恋愛+サスペンスの融合。傑作だ。「とらわれて夏」

封切初日に駈けつける。期待に違わぬ作品。こういう映画が観たかった。

題名とらわれて夏(Labour Day)
原作ジョイス・メイナード
監督ジェイソン・ライトマン
出演ケイト・ウィンスレット(アデル・ウィーラー)、ジョシュ・ブローリン(フランク・チェンバース、脱獄犯)、ガトリン・グリフィス(ヘンリー・ウィーラー、アデルの子)、トビー・マグワイア(成人後のヘンリー・ウィーラー)、他
公式サイト映画『とらわれて夏』公式サイト
制作USA(2014年5月1日日本公開)
時間111分
劇場TOHOシネマズ シャンテ(スクリーン2)

内容紹介

心に傷を負い、引きこもりがちな生活を送るアデルと、子供心に彼女を必死で支える少年の家に、突然、脱獄囚が転がり込んできた。しかし殺人を犯した人とは思えない誠実な人柄に、アデルは心を開いていく……

雑感(ネタバレ……あるかも?)

この作品にはふたつの要素がある。ひとつはアデルとフランクの恋愛物語。もうひとつは、逃亡犯であるフランクが、捕まるのか?逃げ切るのか? というサスペンス。両方が高いレベルで結びついていて、ものすごく引き込まれた。デートで観るには最高の作品だと思う。ハラハラして思わず隣の人の手を握りたくなるし。見終ったあとにお互いの恋愛観を語り合えば、有意義なのではないでしょうか。

フランクは脱獄囚であり、アデルは人質である。そのような関係の中、わずか1〜2日で恋に落ちるのはいささか早いが、必然性もある。アデルはヘンリーを生んだ後、立て続けに4回も流産してしまった。出来た子出来た子すべてを流してしまうというのは、肉体的にも精神的にも深く傷ついたであろう。その上(それが原因で)離婚されたため、鬱状態に陥り、買い物に出かけるのも月一回がやっと、友人もなく、話し相手はヘンリーだけという状態を続けていた。

これでは新たな出会いもないし、仮にあったとしてもアデルは拒否したであろう。しかしフランクが(物理的に、家の中に)入ってきてしまった。子供に手を出されたら困るから、拒否はできない。こうして、男と生活を共にすることになり、男の体温を、息吹を、間近に感じることになってしまったわけである。

ただしフランクは、殺人罪に問われたものの、殺すつもりはなく、実際には事故に近いものだったようで、だからこそ刑に服することに耐えられず脱獄を計ったわけだが、本人はもともと誠実で、正直で、その上家事にも堪能な人物であった。そして、迷惑をかける代わりと言って家の補修やら料理やら、はてはヘンリーのキャッチボールの相手まで務め、その存在がアデルの心の中に入っていくのに時間はかからなかった。

ただし、フランクがアデルを愛していたか、といえば、そうではないのではないかと僕は考えている。(このあたりからちょっとネタバレあり)

脱獄という目的のためには、本当はアデルとヘンリーは縄で縛りつけ、猿轡もかましておくべきであろうが、一方、買い物や誰かが訪ねてきた時の対応も必要である。また自分のケガの手当など、いろいろ働いてもらう必要があり、いくら「言うことを聞かなければ殺す」などと脅していたとしても、コントロールするのは難しい。一番いいのは、相手が自分に好意を示し、進んで協力しようという気になることである。おまけに刑務所暮らしで女には飢えていたであろう。

となれば、本心はともかく、アデルを愛しているように振る舞うのは当然だと思える。そして、この演技は絶対にバレてはいけないのだから、渾身の演技をしただろう。とにかく逃げおおせられさえすれば、もともと男子レベルは高いのだし、こんな半病人で妥協しなくても、もっといい女に出会える可能性はあるのではないか。

最後のエピソードと合わせて考えると、この二人は愛し合っていたと解釈するのが自然であり、ひねくれた見方かも知れないが、長い刑期を務めてようやく娑婆の土を踏んだフランクにとっては、もはや選択の余地はなかったから、とも考えられる。恐らく財産もろくになく、若くもなく、そんな刑務所帰りの男を誰が相手にするだろう。

このようにいろいろ考えさせるのも、名作ゆえといえるのではないだろうか。

配役

今日の英語

  1. You have to try on.(食べてみてよ)
  2. You should stay.(ここにいて)
  3. Have you sleep?(よく眠れた?)← have の使い方が面白いなと思ってメモしておいたのだが、変である。Did you sleep? あるいは Have you slept? を聞き間違えたか。
  4. I can't give your family.(あなたの子どもは産めない)

とらわれて夏

とらわれて夏

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