篠原涼子がセクシー「アンフェア the answer」

とりあえず、最後まで飽きずに引っ張られた。

題名アンフェア the answer
原作秦建日子
監督・脚本佐藤嗣麻子
出演篠原涼子(雪平夏見)、佐藤浩市(一条道孝、雪平の上司)、山田孝之(村上克明、東京地検検察官)、阿部サダヲ(小久保祐二、警視正)、加藤雅也(三上薫、警視)、大森南朋(結城脩、雪平をつけ狙う男)、寺島進(山路哲夫)、香川照之佐藤和夫、フリージャーナリスト)、他
公式サイト[ アンフェア the answer ] OFFICIAL SITE
制作日本(2011年9月17日公開)
劇場ワーナー・マイカル・シネマ(新百合ヶ丘

雑感

TVドラマの「アンフェア」は面白かった。そのあとに作られたTVスペシャル版も、若干蛇足的な雰囲気がなくもなかったが、まあ面白かった。映画の第一作は完全に破綻していた、と思う。だから、『「アンフェア the answer」見たよ(子持ちししゃもといっしょ、2011/09/25)』に書かれていることはもっともだと思うけど、ストーリーに関してはもともと何も期待していなかった。

じゃあ、何を期待して観ようと思ったんだろう。『アンフェア(non-sugar days、2011/09/28)』にあるように、篠原涼子のセクシーな肢体を拝みたいというのもあったと思うが、より正確にいえば、篠原涼子じゃなくて雪平夏見を観たかったんだな。

警視庁検挙率ナンバー1。必要とあれば犯人を射殺することをためらわない冷血漢。大酒呑み。部屋を片付けられない女。離婚歴あり。無駄に美人。このキャラは篠原涼子にしかできないと思う。以前、陣内孝則が「100の演技よりひとつの嵌まり役」みたいなことを言っていて、これは米倉涼子の演じた宇佐木玲子(交渉人)のことを指して言ったのだが、同じことが言えるのではないか。

香川照之は、ドラマ「アンフェア」で知った。抑えた表情の中にも気持ちがよく伝わってきて、いい役者だな、と思った。その後、岩崎弥太郎正岡子規など、一躍あちこちで名前を見るようになったが、何かとおおげさな仕草が目につき、「怪演」とでも呼ぶべきその演技は少々鼻についた。ここで再び、落ち着いた演技が見られるかと思うと、楽しみであった。

向井地美音(雪見の娘・佐藤美央役)が出てこなかったのは残念。前作では彼女の演技が光っていた。

ストーリーは、まともに評する気は起きないが、映画の「SP」なんかもそうだったけど、警察官僚組織に巣食う巨悪、みたいなものを描かれると、シャーロック・ホームズものに登場するモリアーティ教授を思い出す。教授は、ホームズをして「犯罪世界のナポレオン」と言わしめた男であり、ロンドンで起きる犯罪の大半は彼の手によるものだが、自分の手を汚さず、何の証拠も残さず、ホームズ以外の人間から嫌疑をかけられたことがなかった。

ホームズは「裏で手を引いているのはモリアーティだ!」と断じたことが何度かあるが、その証拠を示さない。彼がモリアーティを疑うに到った根拠も示さない。そこで、熱心なシャーロキアンの間では、モリアーティというのは単なる善良な数学の教師であり、ホームズがコカイン中毒で誇大妄想を抱くに到ったのではないか、というのが半ば定説になっている。さらに踏み込んで、モリアーティはホームズが幼い頃の家庭教師であり、その彼をホームズが憎むに到ったのは……という素敵な推理はニコラス・メイヤーパスティーシュで読めるが、要は、裏の組織とか影の存在とかをほのめかして終わる(何一つ具体的なことを示さない)というのは、一見壮大なテーマに取り組んでいるようで、実は中身はないよな、と思うのだった。

とはいえ、とにかくラストまで飽きずに見続けたのだから、まあそれなりではあった。前作のように、夏見がハイヒールを履いたまま走りまわるといったアホかというようなシーンもなかった。ま、最後のどんでん返しとはいっても、登場人物は限られているので、途中からなんとなくわかるけどね。

殺してもいい命---刑事 雪平夏見 (河出文庫)

殺してもいい命---刑事 雪平夏見 (河出文庫)

(2011/11/07 記)