中学生の時に見たいとちょっとだけ思ったやつ。ようやく思いを遂げた。
題名 | 野球狂の詩 |
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原作 | 水島新司 |
監督 | 加藤彰 |
出演 | 木之内みどり(水原勇気)、小池朝雄(岩田鉄五郎)、谷啓(尻間専太郎)、水島新司(メッツファン)、豊田泰光(大阪アパッチ監督)、江藤慎一(野球解説者)、野村克也(本人役)、藤田学(本人役)、他 |
制作 | 日本(1977年3月19日公開) |
時間 | 96分 |
粗筋
他球団に目をつけられていない逸材を探して水原勇気にたどりついたところから、水原がプロ入りして、初登板で打者を抑えるまで。そこに、岩田鉄五郎の引退(?)試合のエピソードと、酔いどれ投手・日の本盛の投球エピソードが盛り込まれている。ドリームボールは出て来ない。
雑感
水島新司の漫画は好きで、中でも「野球狂の詩」は最高傑作だと思っていて、中学生時代に水原勇気編の連載が始まると熱狂したものだ。当時の人気アイドルの木之内みどりを主演に据えて映画化された時はちょっと見たいと思ったが、当時の自分に映画鑑賞は高根の花。諦めるしかなかった。
アマプラにあるのを見つけ、44年ぶりに、のどに刺さったままの小魚の骨を取り除いた気分。
感想だが、「ふざけるな」の一語に尽きる。
東京メッツも、対戦相手も、プロ野球のチームなのだから、その野球のプレイは当然プロのレベルでなければならない。プロ野球の試合を見に行くと、レギュラーでもない選手のキャッチボールでも、見ていると惚れ惚れして吸い込まれてしまうということがよくある。プロフェッショナルのプレイというのは見るものを魅了するものだ。
しかし、岩田鉄五郎をはじめ、メッツの選手は、どれもこれも草野球のおっさん並みのプレイ。蝶が舞い蜂がさす華麗な守備を誇るはずの国立玉一郎も、お粗末なもの。あまりセリフもないような選手は、甲子園の出場経験のある人とかをエキストラとして集めてくることぐらいできなかったのかと思う。
それから、岩田鉄五郎と球団オーナーの口が悪い。悪いというレベルではない。すぐに喧嘩を始める二人だが、まるでやくざ映画を見ているようで、ガラが悪くて嫌になる。漫画の読者層を対象に考えるなら恐らく中高生がメインだったはずだが、R指定したいぐらいの気分だ。確かに原作でも鉄とオーナーはしょっちゅう口喧嘩をしているが、ここまでひどい言葉づかいではなかったはずだし、実写は音声があるだけの強調されるから、なおさらマイルドな表現に変えるべきだった。
とはいえ、悪いことばかりではない。藤田学は一瞬しか映らず残念だったが、現役時代の野村克也を拝めたのはよかった。水原から三振を食らうシーン、まさか本人が演じているとは思わなかった。野村克也は不人気のパリーグで、日本シリーズ出場も一回だけ。恐らく現役時代のプレイはフィルムには残っていないのではないかと思う。真剣勝負ではないが、若き日のノムさんがバットを振るシーンが収められているのは貴重だ。