窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「カムカムエヴリバディ」(85):ついに……

第18週「1984-1992」(水)

放送日

  • 2022年3月2日

概要

映画村のステージで茶道家役を演じることが決まったすみれは、一恵のもとで茶道の稽古を重ねることに。付き添い役を任されたひなたは、稽古後もすみれの愚痴に付き合う羽目となり、五十嵐となかなか会うことができません。そんなある日、一恵の細かい指導に対して、いよいよすみれの不機嫌が最高潮に達してしまい……。(NHKオンデマンドの解説より)

今日の一子とすみれ

「あのとき(破天荒将軍のゲスト出演)もお茶たてはって」
「ええ」
「ぎこちなかったわあ」

今日のひなたとすみれ その1

「あんた全然飲んでないわね」
「未成年なんです」
「さっさと成長しなさいよ気が利かないわね~」

今日のひなたとすみれ その2

「ちょっとひなた、いつまで私を一人にしておくの?」

今日の一子

「(お茶は)相手のこと思う気持ちや」

今日の五十嵐とひなた

「ちゃんと毎日顔見せろ。寂しいだろ、バカ」

雑感

五十嵐とひなた

ついに五十嵐がひなたをハグ。ひなたはびっくりして膝から崩れ落ちる。これまで恋愛経験のない(ドラマで見る限りは)ひなたにとってはちょっとショックが大きかったか。まだ10代だし。

82回から二人の仲は急接近。虚無蔵に殺陣を教えてほしいとひなたも頼みに行ったり、五十嵐を元気づけるための回転焼きを自分で焼きたいと特訓したり、どちらかというとひなたの方が積極的だった。前回、算太に「ひなたちゃんのいい人なんやろ」と言われた時の態度は、認めたことと同じ。五十嵐も同じ気持ちだろうと視聴者は思うが、まだはっきりと言葉と態度で示していない。それが今日だった。

いやー、きゅんきゅんしましたね。

約束したわけではないけれど、「仕事が終わったら道場へ行く」と言っていたひなたを、いつ来るか、いま来るかと心待ちにしている五十嵐がかわいかった。

五十嵐は、ひなたに会ったらハグしようと決めていたわけではないと思う。が、最近の仕事の忙しさを涙ながらに訴えるひなたは、「私だって会いたかった」と言っているように聞こえたから、思わず抱きしめてしまったんだろう。

愛し合う二人が会えないのは恋愛ドラマのお約束。安子も、るいも、そういう期間があった。安子の場合は家の事情、るいの場合は相手の仕事、ひなたの場合は自分の仕事が理由で、理由の変遷も時代を表わしているようだ。

すみれさんのお稽古

何度やってもなかなかうまくできず、一恵に何度も何度もやり直しさせられ、最後は切れるすみれ。すみれがなかなか上達しないのは、やる気がないからだろう。やる気がないというと言葉が悪いが、映画やドラマならともかく、たかが映画村のイベントでここまできちんと所作を学ぶ意味があるのかと疑問に感じているのだ。

五十嵐が死体役のつらさをひなたに語ったことがある。が、どんなにつらくても、練習を欠かさず、うまくこなしてしまうのは、時代劇が好きだからだし、死体役もこなせなければ次の役は来ないと、その意味がわかっているからだ。

一恵は、初めて人に教えるから、張り切り過ぎて肩に力が入っているのかも知れない。悪いところがたくさん目につくので、それを指摘し、直すことで、少しでもよくしようと思うのだろう。ここはもっと褒めたりおだてたりして、すみれにやる気を起こさせるように仕向けるのが教える立場の人のすることではないか。

榊原も、なあぜきちんとお茶の所作を身につける必要があるのか、すみれが理解するまできちんと話すべきだと思う。東京に出て行ったがうまくいかず戻ってきた、しかし破天荒将軍のゲスト役にねじ込むくらいしか仕事がない、このまま消えてしまうのか、美咲すみれにとって今が正念場だと思っているのだったら、そう伝えなければ。

現代風の演出

すみれがひなたに飲ませようとして、ひなたが未成年だからといって断わり、そう言われてすみれば引き下がるシーンがある。1984年当時にはおよそあり得ないことで、時代考証的にはおかしいが、令和の時代に作るドラマとして、敢えてそのように演出したのだろう。法律は確かに20歳未満の人が酒を飲むのを禁じているが、当時は、高校を卒業したら大人、という認識が一般的で、飲んではいけない、飲ませてはいけない、と考える人は皆無に近かった。

大学に入学したら新歓コンパがある、当然ほとんどの人間が未成年だが、先生と一緒に飲みに行く、先生も咎めない、店の人も咎めない。急性アルコール中毒で病院へ運ばれる人も出るが、病院も、未成年とわかっても警察に通報したりしない。まして勤め人ともなれば、職場の飲み会で「未成年だから」といって許されることはなかっただろう。もちろん、今から思えばひどい風習で、それを敢えてドラマの中で再現する必要はない。

登場人物が誰も煙草を吸っていないのも同じ理由だろう。安子編では杵太郎が喫煙者という設定だったが、実際に吸っているシーンはなかった。この時代は男性なら吸うのが当たり前で、店先でも、道を歩いていても、みんな吸っていたが、そういうシーンが描かれることはなかった。るい編では、Night & Dayに客が入っていても、誰も煙草を吸わない。ジャズと紫煙は切っても切れない関係にあるはずだが、敢えて描かない。これは、誰かが煙草を吸えば出演者や関係者がみな副流煙の被害に遭うことを避けるためだろう。この演出は評価されるべきだ。

その他

  • 一恵は割と礼儀知らずの失礼な奴だ、どんな躾を受けて来たのか、と何度か書いた。が、今日の一子のすみれに対する態度も相当に礼を欠いており、この母にしてこの子ありやなあ、との感を深くした。
  • すみれに付き合わされて自分の仕事が進まないが、手伝おうか、という榊原に、いえ、自分でやります、と答えるひなた。夏休みの宿題は手伝ってもらわないと終わらせられなかったが、ひなたは着実に成長している。というより、ひなたは、自分がやるべきと思ったことはやるのだ。


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