公開初日に見られて良かった。以下ネタバレあり。
題名 | ターミネーター:ニュー・フェイト(Terminator: Dark Fate) |
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監督 | ティム・ミラー |
出演 | ナタリア・レイエス(ダニー・ラモス)、ディエゴ・ボネータ(ディエゴ・ラモス、ダニーの弟)、マッケンジー・デイヴィス(グレース、強化人間)、ガブリエル・ルナ(Rev-9)、リンダ・ハミルトン(サラ・コナー)、エドワード・ファーロング(ジョン・コナー)、アーノルド・シュワルツェネッガー(カール/T-800)、他 |
公式サイト | 映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』公式サイト 大ヒット上映中! |
制作 | USA(2019年11月8日日本公開) |
時間 | 128分 |
劇場 | イオンシネマ 新百合ヶ丘(スクリーン1) |
総論
「T2の正当な続編にして、新たなる伝説」というキャッチを数か月前から100万回くらい聞かされた。T2の、というのは、T3以降をなかったことにする、ということで、これは事実だからいいのだが、「正当」はどうだろう。ジェームス・キャメロンが制作を手がけ、リンダ・ハミルトンが出演しているからといって必ずしも「正当」だとはいえないし、正当だからといって面白いとは限らないよな、と思っていたのは残念ながら当たりだ。自分の中では「ターミネーター4」の方がずっと面白かった。
概要
近未来では、スカイネットは登場しないが(T2でぶっ壊したから)、それに代わる「リージョン」というAIシステムが登場し、人間に反旗を翻すので、結局同じような未来になる。
スカイネットはT-1000型ターミネーター(T2で撃退される)の他にT-800型も過去に送ってきており、これにジョンが殺されてしまう。怒り狂ったサラは、その後も何処からから送られてくるターミネーターを見つけては壊すのが「仕事」。リージョンも何故かジョンのいないはずの未来からターミネーターを何度も送りつけていていたのだ。
ジョンを殺したT-800型ターミネーターは、目的を果たした後、新たな指令がスカイネットから来ないため、「現代」でカールと名乗り、人間の家族を得て、「カーテン屋さん」で生計を立てていた。長く人間として生きることで「良心」が芽生え、ジョンを殺したことを後悔するようになる。そこで……
雑感
概要を書いているだけで情けないというか恥ずかしいというか、いったい誰がこんな筋立てにOKを出したのかと小一時間問い詰めたくなる。根本的に「ターミネーターは一体しかい」のが大前提で、だからこそT1でもT2でも、その一体をなんとか破壊することで解決したわけだ。こんな風に次々と送られてくるのでは、現代の科学力では基本的に太刀打ちできないわけだから、今回たまたま勝ったところで、次回勝てる保証はない。長い目で見れば負け戦は目に見えている。
スカイネットがなくなってもリージョンが登場するのは二番煎じ。Rev-9は二体に分離できる点がT-1000より進化しているが、液体金属である点は変わらず、驚きがない。T-800が「良心」を覚えるのはT2の発展形ではあるが、いくらなんでも「カール」と名乗るのはないよと思う。
狙われるダニーは、サラに代わる救世主の母親なのかと思ったら、彼女自身が救世主であったという点は21世紀だなあと思うが、未来のダニーはグレースが自爆するしか自分を守る道はないことを知りながら彼女を過去に派遣するわけで、ずいぶん残酷だと思ってしまう。この点はカールを派遣したジョンも同様に思えるが、ジョンの場合はカールが過去に行ってサラと夫婦にならないと自分が生まれないわけだから、意味合いが違う。
そんなわけで、アクションシーンはそれなりに面白く見たけれど、作品としてはとても評価はできない、というのが率直な感想である。