窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

風のガーデン 第10話「ユーフォルビア」

二神達也(奥田瑛二)が登場するとは思わなかった。もう出てこないと思っていた。天国から(夢の中で)「早く来い」と呼びかけるのだが……

今回は、貞三(緒形拳)やルイ(黒木メイサ)が、残り時間のわずかな貞美(中井貴一)に、いかに安らかに過ごしてもらうかを画策する話。貞美が、ルイと腕を組んでバージンロードを歩くのが夢だった、などと語ったもので、その話が貞三→ルイ→エリカ(石田えり)と伝わるうちに、実際に結婚式をして、その夢を実現してもらおう! という話に。そんな莫迦な話を思いつくのはやっぱりエリカか、と思ったが意外にルイも貞三もその気になる。

そんなことできるわけないじゃないか。エリカはさかんに「その日一日だけでいい」と強調していたが、それがそもそもおかしい。結婚するのは一日だけの話じゃない。準備も必要だし、当然、結婚すれば新しい生活が始まる。たとえ一緒に暮らさなかったとしても、その日から親子になるのだ。相手の家族とも。親戚や、地域の人みんなを騙し、貞美が亡くなるまでの数か月、偽りの生活を続け切る覚悟があるなら別だが、付き合っているわけでもなんでもない相手と、そこまで運命を共にすることはできまい。

そもそも岳君(神木隆之介)にどう説明する。説明しようがないから、貞三はもともと岳はこの騒ぎには巻き込むつもりはなかった。しかし、いくらなんでもたった一人の姉の結婚式に弟が出ないわけがない。だからこそ、岳は呼ばない、と言った時点で貞美は茶番だと気づいたようだったが……

それより、貞美が死ぬ姿を見せたくない、との親心(?)から、岳は旭川のさゆり(森上千絵)のところに預けられることになった。貞美との別れにパニックを起こす岳。数回の邂逅で、そこまでの精神的なつながりができていたのか……。身の回りに貞美くらいの年齢の男性があまりおらず、そういう人にこんな風に親身に接してもらった経験がなかったせいかも知れないが、やはり血のつながりのせいか……

岳は、これで二度とガブさんと会うことはないんだな……。というか、貞美は自分の息子とこれが今生の別れとなるんだな……切ない。

内山妙子(伊藤蘭)から貞三のところに連絡があったようだ。もう一回絡みがあるだろうとは思っていたが、しかし、妙子にも困ったものだ。不治の病を抱え、家族のもとに帰って行った男に対して、人妻ができることはなにもないのだ。まして、貞美の妻の自殺に関わってもいる。地元の人間には不愉快な相手だし、そこでの貞美の立場になぜ思いやらないのだろう。

また、何気なく耳にしたラジオから氷室茜(平原綾香)の歌が聞こえる、というシチュエーションは最終回だと思っていた。今回とは予想しておらず、いきなり彼女の歌が聞こえてかなりキた。

茜の歌う「カンパニュラの恋」は、平原綾香の歌う、この番組の主題歌「ノクターン」と同じ曲なんですね! ドラマの主題歌がドラマの中で歌われたのでびっくりだ。なるほど、だから貞美は茜に「ショパンだね」と言ったわけか(第5話)。ナットク。*1

ノクターン/カンパニュラの恋

ノクターン/カンパニュラの恋

*1:ショパンノクターン第20番嬰ハ短調。映画「戦場のピアニスト」で使われて有名になりましたね。