第六週「1948」(月)
放送日
- 2021年12月6日
概要
勇と一緒に雉真の家に帰った安子は、玄関に正座して待っていた美都里を見て青ざめ、石畳の上に正座し許しを請う。美都里は安子が帰ってきてくれたことに礼を言い、るいに「おかえり」と微笑みかける。
しばらくぶりに戻った雉真家では、たみが息子夫婦と暮らすことになり女中を辞めていて、代わりに若い雪衣がいた。勇いわく、よく気が利く人。
二人が帰って来たことを喜ぶ雉真家の夕食には、豪華な食事が並ぶ。るいが箸をきれいに使えることを褒める美都里。ねえさんがきちんとしつけた証拠だと安子あげの勇。
翌日? 安子は一人で朝丘町に行く。たちばながあったところには三宅不動産が店を構えていた。覗き込むと不審者扱いされ怒鳴られる。懐かしい声が聞こえる方を見ると、水田豆腐店の店先にきぬが! 思わず駆け寄り、再開を喜ぶ二人。きぬは疎開先の農家の息子を婿に取っていた。
安子はきぬに、大阪での暮らしは大変なことばかりだったけど、しあわせだった、大阪での暮らしが恋しいと漏らす。きぬは、岡山でも同じようにるいちゃんと二人で笑って、おはぎを作って、そういう生活は送れるじゃろ? と答える。
今日の美都里
「安子さん、よう帰ってきてくれた。この通り、礼を言います」
今日のるいと安子
「ずっとお母さんとおれる?」
「あたり前じゃ。お母さんは何があってもるいを離さん」
今日のきぬ
「しゃあけど、今は阿呆な人がそばにおってくれてよかった」
雑感
美都里は怒っていたのではなかった。だったら先週のラストであのような引きをすることはなかった。視聴者をミスリードさせる、悪趣味な演出だ。
きぬちゃんも、ご両親も生きていてよかった。が、元気そうに見えても両親は疎開先で栄養失調になってしまったのだという。疎開先でも十分な食料がなかったのか、よそ者に分けてもらえなかったのか。対照的に雉真の食卓は豪華だ。卵焼き、肉じゃが、五目豆、ワカメと豆腐の味噌汁が並ぶ(公式tweetによる)。
さて、安子は大阪では苦労の連続で、岡山に戻ってきたら隙間風の入らない暖かい部屋で休むことができ、食事も豪華だ。何も心配はいらないのだが、それでも大阪での暮らしが恋しいと思うのは、自立に目覚めてしまったからだと思う。
この時代、女は三界に家無しというくらいで、自由になることはほとんどない。稔亡き後の雉真では、千吉や美都里の言うことに常に従って生きなければならない。その代わり安楽な生活はほぼ保証されている。一方大阪では、一歩間違えば飢えて死ぬか凍えて死ぬか首を吊らざるを得なかったかも知れないが、何をするにも自分で判断し、自分で決断することができた。そして、その結果はすべて自分に返って来た。結果的に(幸運なことに)自分もるいもラジオが買えるレベルの生活を維持できたのだ。
この「自立」の味を知ってしまった安子にとって、どんなに贅沢をしてもそれは満足のいくものではないだろう……と思うが、再度の岡山での生活はどうなるのか。
あと、雪衣、何をするにもいちいち勇の方を見過ぎ。
(2021/12/16 記)