「アナと雪の女王」の魅力(1)ストーリーの意外性

アナと雪の女王」については既に何度も言及しており、今後もまだ書く可能性があるため、新たに「Frozen」というカテゴリーを作った。

公開から2ヶ月経つのに一向に人気の衰える気配がない。「アバター」の時もすごい盛り上がりを肌で感じたが、数字ではアバターを上回ったんだとか。僕が感じているこの映画の魅力について述べてみたいと思う。1がストーリーで2がキャラクタ。本当は音楽が最大の魅力だけど、それは世界中の人が認めていることなので敢えて言及しない。

二つの意外性と一つの伏線

対象年齢を考慮してか、ストーリーは一本調子で比較的シンプルである。わかりやすいが、しかし単調に陥っていないのは一つの伏線と二つの意外性があるためと考える。

伏線というのは、冒頭に登場したクリストフおよびスベンである。この時彼らは何をしているわけではないから、見過ごしやすい。しかし、振り返ってみるとここでの登場は重要である。こんな幼い頃から氷売りとして経験を積んでいたこと、クリストフとスベンは当時から仲良くしていたこと、そして、エルサによって傷つけられたアナをトロールが救うシーンを目撃したこと。またトロールに見つかって、恐らくは身寄りのない彼らの親代わりをトロールが務めるようになったこと。

クリストフが、身寄りがないのにひねくれたりせず、純朴で優しい青年に育ったのはトロールに育てられたからだろうし、傷ついたアナをトロールに会わせようと即座に思いついたのも、かつてトロールが治すのを目撃して知っていたからだ。そして何より、アナとハンスは初対面だがクリストフはアナが幼い頃から知っていたことになる。物語的にはこのアドバンテージは大きい。

初対面でアナと意気投合したハンスは、エルサ・アナ不在の間は代理として国民の信頼を得る働きをし、彼こそアナの運命の人かと思わされるが、後半の豹変ぶりは誰もが驚くところだ。もっとも、ハンスが本当に運命の人であれば、クリストフはなんのために出てきたのかということになるので、ここは、あーなるほど、そういうことかと一応納得できる。

その後、いったんアナをハンスに預けて身を引いたクリストフがアナの危機に城に引き返し、クリストフの気持ちに気づいたアナが瀕死の身体をおしてクリストフに会いに行く、こうなれば誰がどう考えたって、二人は再会して抱き合うはずである。しかし物語はそうはならない。この肩透かしを食らった感は強烈で、結末を知っていても、観返すたびに、アナの元へ駆けつけるクリストフにハラハラし、思いを遂げられなかった時に「ああー」とため息をついてしまう。

ウェーゼルトン公爵が何かやらかすのかと思ったのに単なる「イヤな奴」で終わった点も、意外といえば意外だったが、初めから小物感がぷんぷんしていたから、これはカウントしなくてもいいだろう。

わかりやすいが練られたよいストーリー展開であると思う。

余談だが、トナカイの寿命は野生で10年、飼われているもので15年だそうである。エルサとアナの「事件」が起きてから戴冠式まで約15年の時が経過しているとすると、スベンは既に寿命をかなり超えていることになる。クリストフやアナを乗せた橇を引いて雪山を登ったり、クリストフをまたがらせて全速力で城まで走ったり、老骨にはかなり厳しいことで、既に二代目だった可能性もある。