「外事警察」第6話「その男に騙されるな」

感想

……結局、今回のテロのターゲットは官房長官村松久美、仕掛け人はスペード社、後ろで糸を引いているのはCIA。テロの陰に怯え、スペード社と契約が結べればテロは中止、契約がまとまらなければテロ実行。こういう図式でクレメントやジュリオに指示を出していたのだ。

確保したジュリオに寝返るよう、住本らが説得する。新しいパスポートと1億円の報酬だが、ためらうジュリオに、下村愛子が「もう人に利用される人生はたくさん……。これからは自分の人生を生きるのよ」のように言うのが印象的。これは、愛子もそうだったということか? 過去の男性経験、夫と美容院の開業……よくわからない。せいぜい物言わぬ夫の看病で疲れているだろうな、ということくらいしか。

ジュリオにクレメンテから連絡がある。話が複雑になるばかりなのでこれまで名前を出していなかったが、公安が追いかけているテロリストが「フィッシュ」。フィッシュから指示がクレメンテにくだり、クレメンテからジュリオに指示がくだっていた様子。だからクレメンテに接触すればフィッシュの正体に大きく近づくことになる。

クレメンテからの連絡は、「すべてわかっている。女を人質にして抜けだし、起爆装置をよこせ」というもの。起爆装置の件も書いていなかったけど、テロリストは爆破テロを目論み、爆弾の材料調達の拠点として蜂谷化学で活動していた。ただしこの材料はそれだけでは爆発せず、起爆装置がいる。軍隊経験のあるジュリオは起爆装置を作ることができたため、その製作が彼の任務だったのだ。

ジュリオは指示通りクレメンテに愛子を連れて会いに行くが、武装した住本班の面々がジュリオのあとをつけている。

起爆装置の件はともかく、クレメンテが愛子を連れてくるようにいったのは、彼女を殺すためだろう。うしろからつけているとはいえ、気付かれぬよう距離を取っており、命を保証することは難しいだろう。愛子も厳しい役回りだ。

「そこまでだ。手を挙げろっ」と住本班がクレメンテを取り囲む。「起爆装置はすりかえてある」。「これを投げ込んでも同じことだ」と取りだしたのは手榴弾。と、その時――。

村松、有賀とスペード社との交渉がまとまる。ここでの結論は、日本ではテロが起きなかったというだけでなく、テロリストもいなかったということにしたい、というもの。フィッシュははじめから存在しなかった、と。その指示を受けたクレメンテは「ゲームオーバーだ」と勝ち誇ったようにいう。同時に住本のところにも有賀から「クレメンテを逃がせ、その場を引き上げろ」と指示がくる。が、ここまで追い詰めて引きさがることに納得できない住本は、有賀の指示を無視してクレメンテに詰め寄る。うしろにいるのはCIAだろう、吐け! と。

その時クレメンテが撃たれる。狙撃主は、こういう時を想定したCIAの手の者か。近くにいた住本は無傷だったが、流れ弾に当たったのか? 重傷を負ったのが、そこにいた五十嵐彩音だった。

松沢陽菜は、相談できる相手はあなたしかいないといって五十嵐を呼び出したが、それは五十嵐を住本に突き出すためだった。松沢が五十嵐を呼びにいっている間に愛子が連れ出されてしまったため、「愛子さんはどこ? あなたは知っているはず」と迫る。実はCIAとつながりを持ち、住本班の情報を流していた「モグラ」は五十嵐だったのだ。現場に駆け付けた五十嵐はとばっちりで傷を負うが、もしかしたら「もはや用済み」と判断したCIAに狙われたのかも知れない。

瀕死の五十嵐は、駆けつけた住本に、自らの裏切りを詫び、テトリストとスペード社がつながりを持つ証拠写真を渡し、「殉職したい。住本班のメンバーとして」と願いを伝える。

その時、死にかけたクレメンテが、腹いせに手榴弾を爆薬に投げようとする。それに気付いて止めようとする住本を五十嵐が止める。五十嵐を残し、その場から逃げる住本。爆発。そこへ駆けつけた松沢が巻き込まれて大けがをする……のが、第2話で示唆された事件だ。

爆発まで起きてはフィッシュの存在をマスコミに隠せないと、住本の行為に怒る幹部。それに対して住本は辞表を提出。ただ五十嵐に関しては、既に退官済みとはいえ、その後住本の協力者として多大な貢献をしてくれたため、異例ではあるが退官を取り消し、殉職扱いにしてほしいと伝えて去る。

最終的には有賀も辞職するが、その前に、五十嵐から住本経由で提出された証拠写真を元に、スペード社とはかなり有利な状況で契約を結び直すことに成功。彼女の死は無駄ではなかった。

住本が(恐らくは、久しぶりに)自宅へ帰ると、住本絵美と由樹がやってくる。もう一度だけ、あなたを信じる、と。「腹が立ったら怒っていい。悲しい時は泣けばいい。それが家庭というものでしょう。その代わり、二度と私たちに嘘を吐かないで」という絵美に、健司は「警察を辞めてきた。普通の生活を送りたいんだ」と告げる。

「腹が立ったら……」のセリフは、ある意味決めセリフなので、下手な役者がやると思い切り臭くなってしまうところ。しかし、このセリフを言わせるためだけの奥貫薫の起用なのか? イマイチ納得がいかない。

ところで、物語はここでは終わらない。顔の傷跡も生々しい松沢は、倉田に、クレメンテの手榴弾を爆薬に投げ、爆発を起こした張本人は住本だと告げる。クレメンテは、結局、手榴弾を投げるどころか、起爆のピンを抜く力もなくこと切れてしまったのだ。それを見たのは松沢一人。こんなことが世間に知られたら大変なこになりますね? もちろん、私は誰にも言いません。処分を撤回し、倉田の下で今後も働けるならば……

似てきたな、と倉田はつぶやく。「それと、住本を世間に出してしまっていいのですか。ああいう危険な人間は、ずっと公安で飼っていた方がいいのでは」というと(実は僕もそう思った)、倉田はニヤリと笑い、辞めたことにしただけだ、極秘任務をおびてウラのウラの送り込まれたのだ、と告げる。

ということは、警察をやめたというのも、普通の生活を送ろうと奥さんにいったのも、すべて嘘ということか? こっそり浮気しているよりはるかにタチが悪いな……

そしてラストシーン、住本がある人物の尾行をしている時、すれ違いざま刺される。刺されたまま歩く姿は、先日の映画「麒麟の翼」における中井貴一を彷彿させるが、ともあれ第二の人生を歩むはずの住本も、ここで虚しく散ってしまったのだった。……いや、映画でも渡部篤郎は出演するから、死にはしなかったということか。でも奥さんになんて言い訳するんですかね……

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