「いだてん~東京オリムピック噺~」第七回「おかしな二人」

「神回」という言葉は安易には使いたくないが、今回は目の醒めるような回だった。

出演

概要

三島弥彦は、帝大卒業後の進路の問題や家族の反対のこともあって、オリンピック出場を拒んでいたが、嘉納治五郎の巧みな説得もあり、ついに出場を承知することに。

四三はオリンピック出場は快諾したものの、渡航費・滞在費あわせて1800円(現在だと数千万円くらいか?)もの費用を用意しなければならないと言われ、絶望的な気分になる。仕方なく兄に泣きついて無心するものの、裕福ではない金栗家で何とかなる金額ではないことは四三も承知している。

野口源三郎らは、国の代表としていくのになぜ国が負担しないのかと四三に詰め寄る。四三は、詳しい事情は知らないものの、その件で嘉納治五郎が苦労していることを感じているため、文句を言えない。美川秀信は、四三の兄はケチだし四三が走ることに反対しているから金を作ってくれるはずがないという。思い余って嘉納に相談にいくものの、打ち明けられないでいると、何事かを察した嘉納は、自分のコートを質に入れ、その金を四三に渡し、これで服をあつらえるように、これは日本体育協会ではなく嘉納治五郎個人からだと告げる。

ストックホルム行きが決まると、英会話や行儀作法も学ばねばならない。弥彦は自宅を研修の場に提供する。講師は大森安仁子。西洋式の作法など知らない四三は厳しく怒鳴られ料理の味もわからず怯えるばかり。弥彦は、優雅で、もちろん行儀作法をわきまえているばかりか、ピアノを弾き、最近はカメラに凝っているという。その弥彦は四三に向って、いい家族がいて良かったね、と語るが、こんなに恵まれている弥彦が何をいうかと弥彦をいぶかしむ。

弥彦はシマに手伝わせて写真の現像をするが、これはうまく撮れた、といって取り上げたのは、自分を「三島家の恥さらし」呼ばわりする母・和歌子の肖像だった……

一方、熊本では実次が四三のためになんとかしようと金策に走り回る。スヤの紹介で玉名村の庄屋である池部の家へ借金の無心に行くが……

雑感

すべてに恵まれているように見える三島弥彦にも、求めて得られないものがあった。「母は兄にしか興味がない、兄は金にしか興味がない。ま、期待されていない分、気楽なものさ」と言いつつ、自棄になったりもしないし、他人を羨んだりもせず、学業にもスポーツにも抜群の成績を残していくのだが、寂しさを隠せない。お、といって取り上げたのが四三でもシマでもなく、母の写真だった時はぐっときた……

(2019/3/10 記)