹介
1941年(南北戦争の起きる20年前)、アメリカ・ニューヨーク州サラトガ。ソロモン・ノーサップは自由証明書を持つ自由黒人のバイオリニストで、妻子とともに幸福な生活を送っていた。が、奴隷商人に騙されて拉致され、黒人奴隷として南部に売り飛ばされてしまう。最初の主人はウィリアム・フォード、次の買い主はエドウィン・エップス。南部ゆえ助けてくれる人もないまま、11年以上も奴隷生活を送ることになる……
雑感
一言で述べれば、実に力の入った力作であり、話もよくできていて、役者もみな好演していた。オスカーは当然といえよう。初めから終わりまで、ずっと緊張したまま画面を凝視し続けた。ただし昨年の「アルゴ」や一昨年の「アーティスト」のように何度も見に行きたいかといえば、それは別。内容が内容なので、もう二度と観たくない、というのが正直なところ。
当初、1800年代にアフリカ大陸から大量の黒人を奴隷として連れ来るところから描いた作品かと勘違いしていた。しかし、ソロモンが11年以上も不当な立場を強いられていたことには同情するが、彼は身許を証明してくれる人が登場して元の自由人に戻れたからよい。が、彼と一緒に働いていた大勢の黒人は何も救われなかった。彼らだって不当に隷属させられていることに変わりはない。生まれた時からその状態で、解放される当てもない彼らの方が、ずっとかわいそうだ。黒人奴隷の存在自体が救われない話なので、それを描いた話が救われないのは仕方ないのだが、もう少しなんとかできなかったのだろうか。
黒人差別はアメリカの恥ずべき歴史だが、こうした恥部にもふたをせず、きちんと向き合っているのがアメリカのいいところだ……というように評する人がいたが、アメリカが自らの恥部に向き合ったというより、北部(民主党)による南部(共和党)批判のように見えた。お前らが黒人を奴隷としてこき使ってきた時、北部では黒人は自由を手にし、白人と対等に付き合っていたんだぞ、と。ほんの何十年か違うだけで、現代人から見れば目くそ鼻くその類ではあるが、その差は大きかったと思う人も多いだろう。
このような状態で長生きしたいと思ったら、とにかく健康であることが必須だなあとしみじみ感じた。少々風邪をひいたところで、仕事を休ませてくれるとは思えないし、高額な医療費がかかる病気にかかっても、治療してもらえる可能性は少なそうだ。健康に気を付けるといっても、休養時間は少なく、さほど栄養価の高い食事が与えられているわけでもなさそうだから、できることは限られているだろうが。何かにつけて医者に通っている自分は、あのような環境で生活せざるを得なくなったら真っ先に死ぬだろうな。
今日の英語
- One left.(残り一本)
その他
この作品も実話に基づく話なのだそうだ。