窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「妖術七変化! 隠れ里の決闘」の謎

第80回で、美咲すみれがひなたに、「妖術七変化! 隠れ里の決闘」の映画にまつわる話を聞かせていた。いわく、当時団五郎を名乗っていたモモケンと先代は仲違いしていた。この映画で親子共演させることにより仲直りをさせ、それをアピールすることで話題を集めようという狙いがあったという。が、テレビタレントとして人気のあった団五郎は出演を拒否した。それを今になって再映画化し、左近役をオーディションで決めるのは、虚無蔵に対する当てつけではないか、と。

第81回でひなたが算太に事情を尋ねると、算太は何か知っていそうだったが、答えをはぐらかして去る。またモモケンが虚無蔵に会いに行き、「悪く思わないでください」と告げる。「左近役が虚無蔵さんでなかったら、あそこまでコケることはなかった、という人が会社には大勢いるんですよ」とも言う。

第82回では、虚無蔵が事情をひなたと文四郎に説明。モモケンは出演を断わったのではなく、むしろ乗り気だった。先代の方が、映画を見限った息子を今さら起用することを拒否したのだという。そして代わりに自分を抜擢してくれた。自分は先代には可愛がられたが、息子に対する当てつけもあったのだろう。しかし自分は寺子屋の先生という役だったが、セリフがうまくしゃべれない。何度もNGを出し、編集でばっさりカットされたシーンも多かった。それで話がうまくつながらなくなってしまった……。

すみれの説明を聞いたときは、本当の事情は別にあるような気がしていた。

モモケンの、左近役が虚無蔵でなかったら、の言葉には違和感があった。当時酷評されたのも設定があまりにも荒唐無稽だったからで、殺陣に関しては素晴らしく、実際に劇場で見た竹村夫妻も、ジョーも、そして五十嵐にひなたも、感銘を受けている。殺陣ができる人、ということで虚無蔵を指名したのは間違いではなかった。当時の団五郎には、あれだけの殺陣はできなかっただろう。

しかし虚無蔵の説明を聞くと、殺陣以外の芝居が全然できなかったようだから、確かに、虚無蔵のせいでひどい映画になった、という評は外れてはいないのかも知れない。

しかし、すみれも虚無蔵も、「当てつけ」という言葉を使っている。巨額の費用を投資して制作する映画の準主役に、「当てつけ」で人を起用したりするだろうか。まだ裏があるような気がする。

はっきりしているのは、先代と今のモモケンとの間には確かに確執があり、モモケンは今もそれを引きずっているということだ。先代は既に亡くなっているが、和解の日は来るか。

これは安子とるいの間に起きていることと同じ。安子は死んではいないが(恐らく)、もはや本人が説明することはない。また、仮に登場して釈明をしたところで、それだけでるいの心がほぐれることはないだろう。モモケンのわだかまりが解けない限り、安子とるいの和解もない。来週はどんな展開となるか。
(2022-03-01 記)


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