番組が始まる前に「緒形拳に捧げる」と表示され、ちょっと「うわっ」ときた。何かあるだろうとは思ったが、それは番組の最後だろうと思っていたから。*1
物語の冒頭でいきなり緒形拳(白鳥貞三)が登場し、「うわわっ」ときた。こうして見ると、動きやセリフは達者だが、顔、喉、手、……やはり歳をとったなあと思う。それにしても、患者の大滝秀治のボケぶりと、緒形との掛け合いは見事。
その後、麻酔科医として東京の病院で働く中井貴一(白鳥貞美)の様子がしばらく映される。かなり取材と練習を積んだのだろう、病院内の様子は見事だったが、ちょっとリアル過ぎて厭な感じもあった(血がかなりたくさん映されたり、注射する描写も身体に針を刺すところを映したり)。
その後、中井とその子供、黒木メイサ(白鳥ルイ)、神木隆之介(白鳥岳)の描写に移る。子供たちは中井とは同居しておらず、富良野で祖父と同居しているらしい。なぜ? 妻が死んで多忙な中井は子育てが難しいから? しかし、黒木メイサは、「風のガーデン」は母から引き継いだと言っている。ということは妻は富良野にいたのだ。単身赴任? その前はアメリカにいたらしいが、その時は家族一緒だった?
中井のオヤジギャグが妙におかしい。付き合っている? 平原綾香(氷室茜)に、「百姓のことをフランス語でなんというか知ってるか?」とか、伊藤欄(看護婦長・内山妙子)に、「死ぬと、天国の入り口で天使ガブリエルはなんて言うか知っている?」(答え:あのよー)とか。伊藤欄は愛人なのか? それとも純粋に世話を焼いているだけ?
緒形拳は家族(二人の孫)に対しても敬語を使う。なぜだろう? また、中井とこの三人は連絡を取り合っていないようだ。なぜ……?
ドラマのラストで、中井がかなり深刻な病気に罹っていることがわかる。第一話から、いきなりかよ!
若い俳優、国仲涼子(二神香苗)とか黒木メイサとか、下手とは言わないが、セリフの言い回しが固い、というか、自然じゃない。黒木メイサと緒形拳、国仲涼子と中井貴一などの対話の場面ではその差が歴然としたものがあった。(意外に、これが女優デビューになる平原綾香は自然なしゃべり方をしていた。)
ふつう、連続テレビドラマは、何回かの撮りだめはあっても、放映と撮影は並行して行なわれる。が、このドラマはすべての撮影を終えてからの放映となった。その上、通常は2〜3人の監督が交代で務めるが、全作同一人物(宮本理江子)が監督を務めた。それだけでも完成度の高さが窺える。まして緒形拳の遺作となれば……
僕は、滅多にテレビドラマは見ない。脚本を担当した倉本聰といえば「北の国から」が有名だが、この「北の国から」も一度も見たことがない。が、この「風のガーデン」だけは見ようと思い、早めに仕事を切り上げて帰ってきた。一応、期待を裏切らない内容だった。
ただし、コマーシャルがドラマと区別できなくて困る。ドラマは、最初は富良野、次に東京を映し、そして奈良が映ったので、今度は奈良か、ここには何があるんだろうと思ったら郵政のコマーシャルだった。その後のCMも同様で、どこからCMでどこからドラマなのかはっきりとわからない。もう少しなんとかならないものか。