窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「カムカムエヴリバディ」(48):ジョーの正体

第11週「1962-1963」(月)

放送日

  • 2022年1月10日

概要

汚したシャツを洗うべく、るいはジョーを家に上げる。かき氷を食べながら、ジョーは、On the Sunny Side of the Street が最も古い記憶なのだと語る。岡山の進駐軍クラブで、素人のおじさんが歌ったのだけど、それに圧倒された。その時に、これが自分の日向の道だとわかった。だからこの曲は自分にとって特別なのだと。

るいも思い出を語る。幼い頃、ジャズ喫茶で何度かレコードを聴いたことがあること。自分の名はルイ・アームストロングにちなんで亡き父がつけてくれたこと。母が自分を捨ててアメリカへ行ってしまったこと。母のことは思い出したくなかったと。

しゃべりながら回想シーンがはさまれるが、それは天然色だ。

竹村夫妻の誘いでジョーは夕食を食べていく。食後、るいはジョーと一緒に散歩に。道端で花火をする親子に二人はしばし見入る。ジョーも家族はいないのだ。ジョーはまだやっていた出店で風鈴を買い、るいにプレゼントする。るいはそれを部屋に吊るし、今度はレコードを買おうと決意する。

今日のニュース

1962年8月12日、堀江謙一(23歳)が小型ヨット「マーメイド号」でサンフランシスコに入港。日本人初の単独無寄港太平洋横断を達成した。

今日のジョーとるい(その1)

「(かき氷を食べながら)サッチモちゃんの分もあるよ」
「置いといてください」
「溶けるよ」
「(イラついて)すぐに行きます」
「はい」

今日のジョーとるい(その2)

「僕の一番古い記憶は On the Sunny Side of the Street なんや。シンガーでもないおじさんがマイク持って歌い出して、みんな圧倒されてた」
そりゃおじさんの中の人は世良公則やからな……圧倒されるわな……

今日のジョーとるい(その3)

「母は私を捨てました。進駐軍と恋をし、幼かった私を置いてアメリカへ行ってしもうた。じゃから思い出しとうなかった」
「そうか。会いたいんやな、お母さんに」

今日のジョーとるいと竹村夫妻

「もう、早よ、これを着て帰ってください」
「まだ乾いてないよ」
「生乾きのシャツを着て帰りゃええが」
「(ラムネを持って)るいちゃん、冷たいもんでもどうや」
「お客さんもどうぞ」
「お客様はお帰りです」
「ありがとうございます」
「よかったら晩ごはんも食べて行ってくださいね」
「いいんですか」
「晩ごはんいうても今日はお祭りのもん並べるだけじゃけどね」
「やっぱりお祭りの夜はにぎやかなのが一番やからな」

雑感

ジョーとるいが過去の話をする。ジョーはやはりあの密入国の少年だった。そうだろうとは思っていたが、はっきり確認できてよかった。

るいの回想シーンに色がついた。はっきり思い出したということか、厭なだけの思い出ではないということか。るいは「母に捨てられた」と思い込んでいる。残念だけど、るい視点ではそうでないとも言い切れない。安子はその後一度も帰国していないのだろうか。手紙の一本も送ってこなかったのだろうか。渡米後の安子についてはいずれ語られる機会もあろうが、このあたりは今のところ謎が多い。

ただ、話を聞いたジョーが「ひどいお母さんやな」などと相槌を打つのではなく、「会いたいんやな」と反応したのは、ジョーらしいし、すごくよかった。るいは安子に会いたいんだろうと、僕も思っていたからだ。

しかし期待する通りの反応が得られず、怒って帰るように言い出したるいに、ずっと立ち聞きをしていた竹村夫妻が絶妙のアシストでジョーを引き留める。このあたりは、コミカルでもあるが、とても大事だ。るいが安子を追い出した時は止める人がいなかったから、決裂してしまったんだから。
(2022/01/11 記)


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