いよいよ年号が保元に。
粗筋
後白河天皇(松田翔太)即位の場に崇徳帝(井浦新)から祝いの歌が届く。
あさぼらけ
長き夜を越へ
にほひたて
くもゐに見ゆる
敷島の君
一読すると寿いでいる内容だが、信西(阿部サダヲ)は即座に、折り句に怨みの言葉(あなにくし)が込められていることを見抜く。鳥羽院(三上博史)は、やはり雅仁(後白河天皇)を跡継ぎとしたのは間違いだったあ〜! と叫ぶが、後白河天皇は不敵に「これからは私の世じゃ!」と笑う。【付記:この歌は大河ドラマのオリジナルらしい】
自責の念に駆られた鳥羽院は、謝罪の念を込めて写経をし、平清盛(松山ケンイチ)はそれを崇徳帝に届けるが、崇徳帝は無表情にそれを破いてしまう。その後、美福門院得子(松雪泰子)が崇徳帝を訪れ、崇徳帝を政治から遠ざけたのは間違いだったと詫び、鳥羽院と和解するよう依頼する。
鳥羽院危篤の報が流れると、崇徳帝は鳥羽院を訪れるが、警護の武士に止められてしまう。そこにいたのは清盛。清盛は刃を抜いて崇徳帝につきつけると、「遅過ぎました……私にも守るものがあるのです」と告げる。
今日の朝廷
鳥羽院と崇徳帝が交互に「許せ」「許さぬ」と(まるで会話をしているかのように)つぶやく場面を映していたところが執拗で良かった。
今日の藤原摂関家
近衛帝(得子の子)が早世したのは藤原頼長(山本耕史)の呪詛によるものだという噂が都をかけめぐり、頼長は力を失っていく。父・忠実(國村隼)に、これは忠通(堀部圭亮、兄)の陰謀であり、自分は潔白と説くが、要するにお前はやり過ぎたのだと撥ねつけられてしまう。
今日の盛国
時子の妹・滋子が屋敷にやってくる。清盛が「時子がいるのに側室など……」と言うと、弟たちや家貞(中村梅雀)までがニヤニヤし出し、忠正(豊原功補)もまんざらでもなさそう。冷静なのはみんなの盛国(上川隆也)のみである。
時忠(森田剛)は誰か貴人の妻にしたいと述べるが、当の滋子は、好きな人でないと嫁ぐ気はないと言い、あっかんべーをして去る。一時期の清盛を凌ぐ豪傑ぶり。はてさて、誰と結ばれるのか。
今日の源氏
源義朝(玉木宏)は義平に異母弟・義賢(阪本浩之)を討たせ、「友切」を奪う。自身の大望のために弟を殺したことを知った父・為義(小日向文世)は、義朝との決別を決意。また、乳兄弟として義朝に幼い頃から仕えていた鎌田正清(趙萊和)も義朝の元を去る。鬼武者(頼朝)も父を軽蔑するが、なに、お前さんものちに自身の大望のため弟を殺すのだよ。
今日の後白河天皇
当時の政治の実権は上皇・法皇などが握り、天皇は飾り物にすぎなかったはずなのに、即位早々「これからは私の世じゃ」と不敵に割るなど、のちの怪物の片鱗を早くも発揮。なにしろ鳥羽院がその態度に(自分が頭が上がらなかった)白河院に通じるものを感じ、畏れたほど。
感想
清盛が、鳥羽院と崇徳帝を仲良くさせるという理想論にいつまでも執着せず、武家の棟梁としての決断を下したことで、いよいよ流れか加速しそう。しかし、この変節ぶりはちょっと説明不足で唐突に感じた。鳥羽院に仕える方に義があると判断したのか? 後白河天皇が天下人であり、実権のない崇徳帝についても平氏の屋台骨は支えられないと考えたか?
その他
ドラマは(何度も言うけど)ここ数年の大河の中でずば抜けて面白いと思うが、NHKの公式サイトの出来はここ数年で一番悪いような気がする。紹介されている登場人物が少な過ぎるし、解説も物足りない。今回、後白河天皇が抜擢したというドランクドラゴンの塚ちゃんこと塚地武雅がやっているのはなんという役でどういう人物なのか、記載がない。崇徳帝が後白河天皇に送った歌の紹介もない。登場人物欄には鬼若、鬼武者の名前もないし、頼朝役は今は岡田ではなく子役なのに、その子の名前もわからない。こういうところは地味に大切だと思うが。
リンク
- 第19回 鳥羽院の遺言(すだち記録帳、2012/05/13)