観るかどうか迷ったが、迷ったものは観た方がよい、と判断して。
題名 | GODZILLA ゴジラ(Godzilla)【TCX + DOLBY ATMOS】 |
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監督 | ギャレス・エドワーズ |
出演 | アーロン・テイラー=ジョンソン(フォード・ブロディ大尉、米海軍爆発物処理班)、ブライアン・クランストン(ジョー・ブロディ、フォードの父/核物理学者)、エリザベス・オルセン(エル・ブロディ、フォードの妻/サンフランシスコER勤務の医師)、ジュリエット・ビノシュ(サンドラ・ブロディ、フォードの母/原子力発電所技師)、渡辺謙(芹沢猪四郎、特別研究機関MONARCH(モナーク)所属の生物科学者)、サリー・ホーキンス(ヴィヴィアン・グレアム、芹沢の助手)、デヴィッド・ストラザーン(ウィリアム・ステンツ司令長官、アメリカ海軍第七艦隊の提督)、他 |
公式サイト | 映画『GODZILLA ゴジラ』公式サイト |
制作 | USA(2014年7月25日日本公開) |
時間 | 123分 |
劇場 | TOHOシネマズ日本橋(スクリーン8/290席) |
内容
1999年、フィリピンを調査していた芹沢博士らは、巨大生物の化石と、それに寄生する繭のようなもの、また、そこから「何か」が誕生して意味へ這い出た跡を発見した。……
雑感
ゴジラの顔が熊みたいで妙だとか、ムトーの造形が、顔が機械みたいで、妙に足が長く、リアリティに欠けるとか、まあいくつか「変だな」と思われる点はあったけど、ゴジラ映画としては十分水準以上だったと思う。面白かった。まあ僕は、1998年公開のエメリッヒ版ゴジラも悪い出来ではなかったと思っているのだが。
僕にとってのゴジラは怪獣映画であって、正直、ストーリーはあまり気にしていない。気になるのはアクションシーンだが、この点は期待以上で、時代の進歩をたっぷりと享受することができた。
特撮には特撮のいい点もあるのだが、着ぐるみではなくCGにしたことで、ゴジラの動きに不自然な点がなくなり、動き方にバリエーションができた。しっぽが鞭のようにしなる、巨大生物のしっぽがしなるとそれだけでどれほど恐ろしい武器になるか、そういうことを堪能できたし、口から吐く炎についても、演出の仕方を含めて素晴らしかった。
核に対する描き方が少々杜撰な気はしたが、エンターテイメント映画であり、しかもアメリカ製だから、ここまで描いただけで上出来と考えるべきだろう。米海軍が、怪獣に対し、通常兵器が通用しないのだから、核兵器を使おうといとも簡単に決断するのに対し、日本人である芹沢博士が、核攻撃だけはしてはいけない、と主張するあたりの対比は、日本人ならば非常によくわかるシチュエーションである。本国ではどのように受け止められたのだろうか。
今日の英語
- Precisely.(その通り)
- I'm all ears.(代案があるなら聞こうじゃないか、という文脈で)
- My wife died here. Someone killed her.(妻はここで死んだ。殺されたんだ)
- Be safe.(気をつけてね)
今回の大きな収穫は、提督が芹沢博士に向かって "I'm all ears." と言ったこと(が聞き取れたこと)である。この表現は2009年の「入門ビジネス英語」に出てきた。その時には、こんなしゃれた(?)表現、これまで聞いたこともないし、使う人がいるのだろうか? 覚える価値があるのか? などと思った記憶があるが、実際、このような娯楽映画の登場人物が使っている、ということが確認できたわけで、この一事だけでも、本作を観てよかったと言える。
リンク
- GODZILLA ゴジラ(ブログデンティティー THE MOVIE、2014/07/25)
ブログ主のゴジラ愛がひしひし伝わってくる。特にゴジラの動きに関する解説は精緻で素晴らしい。映画鑑賞後にこの記事を読み、なるほどそういうことだったかと改めて納得した箇所もある。
ただしメッセージ性に関しては、僕自身は意見を異にする。幼少時はゴジラ映画を何作も観たが、いつ頃から見始めたのか……恐らく年齢的には「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」あたりからかと思うが、「モスラ対ゴジラ」は記憶にあるから、リバイバルがあったのだろう。とにかく僕の知っているゴジラというのは悪い怪獣をやっつけて去っていく正義の味方であった。長じてのち、第一作が地上波で放映されていたのをチラ見した時に、ゴジラが人間を襲っているので非常にびっくりした覚えがある。そしてつい最近劇場で観て、ここまで強いメッセージが込められていたのかと改めて感心したのだ。
「ゴジラ対ヘドラ」などでは、川を汚すとヘドラがくるよ、みたいなとってつけたようなメッセージはあったが、核に関するメッセージ性は全く感じてはいなかった。漫画雑誌に「ゴジラは口から放射能を吐く」などと解説があっても「放射能ってどういうことを? あれは火を吐いているのではないのか?」と思っていたくらいである。
だから、本作はまさに僕にとってのゴジラそのもので、全く違和感がない。しかし、ゴジラシリーズをきちんと鑑賞すると、また違う見方をするようになるということなのだろう。
過去記事
- 日本映画史に残る不朽の名作だ。「ゴジラ」(2014/06/09)