窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

こんな映画アリか……「オール・イズ・ロスト」

題名オール・イズ・ロスト 〜最後の手紙〜(All Is Lost)
監督J・C・チャンダー
出演ロバート・レッドフォード
公式サイト【公式サイト】映画『オール・イズ・ロスト〜最後の手紙〜』│第71回ゴールデン・グローブ賞 作曲賞受賞・主演男優賞ノミネート!2014年3月14日(金)TOHOシネマズ シャンテ、新宿シネマカリテほか、全国ロードショー
制作USA(2014年3月14日日本公開)
時間100分
劇場TOHOシネマズ シャンテ

内容紹介

男は、インド洋、スマトラ沖1700マイルを8日間にわたって漂流していた。打てる手はすべて打ったが、水も食料も尽き、救助の当てもない。絶望が襲う……

雑感

ゼロ・グラビティ」の海上版ともいえる。狙ってたわけではないと思うが、奇妙なシンクロニシティを感じる。船が漂う廃棄物と衝突し、致命的と思える損傷を受ける。客観的に見れば絶望的と思える状況の中で、どのように行動するかを描いた作品、括れば同じ。違いは海か宇宙空間か、というだけ。「ゼロ・グラビティ」は元は大勢いたのが一人また一人と死んで行き、主人公が一人残されるが、本作は最初から一人。

一人しかいないからある意味では当然そうなるのだろうが、とにかく会話というものが存在しない。「ゼロ・グラビティ」は、画面に登場する役者は二人だけだったが、声を含めればそれなりに大勢の人物が登場した。一人になり、通信が途絶えても、一人で喋りつづけた。セリフがなければ基本的には話は転がって行かないからだ。冒頭のナレーションのあと、なんの声も発せられない。最初のセリフは、トラブルが重なった時の「ファァァーーーッッック!!」との叫び声だが、スタートから約1時間経過していた。その後も多少の叫びや呟きは漏らすものの、まともな言葉はなし。

そもそも、主人公以外に人間が登場しない。最後の最後に腕が一本、垣間見れるだけ。だから主人公の名前も最後までわからない。

これで映画として成り立っているということは、ロバート・レッドフォードのパントマイム(無声の演技)がいかに優れているかということだ。何もしゃべらず身体を動かすだけで1時間40分、観客の目を惹きつけ続けるのは並みの演技力ではできない。なぜアカデミー賞の主演男優賞にノミネートされなかったのかは大いに疑問だ。

日本語タイトル

なぜ「最後の手紙」などという余計な言葉がついたのか、謎。たしかに、さすがの「男」も万策尽き、手紙を書いて流すシーンはある。しかし、その手紙を書くことがこの映画の主眼なのか? そうではあるまい。「グラビティ」の話を「ゼロ・グラビティ」と書き換えたセンスも酷いが、この日本語タイトルも相当に酷い。

日本語キャッチ

スマトラ海峡から3150キロ」とは予告編でも出てくる印象的な言葉である。3150キロとはやけに細かいなと思ったが、作品を観て納得。原語では「1700マイル」と言っている(このマイルはノーティカル・マイル=海里=1852mのことだろう)。だからこれは誤訳。有効数字は二桁だから、3100キロ、あるいはいっそのこと3000キロでよかった。

今日の英語(「とらわれて夏」の予告編より)

  1. We really can't help you.(困るわ)
  2. You should stay.(ここにいて)