ロッキーですね「リアル・スティール」

見損なった、と思っていたのだが、新宿ピカデリーでまだやっていることがわかり、無理に時間を作って観に行く。テンポよく畳みかけるような展開で、あっという間の2時間だった。感想を一言でいうと、「これ、……ロッキー?」

題名リアル・スティール(原題:Real Steel)
監督ショーン・レヴィ
出演ヒュー・ジャックマン(チャーリー・ケントン、元ボクサー)、ダコタ・ゴヨ(マックス・ケントン、チャーリーの息子)、ホープ・デイヴィス(デブラ、チャーリーの亡き妻の姉)、ジェームズ・レブホーン(マーヴィン、デブラの夫)、エヴァンジェリン・リリー(ベイリー、チャーリーの現在の恋人?)、ケヴィン・デュランド(リッキー、プロモーター)、カール・ユーン(タク・マシド、ゼウスのプログラマー)、他
公式サイトリアル・スティール
制作USA(2011年12月9日公開)
劇場新宿ピカデリー

粗筋

時代は2010年、人々は、より派手でより過激な格闘ショーを求めていた。その結果ボクシングなどの人間同士の素手の格闘技は廃れ、ロボット同士(またはロボットと猛獣)との闘いが人気を集めていた。

チャーリーは自分のロボットを連れて各地を転戦し、試合をしてお金を稼いでいたが、儲かるどころか借金を増やしていく始末。ある時リッキーに500kgのライオンとの試合と言われて行ってみると、実際には900kgはあろうかという大型獣。そこで勝った方が1万ドルの賭けを持ちかける(勝算は不明)。最初は優勢に試合を進めていたが、倒したと思って油断したところを襲いかかられ、壊されてしまう。掛け金を払えないチャーリーは、隙を見て逃げ出す。

別れた妻が11歳の子を残して事故で死んだという連絡が入る。幸か不幸か、元妻の姉夫婦が子供を引き取りたいというので、養育権を譲るかわりに10万ドル出せと吹っ掛けると、なんとマーヴィンはOK。前金で5万を手に入れたチャーリーは、さっそく新しいロボットを購入。履歴を見ると、ボディは交換しているが、以前はそこそこの戦績を残していたらしい。ちょっと性能を試してみると満足のいくものだったため、さっそく試合を組む。

しかし地方の試合の前座では、ファイトマネーはたかが知れている。そこでチャーリーは有力ロボットに挑戦。ついてきたマックスは、強敵は避けて確実に勝てる相手と闘いコツコツ稼ごうと主張するが、大きく儲けるんだといって耳を貸さず、試合を断行。いざ試合が始まったらあっさり負けて再起不能となってしまい、1銭も稼がないうちに大金を払って手に入れたロボットがパー。なにしろチャーリーは操作方法さえ完全に身につけておらず、ピンチになったら慌ててマニュアルを引っくり返す有様だったから、勝てるわけがないのだ。そのことをマックスに指摘され、逆上するチャーリー。

帰り道、鉄屑置き場で少しでも役に立つものがあればいただいていこうと覗いたチャーリーとマックスは、古いタイプのロボットが埋まっているものを発見。役に立たないというチャーリーを無視して掘り起こし、家に持って帰ってメンテナンスをしたマックスは、必死でボクシングを教え、トレーニングを行なう。マックスのトレーニングが良かったのか、このロボットATOMは、その後かなりの能力を身につけることになる。

草拳闘で連戦連勝し、踊りも踊って人気を博したATOMは、スカウトされ、ついに公式戦に出場。前座で難敵を破ったマックスは、いきなり不動のチャンピオン・ゼウスに挑戦。本来はマッチメイクできるはずもない立場だが、人気が後押しし、試合は実現する。一瞬でポンコツにされるかとの大方の予想を裏切りATOMは善戦、チャンピオン陣営を脅かす……

感想

古き良き時代のボクシングと状況が似ているようで、ちょっとおかしかった。全州のさまざまな地方で、規模もレベルもさまざまなボクシングの試合が行なわれている。ルールもいい加減だったりするけれど、それはそれで地方の客のニーズに応え、人気を盛り上げるものとして機能している。そこで活躍すると、中央から公式戦への出場を誘われたりするわけである。

ただし、地方の自主興行でどれほどの戦績を残し、人気があったとしても、公式戦とは雲泥の差であろう。ATOMでいえば、デビュー戦の相手は苦戦したが、公式戦のレベルとしては前座の下っ端。その代わり、ファイトマネーも地方での試合とは桁が違っただろう。

本来、ここで実績を積み、勝ち続ければ順位も人気も上がるだろうし、ひと財産築ける可能性もある。それなのにいきなりチャンピオンに挑戦した理由がわからない。チャンピオン側がそれに応じた理由はもっとわからない。

普通のボクシングでも、二流の選手がチャンピオンに挑戦することはよくある。相手にしないと、俺様を恐れて逃げているのだと吹聴する。ほとんどが挑戦する側の売名行為であり、いちいち付き合っていたらきりがない。それはファンもわかっている。本当に実力があるなら、無謀なマッチメークをしなくても、何試合か勝ち続けて、チャンピオンへの挑戦権を手に入れればいいだけなんだから。

一番わからないのが、善戦することだ。力の差ははっきりしているのに、なんとも不思議である。このあたりは「ロッキー」を彷彿させる。ロッキーはこの試合でエイドリアンの愛も勝ち取ったが、本作では父子の絆が培われるあたりも似ている。しかし性能の劣るロボットが勝てる道理がなく、このあたりはリアリティを欠く。

リアリティといえば、ロボット・ボクシングのレギュレーションが不明なのもリアリティを欠いた要因と思う。腕を長く、固く、重くした方が明らかに有利だが、そのように改造されたロボットがないのはなんらかの規制があるためか。しかし、そもそもゼウスとATOMは大きさもパワーも大差があるのだが、試合が成り立つのか。

ロッキーに対するオマージュです、というのであれば、少々強引なストーリーも納得するしかないのだが。

今日の英語

チャーリーの若い頃の新聞記事をマックスに見せたベイリーは、返そうとしたマックスに「あげるわ」という。これは「Keep it.」と言っていた。なるほど!

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