窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「博士の愛した数式」

題名博士の愛した数式
原作小川洋子
監督・脚本小泉堯史
出演深津絵里(私)、齋藤隆成(ルート)、吉岡秀隆(先生(19年後のルート))、寺尾聰(博士)、浅丘ルリ子(未亡人)、他
公式サイト
制作日本(2006年1月21日公開)
時間117分

感想

これを書いているのは2020年で14年も前の話なので、記憶違いがあるかも知れない。もう一度見てみたいと思う作品。

  • 博士の愛した「数式」というのはオイラーの等式(e^iπ = -1)のはずだが、映画ではそのことは明言されなかったと思う。単に「数式を愛した(数学が好きだった)博士」になっていた。数学の素養のない人が理解できる数式ではないから、説明を省いたということなのだろうが、円周率のπ、虚数単位のi、自然対数の底eという、代表的な三つの文字定数の間にこんなにシンプルな関係があるというのは、実に愛すべき素晴らしいことであり、この数式を眺めているだけで飯が食える、……ということが映画では伝わらなかったのは残念だった。
  • 原作では未亡人はただの博士の義姉だが、映画では深い関係があったように描かれていた。博士は潔癖な性格で好んで不義をするような人物とは思えず、この改変には疑問を感じた。
  • 桜がきれいだ。深津絵里が自転車で通る道をはじめ、あちこちにきれいな桜が広がっていた。美しい風景だった。これだけで劇場で見た価値はあったと思った。

(2020/7/10 記)

追記(2020/7/11)

  • 原作を読み返してみたが、未亡人と博士が深い関係にあったことは原作においても明記されていた。
  • オイラーの式は、本作的には「e^πi + 1 = 0」と表記するようである(もちろん同じ意味だ)。ただ、この式は、いわゆるオイラーの公式(e^iΘ = cos Θ + isinΘ)の Θ が π の場合なのだから、e^iπ = -1 と書くのが自然であると自分は思う。

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