第八週「1951-1962」(木)
放送日
- 2021年12月23日
概要
千吉の入院先を勇が見舞う。すっかり弱々しくなった千吉だが、勇があとを継ぎ、さらに男の子を成した(雪衣が妻になり、昇という男の子を生んだ)。会社は心配いらない。心配なのは……とるいを案じる千吉。あんなに明るかった子が笑わなくなった、自分が安子を雉真から追い出すような真似をしなければ……と。勇は、安子(あんこ)がるいを置いてアメリカに行くなんて、何かよほどの理由があったんだろうと言う。
ほどなくして千吉は亡くなる。その葬式の朝、雪衣は朝ドラ「娘と私」を見ている。葬式の日にテレビドラマなんてと勇は怒るが、雪衣は動ぜず、今日が最終回だから、と答えてテレビに見入る(ということは、今日は1962年3月30日だ)。勇はるいを川原に見つけてキャッチボールをする。るいは、おじいちゃんの葬式が済んだら家を出る、と勇に告げる。家を出て、岡山も出て、岡山にも雉真にも二度と戻らない、と。
大阪編はミュージカル仕立てで始まる。大阪に着いてワンピースを買い、ホテルの面接に臨む。が、清潔感を出すため前髪を上げて、と言われ、そのまま帰ってきてしまう。
るいは千吉がどんなに説得しても、額の傷を小さくする手術を頑として受けなかった。雉真に縛り付けられたくないと思ったからだ。が、それが就職にも不利になるとは思っていなかった。
面接の前に、自転車とぶつかって転んでしまい、新しいワンピースを泥だらけにしてしまう。自転車を運転していたのは竹村クリーニング店の店主・平助で、平助はるいを店に連れてくると、無料でのクリーニングおよび妻の服を着替えとして貸し出すことにした。面接を終えて店にやってきたるいは、テレビの漫才を見ながらゲラゲラ笑っている平助・和子を見て、なぜか涙が止まらない。
今日の和子と平助
「美人やなあ。うちの若い頃にそっくりや」
「どこがや」
雑感
竹村夫妻の会話は全部書き出したいくらい楽しいが、さすがに大変なので省略。岡山編の後半はずっしり重たかったが、大阪編は軽快に始まって救われた。
るいはずっと家を出ることを考えていたのだろう。笑わなくなったと千吉は言ったが、自分が母親に出て行けと言ったら本当に出て行ってしまったら、傷しか残らないだろう。この11年、誰か間に入って仲直りをさせる人はいなかったのか。まさか安子は連絡先も告げずに出て行ったわけではないだろうと思うが。
千吉と勇は、るいが安子に I hate you. と言ったことは知らないらしい。だから問題の大きさがわかっていなかったのかも知れない。
雪衣は妻の座を仕留めたのはいいが、勇に対してはもともとそれほどの愛情を感じていたわけではなかったのか、隙間風の吹く夫婦である。もっとも、録画などできなかった時代、朝ドラの最終回とあっては雪衣を責められない。勇、せめてその15分間、話しかけずにいてやることはできないか。
安子がいないというだけでなく、雉真家には些細なことで家族が笑い合うような雰囲気がなかったのではないか。竹村夫妻がテレビを見て笑う風景は、るいは知らないが、かつてたちばなでラジオを聞いて家族や従業員一同が笑い合っていた様子そのものである。るいがこれまで望んで得られなかったものだ。
(2022/01/05 記)