窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「カムカムエヴリバディ」(89):失態

第19週「1992-1993」(火)

放送日

  • 2022年3月8日

概要

ひなたは、弟の桃太郎(青木柚)の誕生日会になかなか現れない五十嵐のことを心配します。その頃、一人でやけ酒をあおっていた五十嵐は、同じ店ですみれとその夫に遭遇。酔いに任せて絡んでしまい、騒動を引き起こしてしまいます。後日、監督に呼ばれた五十嵐は、今回の件の責任を取るよう言われ……。(NHKオンデマンドの解説より)

武藤蘭丸が年末時代劇の主役に選ばれたという新聞記事を読んだ五十嵐は、ひなたとの約束をすっぽかして「うちいり」でやけ酒を呷る。たまたまおなじ店に夫婦でいたすみれは五十嵐を気遣うが、逆に星川凛太朗に絡み出す。さらにすみれも二流女優呼ばわり。

星川は、自分が言われるだけなら我慢できたが、妻を侮辱されたので許せなかったとあとで語る。が、「人間、そういう日もある」から不問にするよう監督に告げるも、条映としてはなんらかの処分をする必要があり、「破天荒将軍」では五十嵐を一年間使わないこと、他局でも星川に忖度して締め出すところがあるだろうと五十嵐に告げる。

五十嵐はひなたに、役者を辞める、東京へ戻って会社員になるから一緒に東京へ来てほしいと話すが、ひなたは、夢を追いかけてほしい、自分はどんな貧乏暮らしでも耐えると答える。五十嵐はひなたに別れを告げる……

雑感

昨日の第88回で、五十嵐は、斬られ役を続けることを「屈辱的」だと虚無蔵に言った。小さな仕事でも、誇りを持てないことにちょっと疑問を感じたが、今回は、星川に「毎回同じことを繰り返すだけ、進歩がない」などと言う。声に出すのは酔った勢いだが、常日頃、そう考えているということ。テレビ時代劇にはおかしな点がたくさんあるが、そういうことも含めて「時代劇が好き」なのかと思っていた。ひなたは、「毎回同じセリフ、同じ殺陣」のドラマが大好きだが、五十嵐はそうではないのか。

すみれもかつてはひなたを付き合わせてやぐされ、飲んだくれてモモケンの悪口を言っていた時期があった。だから五十嵐の気持ちはよくわかるのだろう。一緒の飲まないかと声をかけたのも、星川の話を聞けば何か参考になることがあるのではと考えたからだろう。ここで先輩の声に素直に耳を傾けるようなら、五十嵐には別の展開もあったかも知れないが……

これだけの悪態をついて、よくクビにならなかったと思う。しかし、時代劇が減ってきている昨今、「破天荒将軍」で一年間使わないとされると、実質的に稼ぎ口がないのだろう。五十嵐は役者を辞める決心をする。現実的かつ賢明な判断だと、60になる今の自分は思う。五十嵐は29歳。20代なら、別の業界へ行ってもいくらでもやり直せる。

ひなたの、夢を諦めないで、私が支える、貧乏でもいい、というのは、ありがたいといえばありがたいが、今の五十嵐には追い詰めるだけのように思われる。

五十嵐の「事件」は、同じ時に店に来ていた赤螺吉右衛門・初美夫妻が目撃しており、ジョーに伝えた。ジョーはそのことをるいにはまだ話していない。五十嵐に別れを告げられた夜、ひなたは部屋で号泣するが、ジョーがなにごとかを察した様子……。さて、ここからジョーのターンなるか。



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