窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

えっ、松が……!?「真田丸」第6回「迷走」

出演

粗筋

そうでなくても、昌幸があっちについたりこっちにつく素振りを見せたりと複雑なのに、一ヶ月も経つ(見てから感想を書くまでに)からいろいろと忘れてしまっているでござるよ……

今日の松

信繁、三十郎、茂誠らは女性陣を連れて安土城を逃げ出すが、元より着物を着た妙齢の女性を連れてさくさく逃げ出せるわけもなく、中には乳飲み子を抱えた女もいて、たちまち見つかってしまう。絶体絶命……そこへ佐助が合流。いったんは押し戻すものの、いかんせん多勢に無勢。戦場できれいな女子を見つけたら男の考えることはひとつ。それを拒否する松は崖から身を投げる。茂誠は、せめて松のそばにいたいと、この地で暮らすことを決意する。

今日の昌幸

信幸は、われらは織田についたのだから、信長が死んだからといって裏切るのはおかしい、ここは滝川一益とともに明智を討つべしと主張、昌幸もその意見を容れて滝川一益を説得。そして国衆にも協力を要請するが、前回は信長亡き後は上杉につくといっていた昌幸の言い分を誰も信用せず、北条につくという。氏政の息子、氏直は、信玄公の孫だからだ。仕方なく昌幸も北条につくという。

昌幸の真意は、今の段階では誰につくか決めず、時間を稼いで様子を見たいと思っているのだ。

今日の信繁ときりと梅

信繁は、人質奪還に失敗し姉を失ったことを激しく悔いる。「兄より才があると思っていたが、自分は役立たずの次男坊だ」と梅に激白。

きりは「そんなことないって言ってほしいんでしょ」と痛いところを突く。まさにその通りだったのだろうが、ますます嫌われる(信繁にも、視聴者にも)ことになる。

梅は、「何か言ってくれ」との信繁に対し、こう答える。「もし真田の里に何かあった時は、必ず私をお助け下さりませ」と。つまり、自信をなくしている信繁に対し、あなたの力を信じている、あなたを頼りにしていると訴えかけたのだ。案の定、この梅のセリフで信繁は自信を回復する。

今日の信尹(のぶただ)

上杉から急遽戻され、今度は北条へ交渉に。滝川一益がここを動けないと明智を討つのを渋っているのは、いなくなった途端に北条が攻めてくるのを恐れているのだ。信尹は、滝川が動いても北条は攻めない、という約束を取り付けることに成功。氏直はなんでそんな約束をするのかと氏政に疑問を投げるが、氏政は、こう約束して滝川が動いたら約束を反故にして攻め取ればよいと不吉な笑いを浮かべる。

今日の人質

真田は今度は滝川に人質を差し出さなければいけないことに。薫は断固拒否。とりが「私が行きましょう」と告げる。身の回りの世話をしていたきりとともに人質へ。

今日の出浦昌相

松を失った失意の信繁が信濃に戻る途中、森長可随行していた出浦昌相に会う。信繁が「明智が天下を取るのでしょうか」と訊くと、こう答える。

「どれだけ味方を増やせるか。主人を不意打ちで襲う人間に、与するものは少なかろう」
「素っ破(忍びの者)は目先の損得では動かぬ。一度家臣と決めたからには、最後まで尽くすのが我らの流儀。乱世なればこそ、我らの流儀に値打ちが出る。素っ破は戦では死なぬ。素っ破が死ぬ時は、信用を失った時」

カッコよかった。これまでを通じて最高の名セリフ、と言いたいところだが、これをなぜこのタイミングで出浦が言うのかは不思議。国衆の中では出浦が一番真田昌幸を買っているようだが、昌幸の行動は出浦の理念とはかけ離れていると思うのだが……

今日の秀吉

羽柴秀吉がチラリと初登場。ここまで全く登場していないというのもすごい使い方だ。滝川や家康がぐずぐずしている間に明智は秀吉が討ち取ってしまった。となると、この後は秀吉の発言権が急速に強くなるだろう。滝川についてもいいことは何もなくなってしまった。いったいどうすればいいのか悩んだ昌幸は、岩櫃城沼田城を真田の手に取り戻す決意を固めるのだった……

感想

松を失ったことに対し、三十郎は「どうしようもなかったのです。お気の毒でしたが、松様のことは忘れましょう」と信繁に告げる。信繁は、自分の力が足りなかった、なんとかできたのではないかと考えるのだが……

松一人なら、馬にも乗れるし、助かる可能性はあっただろう。しかしあんな女子どもをぞろぞろ引き連れて敵の目を逃れられるわけがない。信繁の失策は、松から「みんなを助けて」と言われた時に、「ダメです。姉上のみお助けいたします」ときっぱり言えなかったことだろう。

そもそも、人質になっている女子衆は、これから明智が味方を増やすにあたって大いに利用価値があるわけで、意に添わぬ使われ方とはいえ、人質に危害を加えるとは考えにくい。むしろ大事に取り扱ってくれたはずだ。しかし、戦場の末端の兵隊に囲まれれば手荒な扱いとなろうし、命の危険も出てくる。仮に襲われなくても、ろくな食料も着替えもなく何日も旅を続けるのはそれだけでも命がけだろう。つまり、あの人質たちは逃げる必要はなかったのだ。

その辺りの状況判断が瞬時にできなかったところが、若い信繁の甘さだったということになろうか。
(2016/3/14 記)