浮気の報いは大きかった「ファミリー・ツリー」

今年35本目。年間35本は新記録。過去最高が34本(2010年、2011年)だが、今年は5ヵ月でそれを越えてしまったことになる。年間86本のペースだが、恐らくこんなにのんびりしていられるのは来月までと思うので、50本を超えるかどうか。

題名ファミリー・ツリー(原題:The Descendants)
原作カウイ・ハート・ヘミングス
監督アレクサンダー・ペイン
脚本アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ
出演ジョージ・クルーニー(マット・キング、弁護士)、シェイリーン・ウッドリー(アレクサンドラ・キング、マットの長女)、アマラ・ミラー(スコッティ・キング、マットの次女)、ニック・クロース(シド、アレクサンドラのボーイフレンド)、パトリシア・ヘイスティ(エリザベス・キング、マットの妻・事故で昏睡状態)、ロバート・フォスター(スコット・ソーソン、エリザベスの父)、マシュー・リラード(ブライアン・スピア、不動産屋・エリザベスの不倫相手)、ジュディ・グリア(ジュリー・スピア、ブライアンの妻)、他
公式サイトMovie|映画「ファミリー・ツリー」オフィシャルサイト 5月18日(金)TOHOシネマズ 日劇他全国ロードショー
制作USA(2012年5月18日公開)
劇場新百合ヶ丘:ワーナー・マイカル・シネマズ

粗筋

マットの妻が事故で寝たきりになってしまう。これまで仕事仕事でろくに家族と話をすることもなく、考えてみると最後の妻と口を利いたのはいつだ? この事件で大いに反省し、妻が回復したらちゃんと向き合って話をしよう、夫婦水入らずで旅行をしてもいい……と殊勝なことを考えるマットだが、妻の病状は思わしくない。そこにアレクサンドラから爆弾発言があり……

先祖代々受け継いできた莫大な土地も、永久保持を禁止する法律に従って売る予定だが、一族の意見は必ずしも足並みは揃わない。何しろ販売額は100億ドル前後という天文学的な数字。そのおこぼれにあずかるべく親族は一喜一憂している。一方、ハワイの自然を守るために売るべきではないとする意見も少数だがあり、マットは決断を迫られる……

感想

映画自体は面白かったが、何度も見せられた予告編である程度どんな話か想像がついてしまい、これといったどんでん返しもなく、ダイジェストをフルバージョンで見直した感じ。ミステリーじゃないからネタばれもへったくれもないといえばないのだが、最初の山場、マットがソファに座ってアレクサンドラと向き合ったところで、あああのセリフが始まるのだなとわかってしまい、興醒めもいいところ。以前から何度も書いていることだが、予告編の作り方はもっと考えてもらいたい。

娘の扱いに手を焼くマットが面白い。下の娘は子供だが、ませたことをいい、口は悪く、行儀の悪さは目に余る。上の娘は口が悪い上に酒飲みでマリファナにまで手を出しているらしい。その上美人でスタイルが良く、ボーイフレンドと片時も離れない。父親としては気が気じゃないのである。身につまされる部分もあるが、娘との距離感を測りかねつつも、必死でコミュニケーションを試みるところがおかしくも切ない。

シドがいい味を出している。最初は単に礼儀を知らないいかれたヤローかと思ったが、ジュリーがマットを訪ねて来た時に、さりげなくスコッティを連れ出すところなどは絶妙。アレクサンドラが好きになるのはよくわかる。

土地の販売に関して、最後にマットが下した結論の理由がよくわからない。仮にも弁護士なのだから、もう少し理路整然と述べてほしかった。

Academy Award

第84回アカデミー賞において脚色賞(アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ)受賞。なお作品賞、主演男優賞、監督賞、編集賞の4部門(脚色賞を入れて5部門)でノミネートされた。

日本語タイトル

原題のdescendantは子孫とか末裔という意味だが、日本語にはしにくい。だからといって、別のカタカナ英語に置き換えてどうするんだ。family treeだと家系図の意味だから、ニュアンスはかなり違うと思うのだが。

いずれにしても、映画では夫婦・親子に焦点が絞られ、一族を背負う部分はあっさりと流されており、タイトルとはミスマッチの感が拭えない。

ワーナーマイカルポイントカード

カードを200円で購入する。ワーナーマイカル(WM)の映画館で映画を(有料で)観ると1ポイント。半年で6ポイントに達すると無料鑑賞券がもらえる、という仕組みなのだが、思うところあって、これまでは持っていなかった。半年で6回以上の映画を観るのは確実だが、TOHOかも知れないし、109かも知れないし、新宿ピカデリー、ミラノ座、あるいは単館系かも知れない。WMに縛られるのが厭だなあということと、順調にいけば6回分+カード代で7回観るわけだから、一回1,570円ほど。これは悪くないが、もし6ポイント貯まらなくても、カード代の200円は返ってこない。これは少々セコイ。セコイといえば、二人で一緒に観て、お金はまとめて払ったとしても、ポイントは1ポイントしかつかないというのもセコイ。

などなど、躊躇があったのだが、4月24日にカードを作ったらあっさり5月17日に6ポイントに達し、本日は無料で鑑賞と相成った。

追記

シドが「空気が読めない」とか「物事を難しく考えない」といった意見を見かけるが、そうだろうか。ジュルーがマットを訪ねて来た時、さりげなく「カフェテリアに行かないか?」と言ってスコッティを連れ出すが、あんな気遣いのできる人は世の中そうそういないと思う。本当は、自分だってどういう話になるのか興味深々だっただろうに。

家族旅行の時もそうだった。ついては行くけれど、家族の話をしている時にでしゃばって余計な口を利いたりしない。会話にはまざらないけど、そばにいる。アレックスからしたら、一番してほしいことをしてくれて、してほしくないことはしない人なのだろう。「彼と一緒ならいい子でいられる」といったのは、ブラフではなく、本当にそうなんだろう。

シドの中には彼なりの価値基準があって、それに対しては結構厳格なのではないだろうか。登場した時、マットの義父やマットに対し失礼な物言いをして殴られたりするが、空気が読めないのではなく、シドの中には、年上の人に対し、年上だからといって敬意を持って接しなければいけないというルールがないだけなんじゃないかと思ったり。

父親として、自分の娘が「彼氏です」といってこういう男を連れてきたら、それは腹が立つと思うけど、本当は、学歴がいいとか収入があるとかじゃなくて、こういう男を選んでほしい。アレックスもいろいろ心配なところはあるけど、男を見る目は確かなようだ。

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