題名 | 銀の匙 Silver Spoon |
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原作 | 荒川弘「銀の匙 Silver Spoon」(漫画) |
監督 | 吉田恵輔 |
出演 | 中島健人(八軒勇吾)、広瀬アリス(御影アキ)、市川知宏(駒場一郎、アキの幼馴染)、中村獅童(中島、教師・馬術部顧問)、吹石一恵(富士、教師・豚舎棟管理)、上島竜兵(校長)、吹越満(勇吾の父)、竹内力(アキの父)、石橋蓮司(アキの祖父)、哀川翔(アキの叔父、調教師)、西田尚美(一郎の母)、黒木華(南九条あやめ、アキの幼馴染)、安田カナ(タマコ、勇吾・アキのクラスメート)、前野朋哉(小野寺)、矢本悠馬(常盤恵次、クラスメート)、岸井ゆきの(吉野まゆみ、クラスメート)、他 |
公式サイト | 映画『銀の匙 Silver Spoon』公式サイト 2014年3月7日公開 |
制作 | 日本(2014年3月7日公開) |
時間 | 110分 |
劇場 | TOHOシネマズ渋谷 |
内容
中高一貫の進学校に進学した八軒勇吾は、競争についていかれず落ちこぼれ、両親(父親)との関係もうまくいかず、全寮制だ(家を出られる)というだけで大蝦夷農業高等学校(エゾ高)への進学を決める。が、エゾ高の生徒は酪農業の家の子がほとんどで、農業経験皆無で将来の夢もない八軒は、エゾ高の中でも浮いた存在になってしまう……
雑感
農業のことを何も知らない八軒が、当初は「農家の子どもは就職に困らないから楽でいいな」などと人の神経を逆なでするような発言(と態度)を連発して反感を買うものの、実習や友人との付き合いを通じて徐々に世間を知り、成長していくという鉄板ともいえる展開だが、結構泣かされた。
学校が飼っている豚に名前をつけようとしたり、特定の豚を可愛がったりする態度には、周囲が「産業動物はペットじゃない」「いい加減にしろ」と腹を立てるが、八軒は単純に友人や先生の言うことに従わず、自分の気持ちに折り合いをつけるため、最後まで自分のやり方を通す。可愛がっていた豚の肉を小遣いをはたいて自分で買占め、一人でそれをベーコンにし、完成したところでクラスメートに振る舞う、という決着のつけ方は最終的に周囲からも受け入れられる。
高いお金と手間をかけてベーコンを作ったのだから、このバーベキューでは会費を取るか、せめて寄付を集めればよかったのに、とその時は思ったが、このベーコン(の投資)が最後に大きく利子をつけて返ってくることになる。こういうストーリーも青春もの、学園ものでは鉄板だが、やはり泣かされた。
僕を含め、世の中の多くの人は酪農の実態を知らないと思うが、そういう様子を割に克明に映してくれたのも興味深かった。映画の魅力のひとつは「知らない世界を知る」ことになると思うので。記録映画ではないから、あまりグロなシーンはなかったものの、豚の解体シーン(つまりは殺される場面ということだ)や牛の出産シーン、それから牛の肛門に手を突っ込んで(検査のため?)牛のウンチを浴びる場面とか、役者もスタッフもかなり真面目に酪農に向き合っていることが窺われた。撮影はたいへんだっただろう。
配役
- 中島健人、19歳。広瀬アリス、19歳。市川知宏、22歳。黒木華、23歳。主役の二人はともかく、市川や黒木が高校生役で出てくるのはちょっと無理がありはしないか。
- 石橋蓮司って、ヤクザ以外の役もできるのね。優しそうなお爺さんで。いいじゃないか、石橋に合っている。
- 西田尚美が最後までわからなかった。「赤い指」でわが子の殺人を隠ぺいしようとする母とか、「真夏の方程式」でユスリを企むホステスとか、性格の歪んだ女のイメージが強かったが、本作では全然違う。苦労を重ねて(借金も重ねて)農業経営を営むが、ついに破産。家が人手にわたるも、息子が親孝行に育ったから「私は幸せだ」とつぶやく……。顔中に苦労がにじみ出ていたあのオバサンが西田尚美だったとは。
- 広瀬アリスは新人かと思ったが、映画もテレビドラマもかなり出演経験がある。ちょっと長澤まさみに雰囲気が似ているが演技力は比較にならない。将来に期待。
その他
本日封切。高校生の観客が多いのが目立った。
リンク
- 銀の匙 Silver Spoon/青春を思い出してしまう爽やかな映画(Tunagu、2014/03/21)