玉木宏と水川あさみが共演しているので、DVDを借りてみた。
- 「のだめカンタービレ」で共演した玉木と水川が再会か? と思ったが、制作年はこちらが古い。この二人はのだめで再会したわけだ。
- 玉木は陰のある役にふさわしく、よく雰囲気を出していたと思う。前半の表情のなさと、後半で感情を表に出すあたりは見応えがあった。
- 水川あさみは「のだめカンタービレ」の中で一番好きになった役者なのだが、ここではこれといって見せ場がなく残念だった。月音が最後に暗雷と無理心中を謀るのはなぜだろうか。もはや二人で生きていく気力もなかった、とも考えられるが、人を殺し自分も死ぬというのはそれなりのエネルギーなくしてはできないもの。本当に心が死んでしまっていたら、そんなことはとてもできないはず。愛次郎が自死するところはくどいくらいに心中を吐露していたのだから、このクライマックスの場面はもう少し月音の心理描写がほしかったところだ。
- ともかく、全体的にストーリーがわかりにくい。そもそもいつの時代の話だ? 最初は現代のヤクザものかと思ったが、そうでもなさそう。英国人とのやりとりから察するに、明治初期というつもりなのか? しかし、闇で催される格闘技は、まさに現代のもの。格闘技にも当然時代によって進化・変遷しているのであり、あのような技は明治時代にはあり得ないはず。現代、それもK-1以降である。
- 明治初年だと空手(唐手)という言葉もなかったが、沖縄出身の誰かが那覇手や首里手(空手の原型となった格闘技)を伝え、地下格闘会ではそれを元に独自の技が発展していた、と解釈することもできる。が、英国人の商人が連れてきた男はボクサー崩れのはずで、足技(蹴り技)があんなにきれいに出ようはずがない。せっかく桜庭やシウバをはじめ、プロの格闘家を連れてきたのだから、このあたりの時代考証をもう少しなんとかしてほしかった。
- まあ、いくら明治時代で、堅気ではない世界の話とはいっても、こんなに人を次々と殺して平気なはずはないから、日本に似た何処かの国の何処かの時代の話、と考えた方がいいのかも知れない。そういうことなら時代考証もへったくれもない。