ブルーレイ視聴。
雑感
約10年前に見た時は、原作の小説を読んだ直後で、中谷美紀も市川実日子も柴咲コウもよく知らなかった頃。原作と比べてここが足りないここが違うと不満を多く感じたようだ(下記リンク参照)。
今回は、原作はすっかり忘れており、純粋に映画作品として見て、十分楽しめた。
松子の両親は、病弱な妹・久美子を気遣うあまり、松子に十分な愛情を注げず、それが松子の転落の第一歩だったように思われるが、より大きな問題は、(女は)親の言うことを聞いていりゃいい、という教育方針にあったのではないか。教師になったのは、自分が教師という職業に憧れを持っていたとか、資質があると思ったから、ではなく、父親が教師になれといったから。自分のことは常に自分で決める、その結果を自分で受け入れる、という教育がなされていなかった結果が、万引き問題の対処であったり、岡野に振られた後の職業の選択であったり、龍洋一との同棲だったりに出ていると思う。人生の岐路に立った時に、正しい道を選択できないのだ。
久美子も悲惨だ。病弱で出歩けない、慕っていた姉に殺されかける。それでも姉を待ち続けるが、会えないまま死ぬ……。だからラストシーンは報われた思いにさせられる。これから久美子が穏やかに暮らせるとよいなと思う。
(2019/2/10 記)
過去記事
- 「嫌われ松子の一生」はコメディか?(DVD)(2008/06/02)
- いろいろとわかって面白い「嫌われ松子の一生」(DVD)(2013/12/11)