窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「鎌倉殿の13人」(32)

題名

  • 「鎌倉殿の13人」第32話「災いの種」

放送日

  • 2022年8月21日

登場人物

今日の退場者

今日の義時と善児

義時「あれは生きていてはいけない命だ」
善児「できねえ」
義時「千鶴丸と何が違う」
善児「わしを、好いてくれている」

概要

源頼家が危篤と知り考えをめぐらせる後鳥羽上皇。そのころ鎌倉では、政子のもとに義時、泰時らが集まり、新たな体制について話し合っていた。そんな中、一人で思いにふける比奈。一方、先を見据えるりくは時政に京との関係をより深めるように説き、愛息・政範も胸を高鳴らせる。そして、三浦義村は………。(NHKオンデマンドの解説より)

頼家に対し最初は一幡とせつは流行り病で臥せっていると告げるが、周囲の態度が不審なので疑いを持つ。政子は比企能員は頼家が死んだと思い込んで自害したと話すが、頼家は信用せず、北条がやったと察する。和田と仁田を呼び出して問い詰めると、和田が真相を白状。頼家は二人に、時政を討つように命じる。

和田は命を聞く気はなく、時政に話をするが、真面目な仁田は悩み、どちらも裏切れないと、時政の前で自害する。

泰時は、一幡を殺せと言われたが、実は密かに匿っていると義時に報告する。一幡を匿っていたのは善児だった。義時は善児に一幡を殺すよう命ずるが、断わられる。一幡さまは、わしのことを好いていてくれるから――。お前がやらぬなら自分でやると刀を手にした義時を見て、仕方なく手にかけようとする善児、二人を見て事態を察したトウが、一幡を水遊びに連れていく……

頼家をこれ以上鎌倉に置いておくと危ないと考えた義時は、伊豆の修善寺に幽閉することに。頼家は逆らうが、有無を言わせず連行する。千幡は元服して実朝となり、征夷大将軍の座に就く。

頼家の遺児・善哉のところへ比企尼がやってくる。北条を許してはならない。あなたの父を追い落とし、兄を殺したのは時政、義時、政子だと。

雑感

今日の圧巻は善児であろう。これまで顔色ひとつ変えず命じられるまま、多くの人の命を殺めてきたが、今回初めて命令に逆らう。どうしても命に背けないとわかった時の苦悩の顔。梶原善という役者のすごさをまざまざと見せつけてくれた。一幡を見つめ、義時を見上げるその表情がすべてを物語っていた。

善児が人間性を取り戻したのは、一幡が好いてくれたから。ということは、善児はこれまでの人生、好いてくれる人が誰一人いなかったのか。壮絶な人生を思わされるが、ここへきて、義時の冷酷非情ぶりが善児を凌駕しているのがすごい。オープニングで「善児」の名が出ただけで視聴者が震え上がった善児よりも。

先週、一幡は死んだと思われたが、実は泰時が匿っているとかの線はないのかな、と思ったら、本当に匿っていて、ほっとした瞬間、本当に殺されるという救いのなさ。泰時が納得せず、父上は間違っている、と逆らう姿は、かつて頼朝を諫めようとした若き義時を彷彿させる。

しかし今回一番怖かったのは、善哉に恨み言を吹き込んだ比企尼だ。生きていたのかと、驚き半分嬉しさ半分。が、入って来られるはずのない屋敷に入ってきたり、言いたいことを言い終わるとあっという間に姿を消したりしたところから、怨霊だとも取れる。比企一族は、比奈以外は皆殺しにしたはずなので、生きているのは変である。それはともかく、演技とわかっていても、自分が善哉であったらトラウマになりそうな、草笛光子の鬼気迫る演技であった。


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