題名 | のだめカンタービレ 最終楽章 前編(6回目) |
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題名 | のだめカンタービレ 最終楽章 後編(7回目) |
劇場 | 渋谷シアターTSUTAYA |
同じ映画を何度も見た記録としては、80年代に「蒲田行進曲」(風間杜夫、平田満、松坂慶子)を6回見たことがあるが、1回目と6回目は約3年半空いている。しかも、この時代でさえ6回は突出しており、あとは3回見たのが「ねらわれた学園」(薬師丸ひろ子)、「疑惑」(桃井かおり、岩下志麻)、「卒業」(ダスティン・ホフマン、キャサリン・ロス、アン・バンクロフト)くらいである。「蒲田行進曲」はセリフを覚えたくて何度も通ったのだ。だから銀ちゃんのセリフは今でも結構しゃべれるはずだ。
演奏者の演技という点で3人を挙げてみよう。三木清良(水川あさみ)のブラームスは以前も書いたが見事の一語に尽きる。学生時代の(テレビ編の)清良もカットバックで挿入されたが、水川あさみ自身が3年トシを取ったということもあろうが、風格を感じさせる。龍太郎のこと、R☆Sオケのことをチラリと思い浮かべて一瞬笑うところがいい。その直後に再び曲に没頭するところがもっといい。
千秋真一(玉木宏)は、いい時と悪い時がはっきりし過ぎである。これは、千秋の心証を映画の観客にわかるようにという玉木の演技ではあろうが、指揮者としては問題だ。前編冒頭のベト7などは実に堂々としていて迫力があり、本当に素晴らしい。が、魔法使いの弟子やボレロを指揮する時の千秋は、「ダメだこりゃ」感を全身で漂わせていて、奏者も厭になるし、観客も厭になる。ボレロのラストでパーカッショニストが足を滑らすなんて、小学生でもやらないようなミスだが、あの指揮が呼び込んだ事態だと言えなくもない。もっとポーカーフェイスで、もしくは常にスマイルで。はじめてSオケを指揮した時のシュトレーゼマンを思い出すように。
それからのだめだが、演奏以外の場面は上野樹里の演技は文句なしに素晴らしい。しかし、ことピアノの演奏場面に関してはちょっと身体を揺らし過ぎる。飛んだり跳ねたりするのは音の話なのに。あんなに激しく動いていたらまともな演奏はできないと思う。少なくとも、演奏の姿勢は「世界ののだめ」という感じではなかった。
もっとも、元々音楽の素人が、あれだけの大曲をちゃんと「弾いているように見せる」だけでも相当なものなんだろうが。