「アナと雪の女王」の魅力(2)アナの魅力

登場人物の中で最も魅力を感じたのはアナである。いやもう、アナの言動のひとつひとつがattractiveで、「また観たい」と思わせる大きな理由になっている。が、他の人の感想の中には、アナは空気が読めない、自分の意見を押し付けるだけ、……という声もあって驚いている。人によって好みはさまざまだとは思うが、ここではアナの魅力について述べてみたい。

アナの決断力と行動力は清々しく、やられた、と思わされる。まあ、この素早い決断力と行動力は、拙速になることもあり、ハンスとの婚約というような問題も生んではいる。しかし、いつまでもぐずぐずと決められず、決めてもなかなか行動に移せない凡人から見ると羨ましいし、人の上に立つ者としては欠かせない資質のようにも思われる。

エルサが戴冠式の場を去った時、即座に追いかける決心をしたこと、ついていくと言ったハンスに、あなたはここに残ってアレンデールを守ってください、と即答したこと。これまで城の外に一歩もでたことがないアナにとって、道中は不安もあったろうし、一目惚れしたハンスがついてきてくれればこの上なく頼もしかっただろう。が、彼女は王女として、ずっとハンスと一緒にいたいという気持ちと、エルサと自分が不在のアレンデールのことを考え、一瞬でこのように決めたのである。この判断力は見事で、僕は王女にはエルサよりむしろアナの方が相応しいのではと思ったほどである。

クリストフとともに北の山に向かう途中で狼に襲われた時も、臆せず一緒に闘う。この時の奮闘ぶりも素晴らしい。クリストフは「あった日に結婚を決めるような人は信用できない」などと格好つけるが、はっきり言ってアナが協力しなかったら狼を追い払えていたかどうかは怪しい。そして目の前に谷が迫ると、これまたアナは躊躇せず「跳ぶのよ!」とスベンに指示。

この時は実はクリストフの行動も素晴らしくて、スベンに命令するのは俺だ! と言いながらアナをスベンの背に乗り移らせると、橇の紐を外してしまうのだ。二人を乗せた橇を引いたままジャンプしても、向こう側の崖に全員が移れるとは思えない。しかしアナを背に乗せた状態なら飛び移れる可能性が高い、と咄嗟に判断しての行動である。目立たないが、これはクリストフの「真実の愛」である。自分も橇からジャンプして飛び移るつもりで、我が身を犠牲にするつもりではなかっただろうが……

で、スベンとアナは無事に飛び移る。クリストフはかろうじて飛び移るが、そのままずるずると深い谷底に吸い込まれそうだ。と、その瞬間、紐付きのピッケルが投げつけられた。もう少しでクリストフに当たるところで、万が一顔にでも当たればただでは済まなかったであろうが、クリストフは落ちる寸前、落ちたら命はない。ここはリスクを考えずピッケルを投げるしかないわけで、このアナの躊躇のない行動によって命拾いをしたのである。もっとも、アナがクリストフに北の山へ案内するよう頼まなければ、そもそもこんな目に遭うこともなかった、とも言えるが……

とにかく、この時の一連のアナの行動はカッコよく、こんな行為を目の当りにしたら、そりゃ惚れてまうやろー、と言いたくなる。

話を飛ばして、ラストである。アナの危機を感じてクリストフが城に駆け付ける。もはや虫の息のアナも、クリストフが来ていることを知り、瀕死の身体で立ち上がる。自分の命はあとほんのわずかだが、それまでにクリストフに会って、抱きしめてもらえば、回復するかも知れない。オラフに付き添われて歩き出すが、もう何の余裕もない場面である。ところが、目と鼻の先でハンスがエルサを殺そうとするのを目撃してしまった。この時、アナはいささかも躊躇することなくエルサのもとに駆け寄り、エルサの盾となって、ハンスの振るう剣に身を差し出すのだ。

自分が助けなければ、確実にエルサは殺される。でも自分も瀕死の状態で、行けば命が危ない。行かなければ助かる可能性がある。このような状況ではどのような勇者でも躊躇をするものである(これを「モロボシ・ダンの葛藤」と呼ぶ)。トニー・メンデスも一晩悩んだ。モロボシ・ダンもウルトラアイを取り出して、すぐに変身する決心がつかなかった。しかしアナは迷わず行動している。お姉さんのためとか、アレンデールのためとかいうより、身体が反応してしまうのだろうが、これほどの「勇者」は他に思い出せない。

しかし日常のアナは可愛いのである。可愛いけど、三の線である。その意味で、神田沙也加の声はちょっと美人過ぎるかも知れない。

過去記事

モロボシ・ダンの葛藤」について説明あり。