ポスターを見た時、清楚で「正統派美人」というべき武井咲は、まさに早乙女愛にぴったりであり、彼女以上に相応しい人はいない、と思った。武井は本物の「お嬢様」を演じられる(今となっては)数少ない貴重な女優だと思った。だから劇場で観たかったし、それを見逃したことは大きな悔いとして残っていた。
題名 | 愛と誠 |
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原作 | 梶原一騎・ながやす巧 |
監督 | 三池崇史 |
出演 | 妻夫木聡(太賀誠)、加藤清史郎(太賀誠・幼少期)、武井咲(早乙女愛)、市村正親(早乙女将吾)、一青窈(早乙女美也子)、斎藤工(岩清水弘)、大野いと(高原由紀)、安藤サクラ(ガム子)、伊原剛志(座王権太)、前田健(先生)、余貴美子(太賀トヨ)、他 |
制作 | 日本(2012年6月16日公開) |
時間 | 134分 |
内容紹介(ネタバレあり)
単行本にして全16巻の内容を一本の映画にまとめている。そのため、座王与平は出てこないし、緋桜団のエピソードもばっさり省かれている。そこで、太賀誠を刺したのは、青葉学園時代にバカにされた担任教師……という設定はうまいと思った。
一方、ガム子が校舎の窓から逆さ吊りになるシーンはばっちりあるし、誠の母親が鉄道自殺を図るエピソードも残されている。高原由紀は常にツルゲーネフの「初恋」という本を手放さない。ただし、投げナイフの見せ場がなかったのは残念だった(彼女が投げナイフの腕を披露するのは誠に相対する時で、誠にけがは負わせるが、最終的に防がれている。その前に、別の人間にナイフを投げて恐怖に震えあがらせるシーンがほしかった)。
誠が愛に惹かれているエプソードもすべて省かれているため、最後に誠が愛に会いに行くのが意味不明になってしまっている。
雑感
以前、「あしたのジョー」の感想で次のように書いたことがある。
なにしろあの歴史的名作の実写映画化である。誰がどんな風に作ったところで、どこからか文句を言われるに決まっているのである。そういう難しいものに取り組んだ関係者には称賛の意を表したい。
「ガッチャマン」の時にはこう書いた。
このような大昔の名作アニメを実写化する場合、その出来栄えを評価しても仕方がないと思う。とにかく作ったという事実が大切であり、それを観ることが重要なのだ。「大昔の名作漫画・アニメの実写化」の先駆けは、自分の中では「デビルマン」で、9年前にこの映画を観た時、非常にがっかりし、制作陣に憎悪すら感じたものだが、一昨年に「あしたのジョー」「ワイルド7」を観てそう悟るようになった。
どんな作品か見られただけで幸せだというべきだろう。がっかりしたと、口には出すまい。とにかく、早乙女愛は髪型も原作にそっくりだったが、お嬢様でもなんでもなかったのは残念だった。もう武井咲の顔を見たらギャグとしか思えなくなる。
今の世の中は、真面目なことを真面目に演じるのが難しい。途中でちゃんと突っ込みを入れ、ギャグにしないと、緊張に耐えられなくなるということなのだろうか。スケバングループとか、影の番長とか、そうした設定自体が今となってはギャグとしか思えないもんなあ。ギャグにするしかないよなあ。
過去記事
- 立て、立つんだジョー「あしたのジョー」(2011/02/18)
- 今年34本目の映画「ワイルド7」(2011/12/27)
- あの名作アニメの実写化「ガッチャマン」(2013/09/24)
リンク
これは誰が作ったサイトなのだろう。手が込んでいるしよく調べてあるが、著作権表示がなく、写真もなく、文章が推敲されていないから、熱心なファン(個人)が作ったものなのだろうか。
- 三池崇史監督・妻夫木聡主演『愛と誠』ネタバレ感想(1年で365本ひたすら映画を観まくる日記、2014/03/14)