窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

やればできるじゃん……「バクマン」

先日、地上波で「るろうに剣心」を放映したらしいのだが、その紹介記事で、「敵味方に分かれて闘った佐藤健神木隆之介が仲良く共演しているのはこちらです、といって本作のことが書かれていたので興味を持った。人気漫画の映画化だというのは知っていたが、原作をまるで知らないため、この記事を読まなかったら観ることはなかっただろう。

題名バクマン
原作大場つぐみ小畑健
脚本・監督大根仁
出演■高校生/佐藤健真城最高、作画担当)、神木隆之介高木秋人、原作担当)、小松菜奈亜豆美保真城最高の好きな相手)、

■漫画家/染谷将太新妻エイジ、天才)、桐谷健太(福田真太、手塚賞同期)、新井浩文(平丸一也、手塚賞同期)、皆川猿時(中井巧朗、手塚賞同期)、宮藤官九郎(川口たろう、真城最高の叔父)、

■少年ジャンプ編集部/山田孝之(服部哲)、リリー・フランキー(佐々木、編集長)、他
公式サイト映画『バクマン。』公式サイト
制作日本(2015年10月3日公開)
時間120分
劇場TOHOシネマズ 新宿(screen 8/112席)

内容

高木秋人は話を考えるのは得意だが絵が下手。そこで絵の巧い真城最高を誘い、原作と作画を分担することで二人で漫画家を目指す。目指すは日本一の漫画雑誌「少年ジャンプ」。そこで連載を勝ち取り、アンケートで一位を取り、アニメ化された……。頑張って持込を繰り返し、担当の服部の応援もあってようやく連載にこぎつける。が、二人の前には天才高校生作家・新妻エイジがたちはだかる……

雑感

面白いじゃないか、やればできるじゃないか、というのが率直な感想。偉そうな言い方だけど、今年になって、人気漫画の実写化作品でひどいのに当たってしまい、「デビルマン」や「愛と誠」や「ホットロード」や……を思い出してしまって、漫画の実写化は期待しちゃダメだ、そもそも観ちゃダメだという気持ちになりかけていたのだ。*1まあ、「るろうに剣心」という成功例も、やはり最近観ているわけだが。

少年ジャンプは長い間手に取ることもなく、原作は読んだこともないから全くどんな話か知らずに観たのだが、当初は実話に基づく作品だと思い込んでいて、どこまでが実話でどこからがフィクションなのか? と気になって仕方がなかった(映画終了後に原作を読み、すべてフィクションなのだと気づいた)。

服部が、じっくり実力をつけ、アイデアも練って、高校を卒業してから連載を始めようと考えるのは全く妥当だ。自分が編集者でも同じように考えたと思う。しかし二人は高校在学中に連載を始めたいと考え、無理に無理を重ねる。一つは新妻エイジへの対抗心、もうひとつは小豆との約束を果たすためと思うが、漫画家というのは、一回アンケートで一位をとればいいわけでも、アニメ化されればいいわけでもなく、一生漫画で食べていかないといけない。それができる一握りの人を漫画家というのであって、30年、40年という長いスパンで考えたら、週刊連載を始めることや、アンケートで一位を取ることにあそこまでこだわらない方が、と思うが、そのぐらいの欲がない人は、所詮プロにはなれないのかな。

週刊連載まで始めているのに、最高や秋人の親が一切登場しないのは不自然だが、話をコンパクトにまとめるために省いたのだろう。個人的には、アンケートの順位を争う場面で、イメージ動画が本当のバトルだったのは残念だった。とにかく、明るく、爽やかで、前向きな話のまとめ方は確かにジャンプっぽい。面白く観た。

配役

佐藤健を知ったのは「龍馬伝」。神木隆之介を知ったのは「風のガーデン」、岳クンの演技は見事だった。小松菜奈は「渇き。」以来。桐谷健太は「龍馬伝」の池内蔵太、「ストロベリーナイト」の姫川班大塚真二と見ているけど、名前を覚えたのは「ガリレオ」第二シーズンでゲストに出てきた時。新井浩文は初めて気に留めたのは「ガリレオ」第一シーズンのゲスト出演の時で、印象に残るのは「クヒオ大佐」。皆川猿時はもちろん「女子ーズ」。山田孝之の名を初めて知ったのは「荒川アンダーザブリッジ」だ。「白夜行」「悪の教典」「闇金ウシジマくん」「モンスターズ」「のぼうの城」など印象的な役が続いているが、一番印象に残るのは「凶悪」。染谷将太リリー・フランキーは多過ぎて挙げられない……と、まあ、主要な人物が全員知っている人だった(川口たろう役だけ、観た時はわからなかったが、名前を聞けばもちろん知っている人)。こういうことは極めて珍しいが、ついにここまで来たかと思うと、感慨深かった。

佐藤健は26歳、染谷将太は23歳、若い時から知ってる神木隆之介も既に22歳、小松菜奈は19歳。なんで高校生の役をこの年齢の役者にやらせるかなあ。かつての神木隆之介がそうであったように、10代半ばの役者にだっていい人はたくさんいるだろうに。

(2015年11月22日 記)

*1:人気漫画の実写化:今年になって観たのは「繕い裁つ人」「寄生獣」「海街Diary」「進撃の巨人」「サイボーグ009vsデビルマン」そして本作。ヒドかったのは、言わずと知れた……。