窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「顔」第4話「死刑囚の証言」

出演

粗筋(ネタバレあり)

柳邦彦はかつて内縁の妻と娘がいた。普段は温厚な人柄であったが酔うと人が変わり暴力をふるうため、耐えかねた妻は子を連れて家出。柳はのちに強盗殺人を犯してつかまり、死刑を宣告される。

拘置所で知り合った山口は、態度が悪く、柳がたびたび注意をすると、それを怨みに思い、シャバに出たら娘を殺してやると言った。過去に殺人事件を起こしている(本件は迷宮入り、拘置所に来たのは別件)山口のいうことは、あながち脅しとは思えない。しかし、殺される恐れがあるというだけでは警察は動いてくれない。まして死刑囚の自分の頼みなど聞いてくれるか……

一件を案じた柳は、若い女性が絞殺される事件が起きると、犯人を知っていると言い、娘の顔を平野に伝えて似顔絵を描かせた。殺された女性には同じ男性をめぐって三角関係にある飯田あゆみという女性がいたが、調べてみると似顔絵にそっくり。ビンゴ! しかしこれだけでは逮捕はできないので、注意深く飯田の周辺に刑事が張り付くことになる。これこそが柳の狙っていたことで、刑事がそばにいれば山口も簡単には手出しできないだろうと考えたのだ。

飯田を張り込み中に同一犯人と思える殺人事件が起きたため、飯田の容疑は晴れる。ふたつの事件の被害者(第二の事件では被害者は助かるが)に共通する部分から、通販会社の配達員が捜査線にあがり、山口が逮捕される。さらに16年前の事件にも関与していたことが明らかになった。

柳が起こした強盗殺人事件も、飯田の養父が事業に失敗した時の借金の穴埋めのためだった。西島は柳に詰め寄る、「俺はお前のような奴が一番嫌いだ。こんなことをして娘に会えるとでも思ったのか? お前が壊した家庭は二度と戻らないんだ!」柳は答える。「そんなことは思っていない。妻と子が出て行った時、私は死んだんだ」そして平野に、「あんたは本物だ。あんたのおかげで最後に娘に会えた」。その意味に気付いた平野が、自分の描いた飯田の似顔絵をもう一度柳に見せると、これまで無表情を装ってきた柳がその絵を見て、「あゆみ! ……」と慟哭するのだった。

感想

今回は非常に面白かった。話としてもよくできているし、「顔」というテーマにも合致。六平直政の最後のセリフが心に残る。

西島が柳に対して異様に敵意を見せる。恐らく彼の心の傷に触れる何かがあったんだろう。父親の暴力か? 

犯人の設定だけが残念。女性が多く利用する製品の配達をしているところがミソなのだが、普通の通販会社はヤマトなりゆうメールなりを利用して届けるのであって、自社のスタッフがいちいち配達に回るわけではない。逆に、普通の宅配業者では商品が特定されないのでこれもまずいわけだが。ここにもう少しリアリティを持たせると文句なしだったのだが。