窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「不要不急の銀河」(NHK)

題名

  • 不要不急の銀河

放映日

  • 2020年7月23日

出演

  • 片桐はいり(河原千代、スナック「銀河」の初代ママ)
  • 小林勝也(河原八郎、千代の夫)
  • リリー・フランキー(河原満、千代の息子)
  • 夏帆(河原秋、満の妻)
  • 鈴木福(河原慧、満の長男)
  • りり花(河原唄、満の長女)
  • 茅島みずき(柚木夕香、慧の彼女)
  • でんでん(店の常連客)
  • 安藤玉恵(演歌歌手)

スタッフ

概要

場末の町に千代がスナック「銀河」をオープン。以来、固定客もつき、長く愛される店に。客の小林と夫婦で店を経営。結婚すると満をもうけ、その満が長じてのち、常連客の秋を妻とすると、千代は店を息子夫婦に任せることに。代替わりしてからも店は続き、オープンから50年が経とうとしていた。そこへ新コロナ禍が起き、営業自粛を余儀なくされる……

というドラマを新たに制作するためのメイキングもドキュメントとして制作し、一緒に放映するという型破りの作品だった。このドキュメントの部分が結構長く、時間にして半分以上はそうだったのではないか。専門の医師に当初から参加してもらい、その指導のもと、いかにリスクを抑えて撮影をするか、その過程を記録した貴重な作品。

雑感

まさに今しか撮れない、今だから意味のある作品だった。コロナ後の新作ドラマとして、「さよならMyWay!!!」「転・コウ・生」「世界は3で出来ている」を見て来たけど、どんどん進化していると思う。こういう実験的な作品に果敢に挑戦する制作陣の姿勢に、まずは拍手を送りたい。

興味深かったのは、ドキュメンタリーの部分で、単に専門家の協力を得てガイドラインを作り、それに従って撮影しましょうではなく、こういう時代にドラマを撮っていいのか、ドラマを作る意味、ということを見つめ直していたことだ。

本編ではそれがスナックという形で表現される。同じ店でもスーパーやドラッグストアと違い、不要不急だと言われるサービスだが、一方でそれで生活をしている家族がいて、一方ではそれがストレスの発散や気分転換の場として必要としている人がいて、しかし現実に感染のリスクもあるわけで……という袋小路だ。

ただし本編ドラマの終わりは納得が行かない。店の営業を継続したい満と、“自粛警察”に貼り紙までされてしまい、これ以上店は続けられないという秋と連日喧嘩を続けていたが、ある時常連客の誕生日だという日に、千代が息子夫婦に断りもなく店を開け、客を入れてしまう。マスクもしないで。これはちょっといただけない。それで救われる客がいるのは事実としても、不安を感じる近所の人がいるのも事実だろうし、マスクもせずもし感染者でも出したらここに住めなくなるのでは? それを心配するからこそ秋は反対しているのに。

ついでに、彼女にキスがしたいとお願いを続ける慧クンもキモい。いや、高校生男子の頭の中はソレしかない、というのはわかりますよ。自分も通った道だから。しかしね、そう言える相手がいるというだけで、恐らく全国の高校生の上位5%くらいに入る幸せ者だという事実を、もう少しかみしめた方がいい。彼女が、「もう、そんなことばっかり言うなら別れる!」と言わずに付き合ってくれるのは、本当に恵まれているのよ。


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