窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「顔」最終話「もう一つの顔に逢える」

出演

粗筋(ネタバレあり)

片岡が樋口を訪ねる。先日ネックレスを送ったのは自分だ。自分は、今は真面目にやっているが、昔のワル仲間との縁が切れず、今回も盗品を処分してくれと頼まれた。思いあまって樋口先生に預けたのだ、と。もうひとつ、今回の事件は自分は関わっていないが、19年前の事件の犯人は自分だと告白する。

前科あり、事件の状況で犯人しか知らないことを知っている、西島が平野に書かせた似顔絵にそっくり、というわけでクロかと思われたが、不審な点もある。犯人は左手が義手のはずだが片岡は、少なくとも19年前は義手ではなかった。今回の事件と手口が酷似しているので別人とは考えにくいなど。

実は19年前の事件も今回の事件も主犯は加西であり、片岡はパシリの共犯、手を下したのはいずれも加西だった。19年前の事件のあと加西は海外へ逃亡しており、最近日本へ戻ってきて再び犯行を重ねていたのだ。殺人の時効は15年だが海外にいる間は停止されるから、加西が犯人だとわかれば時効にならない。が、実行犯が片岡ということになればとっくに時効は成立している。そのため、わざと片岡に告白させたのだ。

この事件から西島を外した方がいいと判断し、片岡の情報も鶴田は西島にだけは伝えなかったのだが、神崎が西島に喋ってしまう。西島が単独で片岡を訪ねると、片岡は殺されていた。茫然としているところに鶴田、亀田らがやってきて、西島が母親の恨みを晴らすために手を下したのかと考え、連行する。

回復した中村アヤナの証言から加西の存在が浮上し、確保に向かう。西島は加西に銃口をつきつけるが……

感想

いったいこいつらのセキュリティ管理はどうなっているんだ!! と叫びたいことが何度もあった。

内村が19年前の事件の生き残りが西島であることをかぎつけ、実名入りで記事にする。警察側は心ない報道に怒り、平野が内村の頬を叩く。内村が「皆さん、見ていましたね、これは暴力事件ですよ」と叫ぶと、今村真一が「手が滑っただけでしょう」と答える。「手が滑ったって……そりゃないでしょう」「滑ったのはあなたの手です。こんな記事、全く手が滑って書いたとしか思えません!」とぴしゃり。今村って、もしかしたら初めてここで名前を出す気がするけど、広報課長で、平野の直属の上司。小心者の男だが、ここはびしっと決めた! 周囲も、へえ〜今村課長がねえという目で見つめる。

確かに心ない記事ではあったけど、そもそも内村がこの件を嗅ぎつけたのは、廊下で大声で西島と平野がこのことについて喋っているのを耳にしたからだ。廊下でそんなことを喋っていたら誰に聞かれるかわからない。第6話で、トイレで喋っていたことが筒抜けになっていたことから何も学ばなかったのか? 一般企業でも、廊下やトイレなどでは仕事の話、特に顧客名や売り上げなどの数字を出し手の話を控えるのは当然のマナーである。内村の態度にも問題があるが(西島を狙い撃ちした記事は、アヤナの病院を強引に追い出されたことを逆恨みしてのことかと思われる)、もともとは西島と平野が悪いのだ。

二人だけではない。片岡の情報は西島には伝えないように、という指示が神崎に届いていないなど、捜査一課全体の情報管理に大きな問題がある。そもそも新聞記者が廊下をうろうろしたり、部屋に勝手に入れるような状況を放置していることも問題だ。これは広報課の責任か。

まあ、片岡が犯人でしたという何の面白味もない結論かと思ったら、一ひねりしてあって、その点は良かった。それにしても、ドラマを引きしめていたのは松重豊である。あの目の迫力。人くらい簡単に殺しそうだし、あれでは片岡ならずとも、「手伝えよ」と言われたらとても断われそうにない。丸腰の状態で西島に銃口をつきつけられても、ジロリと睨み据える迫力はたいしたもので、もし自分が西島の立場だったら、ごめんなさいといって土下座してしまいそうである。

事件が解決し、西島はトラウマから解放され、平野は西島の顔が描けるようになった。大団円でちゃんちゃん。色っぽい場面はなかったけど、最後のアレは平野の告白みたいなものだな。しかし平野の話が常にお説教臭いのは、なんとかしてもらいたい(と西島は思っているに違いない)。

配役

松重豊は、「踊る大捜査線」におけるわれらが爆発物処理班の班長で、ひょうきんなおっさんを演じても味があるのだが、ヤクザをやらせたらそうそう右に出る者はいない。