第16週「1984-1992」(火)
放送日
- 2022年3月1日
概要
映画のオーディション終了後、ひなたはモモケンから話がしたいと呼び止められます。かつて父親との関係にわだかまりを抱えていたモモケンは、映画村のサイン会でひなたから「大月」の回転焼きをもらったことで、運命が大きく変わったのだと語ります。まさかの事実に、ひなたは驚きつつも誇らしく思うのでした。そしてついに「妖術七変化!隠れ里の決闘」のオーディション結果が発表されて……。(NHKオンデマンドの解説より)
団五郎が算太と会った時、算太はあんぱんを頬張り、まずいと怒り、あんこのおまじないをつぶやく。ひなたから回転焼きをもらって食べた時に、それを思い出した。そして、父親は自分を見限ったのではない、ずっと見守っていてくれたのだと思えた……と話す。
ある日ひなたが帰宅すると、商店街に算太がいる。モモケン御用達の大月の回転焼きが食べたいと。それは私の家だと算太を連れていく。が、るいを呼ぶジョーの声を聞いた途端に算太は姿を隠す。
オーディションは、残念ながら五十嵐は選ばれなかったが、「最終選考は悪くなかった」という監督から、伊織役をもらう。役名も、セリフもある。喜ぶ五十嵐に、ひなたは、仕事が終わったら道場へ行く、練習に付き合うと約束する。
ひなたに新たな仕事が。榊原が「京都茶道家殺人事件」という新しいステージの企画を立てる。茶道家を演じる美咲すみれに作法を教えるよう一恵に依頼。またひなたにはすみれのサポートをするようにと。ひなたは急に忙しくなった……
今日のひなたと算太 その1
「うちの餡子は絶品ですよ」
「ひなたちゃんを見ていると妹を思い出すんや」
今日のひなたと算太 その2
「五十嵐ちゅう兄ちゃん、選ばれるとええのう」
「え?」
「ひなたちゃんのいい人なんやろ」
「いやいやいや、そんなんやありません」
「いやおっちゃん、そういうことだけするでえんじゃ。あの兄ちゃんの時だけ、ひなたちゃんの顔つきが変わりよった」
雑感
算太、邂逅と別離の回。
オーディションは、虚無蔵が外れて、五十嵐かな……とも思ったが、さすがにそんなうまい話はなかった。しかしオーディションの結果は悪くなく、ちゃんと訳がもらえたのだから、養成所を出たての新人としては抜擢のうちだろう。ひなたはちゃっかり練習を付き合うことになって、二人の間はいい感じ。
あずきのおまじないが、まさか算太からモモケンに、モモケンからひなたに伝わるとは思わなかった。結局、たちばなの餡子の本当の秘訣というのは、「食べる人の幸せそうな顔を思い浮かべる、その気持ちが乗り移る」というものなのだろう。だから、単純な餡子づくりの技術でるいが杵太郎や金太と同等の腕を持っているとは思えないが、どこかたちばなを思い起こさせる、元気づけられるような味になっているのだろう。それが五十嵐を救い、モモケンも救ったのだ。
金太さん、見ていますか。たちばなのお菓子で救われる人がこんなにいますよ。
団子ちゃんご推奨の回転焼きを食べようと大月にきた算太。「うちの餡子は絶品です」という言葉を聞いて安子を思い出す。顔も似ていたのだろう。この時はただ安子を思い出しただけだったが、るい、という(珍しい)名前を聞いて、一瞬にしてつながったのだ。算太は安子がるいを置いてアメリカへ行ったことを知らない。店の奥にいると思ったのだろう。るいだけだったらしらばっくれることもできただろうが、さすがに安子に合わせる顔はない、ということか。ナレーションが「サンタがひなたの前に姿を現わすことは二度とありませんでした」と言ったから、きっとそうなんだろう。
考えてみれば、ひなたはモモケンからおまじないを聞いたが、それの意味はわからなかった。だからほとんど気に留めなかっただろうし、帰宅してるいに話すこともなかった。というのはひなたはこれまでお店の手伝いをして来なかったし、朝もぎりぎりまで寝ているから、るいが小豆を煮ている姿を知らないのだ。
まだあと一ヵ月半ある。近づきそうで、近づかない。つながるのはまだ先なのだろう。