放送日
- 2020年11月22日
公式サイト
概要
10年以上に渡ってひきこもり生活を送る倉田雅夫。重いストレスを抱え働けなくなったことがきっかけだった。厳格な父・一夫は元教師。地元でも尊敬を集める存在だが、雅夫の存在を世間から隠し、立ち直らせることも諦めていた。しかし、自らの余命宣告を機に、最後にもう一度息子と向き合うことに。一方の雅夫は、閉ざされた部屋の中で人知れず、ひきこもりから抜け出す道を必死で探っていたー。(公式サイトより)
雑感
いわゆる「ひきこもり」の子を二人抱えるバニラファッジさんのサイトで本番組を知った。
雅夫は、父・一夫から、正社員になれなかったことを「お前がだらしないからだ」と非難されたり(今は企業が正規職員の雇用をなかなかしないから、就職できないのは本人のせいではない)、母親が寝たきりになった時に仕事を辞めてつきっきりで介護をしているのに「何も仕事をしていない」と叱られたり(介護は仕事ではないのか?)、繊細な神経の人だったらそれだけで心が折れてしまうだろうことを何度となく言われてきた。
そのたびに腹が立ったが、父親は父親で厳しく育てようとした結果なのだろう。彼の世代では、甘やかすのは本人のためにならない、厳しく躾けるのが愛情、と骨の髄まで刷り込まれているのだろう。もっとも彼の職業は教師だというから、社会情勢の変化や子育てに関する時代の変化を理解していないのは恥ずかしいともいえる。
姪の美咲は一応社会人としてまとも生きてはいるが、就職活動をしている時からセクハラ・パワハラを何度となく受けており、生きにくさを感じている。その点で雅夫に共通する心情を持っている。つまり、単に父親の育て方が悪かったで済む話ではないのだ。社会全体が受け止めていかなければいけないことなのだろう。
僕も、ここまではまあまともに生きて来れたが、これから先、何があって働けない、外に出られないということになるかわからない。絶対にそうならないとは断言できないし、そうなっても頼る親もいないから、他人ごとではないのである。
ファッジさんのご家族はこのドラマを見たのだろうか、見てどのような感想を持ったか、気になっていたが、本人たちは松山ケンイチのしゃべり方や振る舞いが、いかにも「そういう人たち」特有のものを見事に再現していたそうで、「あるある~」と割と明るく見ていたそうだ。それを知ってほっとした。
(2021/10/17 記)