窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

そうじゃないんだよなぁー「テルマエ・ロマエII」

題名テルマエ・ロマエII 【TCX】
原作ヤマザキマリ
監督武内英樹
出演■前作に引き続いての出演/阿部寛(ルシウス)、市村正親ハドリアヌス、第14代ローマ皇帝)、北村一輝(ケイオニウス、次期皇帝候補)、宍戸開(アントニヌス、ハドリアヌスの側近)、勝矢(マルクス、ルシウスの友人)、上戸彩(山越真実)、キムラ緑子(真実の母)、笹野高史(真実の父)、竹内力(湯治客)、いか八朗(銭湯の客)、他
■本作初登場/松島トモ子草津温泉の湯もみ役)、白木みのる(ラーメン屋店主)、菅登未男浪越徳治郎、指圧師【実在の人物】)、曙太郎琴欧洲勝紀栃東大裕、他
公式サイト映画『テルマエ・ロマエII』公式サイト
制作日本(2014年4月26日公開)
時間113分
劇場TOHOシネマズ日本橋(スクリーン7)

内容

古代ローマに理想の温泉郷を築くことに命を賭けるルシウス。なぜかしばしばタイムスリップしてしまうが、それを利用して現代日本のテクノロジー古代ローマに持ち込もうと奮闘する……

雑感

確かに楽しく観た。ただ、何も残らない。ひとことで言うと、「そうじゃないんだよなぁー」。

原作はギャグ的な要素もあるが、ギャグ漫画ではない。タイムスリップというSF的要素もあるが、SFでもない。本来のテーマは比較文化論である。原作者は海外生活が長く、イタリア人の夫を持ち、外国文化の理解が付け焼刃ではないからこそできた話である。ルシウスが日本の風呂文化(風呂だけではないが)に驚いたように、読者のわれわれも、古代ローマの文化、世界観に興味を感じるのである。

しかし、前半は現代日本の文化を中途半端に理解し、頓珍漢な行動を取るルシウスがギャグになっているだけ。しかも、主要なギャグはすべて予告編で見せられてしまっているので、新鮮さもない。これは予告編の問題だが、オチのギャグ以外に何もないというのも残念だ。後半は危篤になるケイオニウスと、その間に暗躍する偽ケイオニウスの話と多少緊迫したシーンがあり、ストーリー性もあったが、原作の、さつきが地上げ屋に捕えられ、ルシウスが命懸けて追いかけるシーンの盛り上がりに比べるとだいぶトーンダウンする。真実にさつき役も負わせるなら、このエピソードをなぜ使わなかったのか(それともそれは三作目で使うのか)。

原作と比較して映像を批判すべきではないというなら、映画の話だけ。これ、前作を知らない人は話がわからないのではないだろうか。突然日本にやってきて、知らない物を見て驚くシーンはあっても、突然の「移動」に戸惑うシーンがない。日本人を「平たい顔族」と呼ぶことも、涙を流すとタイムスリップから戻る設定も、真実が流暢にラテン語を話せることも、説明なし。前作を見てない人だけでなく、前作は観たけど二年も前なので細かいことは忘れてしまった、という人に対しても不親切だ(最初、真実が玉ねぎを隠す理由がわからなかった)。

タイムスリップが起きる時はオペラが歌われるが、そのオペラ歌手の寸劇(コント)は、悪乗りのし過ぎ。

剣闘士(グラディエーター)役に相撲取りを起用して迫力を出したり、実物大のコロッセオのセットをブルガリアの映画スタジオ内に建設した、とかの話を聞くと、こだわるべきはそこじゃないんだよな〜と思ってしまう。

前作では、原作者のヤマザキマリさんはほとんどお金をもらえなかったようだが、本作ではせめて十分な原作料が支払われることを期待する。

配役

  • 元老院役をやった外国人はジョン・オーエンズかなと思うけど、ネットにはどこにも情報が転がっていないのでわからん。

ポスター

思えば、最初のポスターが(T2という省略の仕方を含めて)「ターミネーター2」のパクリであり、その後に出てきたポスターは(世紀のSF(すごい風呂)超大作、というキャッチも含めて)スターウォーズのパクリであった。こういう悪ふざけにイヤな予感がしていたのだが、残念ながら当たってしまったことになる。制作陣は、このポスターでいったい何を表現したかったんだろうな?

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