窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

名作はいつの時代も名作「プリティ・ウーマン」

今年最初の鑑賞は1990年の大ヒット作。リチャード・ギアを初めて見た。

題名プリティ・ウーマン(Pretty Woman)
監督ゲイリー・マーシャル
出演リチャード・ギアエドワード・ルイス、実業家)、ジュリア・ロバーツ(ビビアン・ワード、街娼)、ラルフ・ベラミー(ジェームズ・モース、ルイスの買収相手)、ジェイソン・アレクサンダー(フィリップ・スタッキー、ルイスの盟友)、ヘクター・エリゾンド(バーニー・トンプソン支配人)、ローラ・サン・ジャコモ(キット・デ・ルカ、ビビアンの友人)、他
制作USA(1990年12月14日日本公開)
時間120分
劇場立川シネマシティ

内容紹介

いつもはリムジンに乗っている実業家のルイスは、ある日気まぐれでスタッキーの自動車を借り、自分で運転して家に帰ることにしたが、道がわからない。声をかけてきた街娼・ビビアンに道案内を頼むことの。ビビアンはルイスに買ってもらおうと熱心に売り込む。ルイスはセックスにはあまり興味がないが、彼女をそばに置いておくと面白そうなので、一晩買うことに。

妻と離婚し、ガールフレンドにも振られたばかりのルイス、翌日のモースとの会食には女性を同伴した方がいいとアドバイスされ、ビビアンを連れて行くことに。また、今後のモースとの交渉を見込んで、ビビアンと一週間のアシスタント契約を結ぶ。その間、ルイスは高価な服を買ってビビアンを着飾らせ、レディーとして振る舞えるよう礼儀作法を仕込む。

一週間の契約が切れた時、ルイスはこれからもずっとそばにいてほしいとビビアンに告げるが、ビビアンはルイスの元を去っていく……

雑感

「新・午前10時の映画祭」の中では比較的新しい作品。ジュリア・ロバーツは「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」や「幸せの教室」、ヘクター・エリゾンドは「ニューイヤーズ・イブ」(同じゲイリー・マーシャル監督)で出演しているのを劇場で観ている(ジュリア・ロバーツって当時も今もあまり顔が変わらないんじゃないか? あれから23年経つのに)。リチャード・ギアも64歳で健在だ。

これを観ていてすぐに思ったのは、これはマイ・フェア・レディだなあということ。もっとも、観終わったあとで映画評を見たら「現代版『マイ・フェア・レディ』」と明記されていたので、誰でも気づく話というか、初めからそう意識して描かれていたのだろう。

下品で行儀も何もないビビアンがだんだんレディーになっていくさまはコミカルだが、本作ではその先がある。スタッキーに「あんな子をどこで見つけたんだ?」と訊かれたルイスは、つい娼婦であることを喋ってしまう。そうしたらこともあろうにスタッキーがわざわざビビアンに、「娼婦なんだってな! いくらで契約したんだ? ルイスの次は俺と契約しないか?」と声をかけるのだ。

ルイスに文句を言うと、ルイスはポカンとしている。もっともビビアンの剣幕に驚き、頭を下げはするが、何が悪いのか理解できていなかったし、恐らく最後まで理解できなかったんじゃないか。

マイ・フェア・レディ」を知らないので比較はできないが、妻に逃げられ、ガールフレンドに振られたルイスには、人間として大きな欠点を抱えている。これを直す努力をしない限り、新たに女性と付き合っても同じことの繰り返しになるだろう。ルイス自身それはわかっているが、自分を変えるのは大変だし、そもそも悪いと思っていないから、そんなことはしたくない。

そこでビビアンの登場である。街角に立たなければ生活が成り立たないほどお金に困っているなら、一生お金の心配はしなくていい生活を約束すれば、自分に合わせてくれると思ったのではないか。自分の手で自分好みの女に仕立て上げていくというのは、ある種の金を持った男の考えそうなことだが、これは女をモノ扱いしているのと変わらない。

このようなルイスの申し出(商売抜きで付き合うこと)を喜んで受け入れる女性は、確かにいくらでもいるだろう。もしビビアンがルイスの申し出をあっさり承諾したとして、ルイスがいつまでビビアンに興味を示すかは疑問だ。。最初はかわいいだろう。しかしあっという間に飽きるのではないか。ビビアンは、身体は売っていたがプライドは売っていなかったので、ルイスとは付き合うべきではないと判断した。この判断は正しい。ビビアンがルイスから去って行った時は、厳しいけど、なるほど普通はこうなるだろうと思った。

しかし、結局最後、二人はくっつく。ルイスが(それでも)ビビアンを選んだのは疑問だし、ビビアンがこの時はルイスを受け入れるのも謎である。「現代版シンデレラ・ストーリー」などと言われているようだが、単純なハッピーエンドだとは思えない。

その他

ビビアンは当初ルイスに、「1時間1000ドル、泊りなら3000ドル」と「吹っかける」。ルイスが金を持っていそうだからと、通常営業よりもかなり高い価格を伝えるのである。それをあっさりルイスがOKしたものだから、ビビアンは大喜びでルカに電話するが……

20年以上経って、物の値段はいろいろ変わっていようが、この分野はそんなに変動はない、または、リーマンショック以降の不景気で、今の方が若干価格が下がっている印象である。1990年ごろの為替レート(約140円)で換算すると、1時間18,000円、泊まりで42,000円。これはかなり安い価格のように思える。

一口に娼婦といってもピンからキリまであって、街娼なんてのはキリもキリなんだろうが、こんな金額で仕事をしていたんじゃ、アパート代を稼ぐのだって簡単じゃないよなあ。若くてスタイルがよくて病気がないのなら、もう少し割のいい仕事に移ることは考えていなかったのだろうか(どういう仕事があるのか、よく知らないけど)。

今日の英語

  1. "Red." "Better."(「赤毛よ」「いいね」)
  2. Please leave.(お引き取りを)
  3. It happens all the time.(よくあります)
  4. Leave my company alone.(私の会社に手を出すな)
    • leave ... alone = 〜をそっとしておく、〜を放っておく、〜に手を出さない、〜から手を引く
      • Leave my sister alone.(妹に手を出すな)
  5. You hurt me.(傷ついた)←主語の違いに注目
  6. He sleeps.(眠ったのね)
  7. I have to go now.(仕事だ)

リンク

この映画評を読んで納得。これなら、わかる。