窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「カムカムエヴリバディ」(40):るい、クリーニング屋に就職

第八週「1951-1962」(金)

放送日

  • 2021年12月24日

登場人物

概要

るいは竹村家に上がってお茶を飲みつつ、今日の出来事を話す。夫妻は、るいのような上品なお嬢さんがうちで働いてくれたらと(恐らく冗談で)語るが、るいはそれを本気にしてはいけないかと頼み込む。るいのような氏も育ちもいい娘がこんな店で働きたいとは解せないが、いろいろ事情があるらしいことを察し、住み込みで雇うことにする。

るいは和子に、前髪を上げないといけないかと尋ねる。質問の意味がわからず素っ頓狂な声を上げる和子。その後るいが和子にどのような説明をしたのか、傷を見せたのかは放送されなかったからわからない。和子と平助は、るいを大事にしようと決意する。

和子はるいに仕事を教え、るいはゆっくりと覚えていく。服を受け取ったら、名前と住所ともしあれば電話番号を聞くようにと何度も念を押す。

また和子は、初めて来た女性から受け取った服を見て、赤ちゃんがいること、仕事を持っていることを見抜く。以来、るいは服を受け取るとその人の日常生活や家族を想像(妄想)するようになった。

ある日、和子が出かけた後、るいは(恐らく初めて)一人で店番をする。そこへ荷物を抱えた男性がやってきて大量の服をクリーニングに出す。量の多さととりとめのなさに、日常生活がわからず、妄想をたくましくしている間に、客は帰ってしまう……。

今日の和子と平助

「こないな上品なお嬢さんを面接で落としよるとはな」
「あの新しいでっかいホテルやろ。見る目あらへんな。絶対泊らんとこ」
「泊りとうても泊れるか」
「それもそやな」
るいが笑う。
「あ、笑った」
「笑うたんやない、笑われとんや」

今日のるいと和子

「これ(クリーニングが終わった服)を受け取るお客さんの嬉しそうな顔が見えるような気がします」

るいの履歴書

雑感

名前を聞くように何度も念を押すから、これは聞き忘れるパターンだなと思ったら本当に聞き忘れた。

るいは、就職先はもちろんのこと、住むところも決めずに大阪に出て来たらしい。面接のアポを取ったのは偉いが、面接したら採用してもらえるわけじゃない。平助は、こんな立派なお嬢さんはどこでも就職できるだろうに、というが、高校中退、両親不在、住所不定ではまともな企業なら採用しないだろう。仮に採用でもその日から働けるわけではなし、その日の夜はどこに泊まるつもりだったのだろうか? 勇は、住むところも決まっていないるいを送り出したのか? 何度か大阪に出てきて、住むところを決め、引っ越しをし、それからではないか。

そもそも、二度と戻らない決意で家を出てきた割に、軽装で荷物も少ない。下着の替えがあのちせえ鞄に入っていたとも思えず。安子が最初に岡山を出た時は、出るように言われて翌朝いきなり出発したが、それでも鞄はたくさんあった。ほとんどるいのおむつだったかも知れないが……。ちょっとここいらあたりが非現実的過ぎてのめりこめない。

竹村夫妻は、吹けば飛ぶようなクリーニング店というが、こんな物事をわきまえた、優しい、懐の深い人は滅多にいるものではない。ゆいがホテルの面接で、サービス業は髪をあげないと、と言われたことから、和子にここでもそうかと訊くところは切ないが、事情を知った和子が、平助に、「大事にしてあげような、あの子のこと」と語る場面はじーんときた。こんな夫妻と出会えたのは、るいの大阪生活、最初で最大の幸福だろう。

るいが洗濯済みの服を見て、お客さんの嬉しそうな顔を思い浮かべるあたり、たちばなの血が濃く流れていることを感じる。安子の教育はちゃんと生きていたのだ。

主題歌の際のテロップに、オダギリジョーが「宇宙人」と紹介された。西山が宣伝した映画に宇宙人役で登場する人だからなのかと思ったら、名前を聞き忘れたからだと……
(2022/01/05 記)


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