窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

息詰る心理戦「交渉人スペシャル」

ようやくツタヤで発見。確かにテレビ版(シーズン1)の続編だ。

出演(レギュラー)

出演(ゲスト)

放映

2009年2月28日

粗筋

玲子が撃たれ、瀕死の重傷を負うが、たまたまその場に居合わせた医師・柚原の機転で、一命をとりとめる。

元気になったあと、友人の留美子と食事。「あたしもこの間救急車に乗っちゃった」「なにかあったの!?」「ひどい風邪引いて、歩けなかったから」「あんた、風邪ぐらいで救急車なんか使わないでよ。タクシー呼びなさいよ」「だって、タクシー呼ぶとお金かかるじゃん」「……」

都内5ヶ所で2時間ほどの間に5人の男女が拉致されるという事件が起きる。その5人の中には留美子もいた! 玲子との食事のあと一人になったところを襲われたのだ。警察と新聞社に犯行声明が届く。身代金は115億5000万円。大金である上に妙に半端だが、この数字には意味があるのか。

誘拐犯の首謀者はあの献身的な医師・柚原だった。玲子らは5ヶ所の拉致現場の中心に柚原の勤める若葉台記念病院があることをつきとめた。数年前にこの病院の設備が一新され、病床数も拡大する計画があり、申請された予算が115億5000万円。しかしなぜか厚生労働大臣の四乃宮久作がこの計画を握りつぶし、病院を廃してショッピングセンターが作られることになってしまった。犯人グループは、どうやらこの時の四乃宮の責任を追求したいらしい。

ちょうどその時、福島の病院から患者を乗せたドクターヘリが若葉台記念病院に向かう途中で操縦不能に陥る。乗っていた患者は四乃宮の孫娘だった。玲子は柚原恵一に交渉を試みる……

感想

面白かった。かなり緊迫したし、「昼間に病院に行くと待たされるからというだけの理由で夜間に受診する」「たいした病気でもないのにタクシー代わりに救急車を利用する」「医師の些細なミスをあげつらって過大な損害賠償を請求する」ことなどに対する批判もあって、社会的でもある。これを映画にした方が良かったんじゃないの? と思った。ちゃんと「交渉」していましたしね(「交渉人 the movie」では全く「交渉」の場面がなかったので)。

おかしなことは山ほどあった。

  • 玲子を撃った狙撃手は、なぜ狙撃の腕がよかったのか
  • 狙撃後、緊急配備をどのようにすり抜けたのか
  • 狙撃に使った遠距離銃や拉致に使った拳銃はどうやって調達したのか
  • 拉致の実行犯がたった二人では、数時間の間に5人を拉致するのはいくらなんでも無理ではないか

そもそも拉致現場の位置関係から若葉台記念病院を割り出すのはかなり無理があるし、若葉台記念病院には医師や看護師が何百人もいるのに、なぜいきなり柚原恵一に疑惑の目を向けたのか、とか、書き出したらきりがないが、「交渉」による関係者の心理状態の変化を楽しむことに焦点を当てたのだろう。

ただ、事件が終わったと思ったあと、瀬沼がドクターヘリに乗りこんで逃亡を図るのはいただけない。あの時点でヘリには燃料がほとんど残っていなかったはずだし、いくら空へ逃げても、どこかに降りようとした時に周囲を警官隊が取り囲むのは必至で、逃げられるはずもないのはわかりきっているから。

片山一義がSPになっていたのはびっくり。高橋克実がSPときたら「警護官 内田晋三」(「踊る大捜査線」のスピンオフ作品)だろう。一瞬、ごっちゃになったよ。TV編では桐沢といつも喧嘩ばかりしていたが、四乃宮が桐沢に向かって無能だなんだと罵声を浴びせると、「大臣、お言葉ですが、彼らは無能ではありません」と食ってかかる場面はなかなか良かった。

高林静雄(元警視正)が警察官を辞めたり、病気になっていたりしたとは知らなかった。TV編最終話の事件の影響だと思うが、そういう話だったっけ。この高林と真里谷恭介の会話は、陣内孝則によれば「わずか数分でおいしいところを全部さらっていった」とのことだが、僕はそもそも何の意味があるのかわからず、単なる蛇足としか受け取れなかった。

甘利祐介はTV編最終話で大けがをしたと思ったが、それは回復したらしい。

墨田耕平は、TV編では「セクハラおやじ」という位置づけで、やたらに菅原由美や宇佐木玲子に触る場面があったけど、今回はおさわりは一切なし。

蓮見芳樹は、TV編では片山と一緒になって桐沢班に逆らってばかりいたが、本作品では協力的だった。

配役

中原丈雄は昨年末に「聯合艦隊司令長官 山本五十六」で知ったばかりの人。その後「ワイルド7」「相棒」(プレシーズン第3話)と立て続けに見て記憶に定着した。調べてみると「踊る大捜査線 THE MOVIE2」「官僚たちの夏」(第2話)にも出ているが、印象なし。

原沙知絵は久しぶり。お父さんの六平直政はあちこちで見るけど……いや六平と原が親子なわけじゃないけど(「踊る大捜査線スペシャル版で、六平直政演じる鮨屋の娘である小学校教諭で出演)。

笹野高史の独特のセリフまわしがいい味を出していた。

高岡蒼甫は、本作品では見せ場はなかったが、TV編を見た時にカッコいいと思ったんだよなー。宮崎あおいの夫だと知って、悔しく思うと同時に、お似合いだとも。「格差婚」だなどと言われてすごく腹が立ったことも。それが今では……

米倉涼子風間杜夫よりも背が高かった。