窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

二度も見ちゃったよ!「交渉人 THE MOVIE」

「交渉人 THE MOVIE」、あまり面白かったので、二日続けて二度目を見に行ってしまった。同じ映画を劇場で見るというのは、(ビデオレンタルなどというものが存在しない)学生時代はよくやったが、それ以降はほとんど記憶にない。最近では「アバター」以来だ。って本当につい最近やん!

でも、ここ10年くらいだと、2003年の「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」を2回観ただけである。その前の10年はそもそも映画を観に劇場へ行くなどということはほとんどしていないはず。最近はいろいろな意味で余裕が出てきたということもあるが、それだけ面白かったからだ。

しかし、あれだけ派手に番宣していた割には、観客数が寂しい。僕が行った映画館だけかも知れないけど、休日の昼間だというのに、上映開始15分前に劇場に行ったら一人もいない……。劇場を間違えたかと思った。その後三々五々集まって、最終的には半分くらい埋まったけど。(それにしても始まってから入ってくるヤツって本当に腹が立つ。劇場も、入れるなよ、と思う)

女刑事が主人公のアクション映画というと、「アンフェア THE MOVIE」が思い浮かぶ(主役の女優の名前は奇しくもともに「涼子」だ)が、内容は比較にならない。ハイヒールで走りまわったりしないし、ちゃんとアクションもできる(米倉涼子は長年バレエをやっていたせいか身体が柔らかい。かかと落としは必見)。「アンフェア」では周りの人間が誰も信じられなくなって孤軍奮闘する物語だが、こういう話は後味が悪い。それにテレビ編から「意外な犯人」が続いて、却って犯人の見当がついてしまい醍醐味に欠いた。本作は、テレビ編ではなかった同僚や上司との信頼関係が強く表に出ており、それだけでも心地よい。また、二転三転する犯人像だが、真犯人はその瞬間まで誰もわからないだろうと断言する。

あ、それと、セクシーな衣装や、場面は一切出てこない。また、シリアスなサスペンス&アクションなのだが、思わず笑える場面も何か所かある。家族連れでも楽しめる映画だと思う。

ちなみに、タイトルは「交渉人」だが、この映画においては別に交渉はしていない。いつも交渉を行なうSIT所属の刑事がハイジャックに巻き込まれた。さて、……という映画だ。

交渉人 THE MOVIE OFFICIAL BOOK (ぴあMOOK)

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交渉人 THE MOVIE (小学館文庫)

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まだ見ていない人は、以下は読まないように。

米倉涼子が試写会の際に「ハリウッドに負けない」と言ったそうだが、それはいくらなんでも言い過ぎだ。なにしろ、ハリウッドの有名作品に対する……遠回しに言えば、リンクがいろいろ貼られているというか……率直に言えば「パクリ」と言われても言い返せないのでは? そのくらいあからさまなのだから。

ストーリーの骨格は「エアフォース・ワン」だろう。飛行機を舞台にした点はもちろん、ハイジャック犯の要求が拘留中の被疑者の解放であること、携帯電話を利用した地上とのライン確保、上客名簿にない「ネズミ」の活躍、ハイジャック犯による人質を利用しての「ネズミ」のあぶり出し、ハッチから外に放り出されそうになるシーン、そして操縦士が撃たれ、「ネズミ」が運転を代わることなど……。

これはテレビ編からだが、真里谷恭介との関係はもちろん「羊たちの沈黙」だろうし、木崎が間違って爆弾のスイッチを入れてしまい手が離せなくなるのは「踊る大捜査線」テレビ編の第二話を彷彿させる。ついでに、この映画における木崎役の筧利夫の演技は、「踊る大捜査線」テレビ編における真下正義にそっくりである。さらに、拘留中の被疑者を釈放するようにかけあって、これで助かる、と思ったところが、警察署から出た瞬間に撃たれる(そのためにわざわざ外に出した)、というのは、ゴルゴ13にあったネタ。とまあ、ちょっと気付いただけでもこのくらい有名作品から集めている。

それが悪いことだとは言わないけど、そのことが、さまざまなインタビューや紹介記事などで、どこにもひとことも出てないのがちょっと不満。はっきり言えばいいのに。

テレビ編(シーズン2は見てないので知らないが)に出てくる登場人物が、一通り映画でも登場し、出番が短い人もそれぞれ印象的な役回りだったのは、うまく作ったなと思う。三村留美子も、蓮見芳樹も、片山一義も、存在感があった。

また、主役の宇佐木玲子だけでなく、桐沢圭吾にも、墨田耕平にも、工藤幹夫にも、それぞれ見せ場があった。カッコいい、と思わせてくれた。それなのに、なぜ木崎誠一郎だけお笑いキャラになってしまったのだろうか? 前半では、事件前に怪しい匂いを感じ取ったり、パイロットなら衛星電話を持っていることを知っていたり、などちょっとした見せ場はあるのだが、宇佐木と同じ機内に居合わせながら、なぜ宇佐木一人が獅子奮迅なのか……。筧利夫は好きな役者だけに、残念である。あんなに笑わせてくれる人だとは思わなかったけど。

でも真里谷恭介は、シーズン1最終話で、誰も殺していないことが明らかになったのでは? なぜいまだに死刑囚なのか? 確かに、彼とウサギとの対話から始まるのが「交渉人」のスタイルではあるんだが。

反町隆史が出演するドラマなり映画なりは初めて見るが、うまいね。こんなにうまい人だとは思わなかった。津川雅彦が出演する作品は、大昔に大河ドラマ勝海舟」で一橋慶喜役をやったのが記憶にあるだけだったが、さすがに存在感がある。若者へのアジテーションもうまく、墨田耕平や工藤幹夫に対する態度は本当に憎々しげで……。成宮寛貴もまた味のあるところを見せてくれたが、林遣都が一本調子で残念。

それにしても、宇佐木がジャンボ機の操縦までしてしまうなんて、いくらなんでもでき過ぎだろう。自動車教習所で初めて路上に出た時のことを思い出してみれば、隣席に指導者が座り、逐一指示を出してくれても、誰もスムーズな運転などできないのだ。ここは一発、撃たれた加納機長が、かすれゆく意識と闘いながら必死で……とかの方が、リアリティがあったと思うが。

ところで、御堂啓一郎がそもそも現金輸送車を襲い、立て籠もったのは(そして、金を置いたまま投降したのは)、なぜだったんだろう? もしかして、これは聞いてはいけない質問か?

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