窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

第2シーズン第5章「念波る(おくる)」

出演(ゲスト)

粗筋

三上春菜は、長野の自宅で突如頭痛に見舞われ、双子の姉である磯谷若菜に何かあったのではと察知。東京に住む義兄の磯谷知宏に電話をして若菜の様子を尋ねる。急遽帰宅した知宏は、若菜が何者かにハンバーで頭を殴られ倒れているのを発見する。

春菜は若菜を襲った犯人を見た……というが、普通に考えれば長野に住む春菜が東京の事件を目撃できるわけがない。しかし双子であるがゆえにテレパシーのようなものでお互いの心がわかるのだと春菜は主張。岸谷は双子のシンクロニシティについて湯川に助力を求める。

感想

今回はこれまでで一番面白かった。ひとつは湯川と岸谷との関係。

以前の内海は、湯川の協力を得るため、湯川の興味を引きそうな誘い文句を並べ、それは概ね成功した。湯川がいかに内海に巻き込まれていくかが序盤のひとつの興味の的だった。

今シリーズで岸谷は同じことをやろうとするがそれは全くと言っていいほど成功していない。が、岸谷の思惑とはずれたところで湯川がやる気を出し、結局は事件を手伝うことになる。湯川は主体的に取り組むためかなり強気で話を進めるし、岸谷はこんなはずじゃなかったと戸惑う、という構図が、今回で確立された感がある。

内海に比べれは、率直に言って岸谷は情けないし、湯川の方はなんだかんだいってだいぶ岸谷に歩み寄っているようにも見える。が、前作より湯川は年を取り、一方、岸谷は内海よりずっと年下なのだから、ある意味では当然か。

twitterでは柴崎コウカムバック! という声が依然強いが、それはどうかなと思う。内海が別にビックリするほど良かったかといえば、そうではなかったと思う。内海以上のキャラを作らなければと制作側も吉高も苦労しているのだろうが、今回で一応形になったということで。

さて湯川は超能力の存在を証明しようと躍起になるが、実はそれは全くの芝居で、真犯人を炙り出すためだった。つまり「科学的検証」は今回事件解決に直接には何の役にも立っていない。こうしたパターンは初めて。とはいえ、翻弄される岸谷がちょっと見物だったぐらいで、このパターンの変化自体は特にどうこうはない。

面白かったもうひとつの理由は、桐谷健太演じる知宏のキャラが立っていたこと。これはもう役者の力量なんだろうな。桐谷健太があんなにガラの悪いヤクザまがいの人間を演じて嵌まるというのも意外だったし。彼に引っ張られて最後まで見たようなもの。ゲストは重要だ。

もう一人の桐谷美玲も良かった。双子を演じるのは難しかったと思うが、無難にこなしていた。双子を演じたため、服装や髪形の異なる美鈴をずっと見ることになったわけだが、どんな髪型でも、どんな服装でも、どの方向から見ても、桐谷美玲はかわいい、ということがわかっただけでも今話の価値はあった。

それにしても、脚本は相変わらずぐだぐだだ。

長野の春菜が見たという目撃証言が有効であるかどうかはともかく、それを参考にするなら、自分で絵を描かせたり、写真を見せてその人物がいるかどうかを判定させるなどという方法を取らずとも、専門の似顔絵画家に似顔絵を描かせれば済む話だ。平野瑞穂を呼んで来い!

双子のテレパシー目撃に頼らなければ全く手がかりがないのであればともかく、今回は犯人が家の中の事情を知っているところから関係者が疑われていた。最大の関係者である夫は、経営する会社が赤字、一方若菜の経営するアンティークショップは利益を出しており、そのお金で知宏の会社の赤字を補填していたが、最近若菜が離婚したいと言い出すようになった。ここまで突き止めればあっという間だろう。要するに、通常の捜査で恐らく一両日で真犯人にたどりついたのではないかということだ。

岸谷の目の付け所はおかしいし、岸谷が湯川のところに通っている間、他の刑事は何をやっていたのか。まあ、能天気に「空き巣による物取り、人がいたのであわてて殴った」とする太田川は問題外だが。

湯川が偽の実験で知宏にプレッシャーをかけ、春菜を襲わせて逮捕するという作戦もいい。しかし、なぜ湯川が知宏に目を付けたのか、その説明が全くないのはどういうわけか。これではミステリードラマとして物足りない。

双子の超能力は劇中では否定されたが、信じざるを得ないような出来事が起きたところで終わる、という終わり方は第1章「幻惑す(まどわす)」と同じだが、こういう終わり方はなかなかいいと思う。続くとうるさいが。

吉高由里子は左利きだった。

配役