映し出される自然の美しさは、ルノワールならずとも絵に描きたくなる。こういう風景が大画面で観られるのも映画の醍醐味のひとつだ。
題名 | ルノワール 陽だまりの裸婦(原題:Renoir) |
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監督 | ジル・ブルドス |
出演 | ミシェル・ブーケ(オーギュスト・ルノワール)、ヴァンサン・ロティエ(ジャン・ルノワール、オーギュスト・ルノワールの次男)、クリスタ・テレ(デデ、モデル)、他 |
公式サイト | 映画『ルノワール 陽だまりの裸婦』公式サイト |
制作 | フランス(2013年10月4日日本公開) |
劇場 | TOHOシネマズ シャンテ |
雑感
ストーリーは正直なところ今ひとつだ。ピエール=オーギュスト・ルノワールは晩年、リューマチに悩まされながらも絵を描き続けた。そのモチベーションになったのがデデ(カトリーヌ・エスラン)というモデルだった……ということであろうか。確かに、オーギュストは得難いモデルだと漏らすシーンはある。しかし、そこことは本人は伝わっていないし、他の従業員にも伝わっていない。他の従業員は、食事の支度をしたり、オーギュストの介護をしたり……その中のひとつに、絵のモデルをする、という役目も入っていると思っている(その程度にしかモデルの重要性を考えていないようだ)。デデは、モデル以外の仕事をしないことで、他のスタッフからいじめられている。それが原因で失踪騒ぎまで起きているのに、何も手を打たない。
デデとジャンの恋愛物語を絡めた理由も不明だし、デデがジャンに、自分は女優になりたい、だからあなたは映画監督になってと繰り返し言い、「カトリーヌ」と呟く意図も不明だった。もっとも、エンドロールで、ジャンが除隊後に本当に映画監督になり、ハリウッドで成功したことが語られ、びっくりした。だからわざわざ触れたのか?
あとで調べてみると、アンドレ(愛称デデ)はルノワールの晩年のモデルで、ジャンと結婚。女優志望が強く、「カトリーヌ」でデビュー。その後いくつかのジャンの監督作品に出演した。カトリーヌ・エスランは芸名か?
ジャン・ルノワールはカトリーヌ主演作「水の娘」で監督デビュー。第二次大戦中にアメリカへ亡命し、ハリウッドでも映画製作を行なう。興行的に成功した作品はあまりないが、フランスを代表する映画監督であるのは間違いなさそう。本作も、ジャンの作品のオマージュがいくつか仕込まれているらしい。
リンク
- ルノワール/陽だまりの裸婦 画家の人生の影 丹念に(日本経済新聞、2013/10/04)